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臨界の星穹  作者: Mr.佐藤焫焵
士官学校編
26/97

07. 訓練修了 3

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

六A倉に戻ると、あの変人どもが珍しく静かにしていた。


おかしい。


普通の六A倉なら——レイスが禁煙に文句を言い、アルヴィンがくだらないことを言い、林薇が空気が悪いと文句を言い、韓汐が最小限の言葉で最大限の嫌悪を表明し、ユリクは呼吸する壁のように静かに座って、連邦が艙体を支えるために秘密裏に配置した建材なんじゃないかと思わせる——そういうものだ。


でも今は全員がいて、全員が私を見ていた。


……ちくしょう。


こういう空気が一番嫌いだ。


送別会みたいで。


私はドアの前に立ち、笑えるくらい少ない荷物を手に提げ、部屋を一周見渡してから、先に口を開いた。


「何、みんなして静かに。」


アルヴィンは上段の柵に顎を乗せ、珍しく即座に馬鹿なことを言わず、私の手の袋をただ見ていた。


「あ。」と彼は言った。「本当に行くんだ。」


私は袋を肩に掛けた。肩が即座に抗議した。ちくしょう、まだ負傷兵だったのを忘れていた。


「当たり前でしょ。」私は鼻を鳴らした。「統合作戦司令部だぞ。入ったら書類の山を渡されて、その次にもっとデカいぐちゃぐちゃを渡されるやつだろ。」


レイスはベッドの端に座り、ようやく点けた煙草をゆっくり吸いながら、煙を一口吐いた。


「そうとも限らない。」彼は私を見て、いつものだるそうな笑みを浮かべた。「もっとデカいオフィスかもしれないぞ。」


「そうだね。」私は頷いた。「もっとデカい馬鹿野郎が詰まった。」


林薇が吹き出した。


「それは一理ある。」


彼女はベッドから立ち上がり、私の前に来て、上から下まで眺めた。まだ人間らしく生きているかどうかを確認するみたいに。それから、ごく自然に小さなボトルを私の手に押し込んだ。


私は下を見た。


……香水だ。


顔を上げて彼女を見た。


「本気?」


「他に何があるの?」彼女は眉を上げた。「ドゥナン星みたいなところは、きれいな格好をした人間がえげつないことを言い合う場所に決まってる。少なくとも、勝ち組の匂いをさせていきなよ。」


私はそのボトルを二秒見つめた。


「これは私への祝福なの、それともあっちの人間への呪いなの?」


「両方。」


「了解。」私はボトルをしまった。「もし本当にこれを統合作戦司令部の偉い人に噴きつけたら、あんたが渡したって証言してもらうから。」


「全力で否定する。」


よろしい。


これが六A倉精神だ。


韓汐が自分の場所から歩いてきた。手に薄い小袋を持っている。余計な言葉なしに、直接差し出した。


「耳栓。」


私は一瞬固まった。


それから、すぐに分かった。


昨夜、心の中で耳栓を手に入れようと誓ったばかりだった。そしてこの女は今、それを黙って渡してくれている。この感覚は妙なものだ。口ではこいつらが全員うざいと言いながら、こういう一番実際的なところで、こいつらは私のことをよく分かっている。


「どこで手に入れたの?」


「補給倉。」


「盗んだ?」


「借りた。」


私は頷いた。


「了解。」


連邦式の「借りた」だ。


返すつもりがないか、返すとしても元の形じゃない。


耳栓をポケットにしまい、特に感情を乗せない声で言った。


「ありがと。」


韓汐は「ん」と一言だけ返した。


それだけ。


「気をつけて」もない。「連絡して」もない。


でも私には分かる。これが彼女の出せる最高規格だ。


ユリクはずっと動いていなかった。


私が視線を向けたとき初めて、ベッドの端から立ち上がった。あいつが立つと六A倉の空間が即座に狭くなる。壁を一枚、床から引き抜いて目の前に立てたみたいだ。


彼は私を見て、半秒置いてから、一言だけ言った。


「前に出すぎるな。」


私は思わず笑いそうになった。


「今さらそれを言っても、少し遅くない?」


「遅くない。」彼の口調は変わらない。「次から覚えておけ。」


……まあいい。


この程度の気遣いが彼の口から出てきたなら、長文の手紙を書いてもらったのとほぼ同じだ。


私は彼に向かって軽く手を上げた。


「分かった、壁さん。」


アルヴィンが即座に上段から飛び降りた。


「ちょっと待って、なんであいつはあんなかっこいい別れの一言があって、俺はないの?」


私は無表情で彼を見た。


「かっこいいことを言おうとしても、どうせ間抜けな話になるから。」


「ひどい。」


「もっとひどくしてもいいよ。」


アルヴィンは私の前に来て、両手をポケットに突っ込んだ。髪はまだ寝癖だらけで、顔はいつもの憎たらしい表情だが、目の奥には珍しく、少しだけ違うものが混じっていた。


「まあ、聞けよ。」彼は咳払いをした。「真面目に言う。」


私は眉を上げた。


「あんたが真面目に言う?」


「たまにはな。」彼は頬を掻いた。「あんたがいなくなったら、六A倉が少し退屈になる。」


私は腕を組んで彼を見た。


「私が惜しいの、それとも浴場の看板が惜しいの?」


「両方。」


「正直すぎて腹立つ。」


「ありがとう。」


彼は少し止まってから、もう一言足した。


「向こうに行っても、馬鹿にされるな。」


私は彼を見て、ふと笑いそうになった。


「その言葉、あんたの口から出てくると説得力が微妙なんだけど。」


「うるさい。」


「分かった。」


私は手を伸ばして、彼の肩を軽く叩いた。


「あんたも。口を減らせ、じゃないと本当に誰かに吊るされるぞ。」


「そのときは名前を売る。」


「やってみろ。」


「絶対やる。」


よし。


これでいい。


全員、真剣なことをふざけた包み紙に入れて渡してくれる。それが六A倉らしい。もし急に全員が真面目になったら、私はこの艦が帝国の精神汚染を受けたんじゃないかと疑うだろう。


最後はレイスだ。


彼は最後の一口を吸い終えて、煙草の吸い殻を鉄の箱の縁で押しつぶし、顔を上げた。


「向こうで上手くやれたら——」


私は即座に遮った。


「独立喫煙室の申請はしない。」


レイスは鼻で笑った。


「そんな話じゃない。」


彼は立ち上がり、私の前に来た。私より頭一つ分背が高く、見下ろすときの圧力は、古参兵特有のものだった。でも彼の口から出た言葉は、重さに似合わないくらい、軽かった。


「上手くやれたら、自分が一番嫌いなタイプの人間にならないようにしろ。」


六A倉が一瞬、静かになった。


この一言は、私が予想していたより重かった。


重すぎて、すぐには返せなかった。


なぜなら、私には分かるからだ。


よく分かりすぎるくらい。


統合作戦司令部、戦功、転属命令、上は喜んでいる——これが全部重なると意味するのは、おとぎ話みたいな昇進じゃない。制度がようやく私に目をつけて、上へ運び、そして内側から飲み込もうとしているということだ。


レイスのこの一言は、そのことを言っていた。


飲み込まれすぎるな。


私は彼を見て、二秒置いてから口を開いた。


「安心して。」


私は口角を引き上げた。


「私の最大の長所は、教育しにくいことだから。」


レイスは笑った。


「それは信じる。」


よし。


これで十分だ。


私はこれ以上何かを言うのに向いていない。もう二言三言続けたら、この連中のことを大事に思っているのがバレてしまう。それは気持ち悪いので、やめておく。


私は袋を持ち直し、六A倉のドアの前に立ち、最後にもう一度、部屋を見渡した。


煙草の匂い。


汗の匂い。


安物の香水。


ベッドの板。


洗面台の戦争。


工業廃水みたいな熱い飲み物。


そして私が力ずくで作り上げた浴場停戦協定。


たった数日なのに、妙な馴染みがある。


何に似ているだろう。


ひどいけど、ちょうど足に慣れてきたブーツみたいなものだ。


快適じゃない。ただ、どこが擦れるかを知っているから、前ほど痛くない。


私はドアの前で半秒止まり、最後に一言だけ放った。


「じゃあ。」


顎を上げる。


「行ってくる。ベッドの下のペインコーラを盗んだやつは、幽霊になっても絞め殺しに来るから。」


アルヴィンが即座に手を挙げた。


「先に聞くけど、絞め殺す前に飲むの、後に飲むの?」


「お前で実演してから決める。」


「やばい。」


六A倉に笑い声が弾けた。


よし。


これでいい。


私は背を向けて歩き出した。振り返らなかった。


振り返ると、告別みたいになるから。


私は告別っぽいものが嫌いだ。


---


中継港は想像より大きかった。


いや、正確には、私の好みより大きかった。


この場所は鉄骨と軌道と物流に飲み込まれて膨れ上がった巨獣みたいで、港区全体が低周波で震えていた。高いところには交差するクレームアーム、輸送レール、停泊ハッチが連なり、低いところには蟻の群れみたいに動く人の流れ、補給箱、医療担架、牽引車がある。


放送の声が何層も重なり、艦種も編制も目的地も違う人間たちが、それぞれ自分の通路に振り分けられていく。


全員が動いている。


全員が忙しそうだ。


全員が、次の命令が来れば今いる場所から再梱包されて送り出されるのを待っているみたいだ。


実に連邦らしい。


私は案内に従って乗換エリアへ向かいながら、途中で一列に並んだ展望窓の前を通った。そこから外を見ると、停泊している艦艇群が見えた。まだ焼け焦げの跡が残る前線帰りの艦もあれば、造船所から出てきたばかりみたいに清潔な後方支援艦もある。


輸送艇、接続船、整備モジュールが港の灯りの下に並んで、冷たい魚の群れみたいだ。


正直、壮観だ。


そして、うんざりする。


なぜなら、こういう光景が意味することは一つしかないから。


戦争は、まだずっと続く。


私は手の中の転属命令をもう一度見下ろした。


プリス星 → ドゥナン星 統合作戦司令部とうごうさくせんしれいぶ


文字は少ない。


でも重さは十分だ。


あらかじめ名前を刻んだ煉瓦が、私の未来めがけて投げつけられる準備をしているみたいに。


乗換エリアの人数は、思っていたより少なかった。


そりゃそうだ。統合作戦司令部に向かう人間なんて、元からそこらに転がっているものじゃない。選ばれて来るか、送り込まれて来るかのどちらかだ。私がどっちに当たるかは——


正直、まだ決めかねている。


接続便の手続きは、六A倉ろくエーそうの洗面台争奪戦よりはずっと整然としていた。


身分証明の確認。負傷兵ステータスの照合。転属命令の認証。携行装備のスキャン。新しい識別コードの受け取り。


それから、私より大して年上でもないのに、すでに完全な「行政的な死」の顔を完成させた勤務官に、指定の待機エリアまで案内される。


彼が資料ボードを渡しながら、マニュアル通りの声で言った。


「ドゥナン星到着後は、順次、報到手続き、身分再編成、戦術評価を完了してください。」


私は彼を見た。


「一つでも面倒じゃない手続きはありますか?」


彼は微動だにしない顔で返す。


「ありません。」


「正直者だね。」


「規範です。」


よし。


回答の仕方まで、きっちり統合作戦司令部仕様だ。


待機エリアの椅子は硬い。照明は白い。空気は冷たい。


ここにいる全員が、昨日ちゃんとベッドで寝た顔をしている。六人部屋の複合臭の中で寝た顔じゃない。それが非常に腹立たしく、そして非常に納得できる。


私は腰を下ろし、袋を足元に置いた。ポケットに手を入れると、韓汐がくれた耳栓と、林薇が押し込んできた小さな香水瓶が指に触れた。


反対側のポケットには、文書区から拝借してきたコーヒーパックが二つ。


私はしばらく、そのコーヒーパックを見つめた。


それから、ごく静かに息を吐いた。


……まあいい。


少なくとも、手ぶらで出てきたわけじゃない。


六A倉の連中は、べたべたした言葉は何も言わなかった。私も言わなかった。デイヴィッドは最後まで見送りに来なかった。私も戻りに行かなかった。


それだけだ。


戦場の人間関係というのは、元々「また連絡しよう」みたいな戯言で繋いでいくものじゃない。


たまたま同じ船に乗り合わせて、いくつかとんでもなく最悪な夜を一緒にくぐって、同じタイミングで死にかけて、ついでに少し、触れてはいけないものに触れかけただけだ。


それで列車が動き出す。


艙門が閉まる。


超光速ジャンプを一回挟んで、人間はそれぞれ別のレーンへ流されていく。


単純で。


乱暴で。


実に連邦らしい。


私はコーヒーパックを一つ破って、香りを嗅いだ。


やっぱり、前線配給の熱い工業廃水よりは、人間向けだ。


それから、一点も快適じゃない硬い椅子に背を預け、前方の搭乗口がゆっくりと緑に変わるのを眺めた。


次の艦が、私を待っている。


ドゥナン星が、私を待っている。


統合作戦司令部も、私を待っている。


ちくしょう。


想像しただけで、この先の人生が今より面倒くさくなるのは確定だ。


残念ながら、私はそういう面倒な場所で生き延びるのが、わりと得意だ。


放送が鳴る。


「ドゥナン星行き統合転送艦、搭乗開始。」


私は立ち上がり、袋を掴み、中継港の巨大で冷たい鋼鉄の腹を最後に一度だけ見渡した。


ここまでが、一旦の区切りだ。


私は背を向け、搭乗口へ歩いていく。


振り返らなかった。

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