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臨界の星穹  作者: Mr.佐藤焫焵
士官学校編
247/324

71. 人的資源の再配置 2

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

朝食がだいたい終わりかけた頃、アッシュはようやく動いた。


彼は意図的に焦らすような人間じゃない。だから、ずっと手元に伏せたまま誰かの命運でも記してあるような紙を裏返したとき、朝食のテーブル全体が、ほぼ同時に静かになった。


それは畏敬じゃないとわかっていた。


全員がなんとなく共通認識を持ち始めていたからだ――さっきの当直表は、最初の一刀に過ぎなかった、と。


第二の一刀が、今落ちてくる。


アッシュはその紙を広げ、指先をページ上部に置いた。


タイトルは潔く書いてあった。潔すぎて、逃げ出したくなる。


雪風号登艦前特別配置名簿。


……なるほど。


やはり楽に生きさせてくれるものじゃなかった。


ジェスが最初に眉をひそめた。


「最初に言っておくけど」彼女はフォークを置き、先手を打つように防御を始めた。「この名簿に『チームワークを育てるため』みたいな話が入ってたら、私は今すぐ機関室への転属を申請する」


ハーヴィーは顔も上げなかった。


「機関室は文句を言う人間は取らない」


「じゃああなたはどうやって入ったの?」アイダが笑いながら足した。


ハーヴィーは冷たく彼女を見た。


「実力だ」


「へえ、文句を言うのも十分プロなら実力に入るのね」アイダは感心したように頷いた。


私は笑いそうになった。


アッシュのあの紙で胃が痛くなりそうだと思っていたのに、胃が痛くなる前の前奏でもこれだけ騒げる。二十二号の朝食テーブルはある意味本当にすごい。熱量を補給するだけじゃなく、精神的消耗も定期的に付属サービスとして提供してくれる。


アッシュはその横やりを一切無視し、「お前らが笑い終わるのを待ってから続ける」とでも言いたげな、ひどく平坦な目でテーブルを一周見渡した。


全員の騒ぎが自然に収まってから、彼は口を開いた。


「これは褒美でも罰でもない」と彼は言った。


……こういう前置きをする人間の話は、たいてい褒美でも罰でもあって、しかも他の人間には褒美に見えて当事者には残業に見える類のものだ。


「出発当日、雪風号は通常の登艦手続きに加えて、連邦軍士官附属中学の見学団を受け入れる」アッシュは紙を少し前に押し出した。「だからお前たちは登艦実習をするだけじゃなく、艦の通常運用を妨げない範囲で、臨時の示範、動線誘導、安全対応にも当たることになる」


アイダが目をぱちぱちさせた。


「ああ、つまり『働きながら見られる』ってこと」


「見られるんじゃない」アッシュは訂正した。「観察される」


ジェスがすかさず突っ込んだ。


「その二つ、違うの?」


「違う」アッシュは無表情で言った。「見られるのは恥をかくだけだ。観察されると記録が残る」


テーブルが一秒静かになった。


それから私は心の中で、これから乗艦する自分たちに半秒だけ黙祷を捧げた。


この人は同じ面倒な話を、毎回もっと面倒な話に聞こえるように言える。


「簡単に言えば」彼は続けた。「お前たちは外部の訪問者がいる状況下で通常通り実習をする予備軍校生だ。誰かが遠足気分でリズムを崩したら、私が直接地面に返す」


今度はジェスも即座には言い返さなかった。


アッシュの口調が平らだからというだけじゃない。


その平らさが、怒鳴るより重圧になるからだ。刃物をテーブルに静かに置いて、持ち上げもしないし脅しもしないが、ただそこにあることで「これは冗談じゃない」とわからせる、そういう種類の平らさ。


アッシュの指が下に移った。


「特別配置は三種類だ。公開動線、示範補助、制限区域対応」


私は無意識に少し背を伸ばした。


この分類の仕方は知っている。


新鮮だからじゃなく、人間を本当にシステムの中に組み込んで動かすときに使う分け方に似ているからだ。一字も飾りがない。


「まず公開動線から話す」アッシュは表を見た。「アイダ」


「はい」アイダはすぐに返事した。このシチュエーションに緊張感が必要だとは思っていない口調で。


「CIC見学説明と流れの案内を担当する」


彼女はまず一瞬瞬きして、それから口の端を上げた。


「やっと私のこの口が国家資産だって気づいた?」


「他の人間に任せたら、説明がそのまま遺書になりかねないと判断した」アッシュは言った。「お前なら少なくとも、中学生が理解できない状態でも元気よく聞かせ続けられる」


アイダは嬉しそうに笑った。


「褒め言葉として受け取る」


「褒めてない」アッシュは淡々と続けた。「辛うじて使えるという意味だ」


「もっといい、こっちの方が好き」


彼女は本当に当然のように言った。当然すぎて、「貶されながらも重要な仕事を任される」を何か高級な待遇として受け取っているんじゃないかと疑いたくなるほど。


「エヴリン」アッシュは続けた。「CIC内側でシステム監視を担当しながら、制限区域の口頭説明と退場誘導を担当する」


エヴリンは眼鏡を押し上げ、頷いた。


「了解。つまり誰かが触ってはいけないものに触ったら、通常の社会的言語で退場させる担当ね」


アイダが頬杖をついて笑った。


「あなたの言う『通常の社会的言語』って、たいてい二度と触ろうとしなくなる類のやつよね」


「効けばいい」エヴリンは波紋ひとつなく返した。


合理的だ。


この仕事を彼女に任せるのは確かに安定している。


本当に怖いのは、大声で制止する人間じゃない。そばに立って、ひどく穏やかな声で、「もう一度触ったら報告書の事例になるかもしれない」と自分で気づかせる人間だ。


アッシュは続けた。


「ロイ、蘭」


この二つの名前が続けて呼ばれた瞬間、ロイの肩がわずかに緊張したのが見えた。


仕方ない。昨日のリビング公開裁判があまりにも見事すぎて、今は二つの名前が連続して呼ばれるだけで、次に来るのはろくなことじゃないと反射的に思ってしまう。


「補給動線と搬送フローの示範を担当する」アッシュは言った。「見学団はメイン倉庫区には入らないが、外側の荷卸しラインを見る。お前たち二人が説明と現場対応を担当する」


ロイは少し息を吐いた。


蘭は頷いた。


「了解です」


「それから」アッシュが目を上げた。「私的な息の合わせ方を公務の流れに持ち込むな」


テーブルの空気が瞬時に固まった。


アイダが、極めて小さく、極めて必死に堪えた笑い声を漏らした。


私は俯いて水を飲んだ。


だめだ。


これはあまり笑いすぎると恨まれる。


ロイの耳の付け根が目に見えて赤くなった。


「……しません」


蘭はひどく綺麗に冷静さを保ったまま座っていたが、返事が平常より半拍早かった。


「公私は分けます」


「そうしてくれ」アッシュは言った。


……容赦ない。


この人は最小の文字数で最大の羞恥値を発生させることに本当に長けている。


しかも意地悪でやってるわけじゃなく、誰かの気まずさに絨毯を敷いてやる気が単純にないだけというのが、さらに始末に負えない。


「ハーヴィー」アッシュは別の方向を向いた。


ハーヴィーはもともと「あまり仕事を増やすな」という顔をしていたが、名前を呼ばれた瞬間、表情がさらに「やっぱりそうなる」方向へ動いた。


「機関室外周の封鎖と危険区域表示の確認を担当する」アッシュは言った。「案内も示範もしなくていい。見学団の中で頭に血が上った小僧が、入ってほしくない場所に入らないようにするだけでいい」


ハーヴィーは鼻を鳴らした。


「やっと慈善事業じゃない仕事が一つ出た」


「ただし、隣に一人つける」アッシュが次の一言を足した。


ハーヴィーの眉がすぐに寄った。


「誰だ」


アッシュの指が動いた。


「ジェス」


私は危うく自分の唾を飲み込みそこねた。


ジェス本人はテーブルを直接叩いた。


「なんでまた私なの!?」


その一声で朝食テーブル全体の精神が揺れた。


「補給科なんですよ!」彼女は自分を指差した。「格闘戦と射撃は我慢した。今日は機関室外周で封鎖線まで張るの?私は補給生なの、万能消耗品なの?」


ハーヴィーがゆっくり振り向き、このパーツを組み込んだら全体の効率が落ちるかどうかを評価するような目で彼女を見た。


「私も知りたい」


「あなたが私より不運そうな顔しないで!」ジェスは怒った。


「私の方が不運だ」ハーヴィーは冷たく言った。「仕事があって、しかも『なぜ』と聞き続ける人間を連れていかなきゃいけない」


私は本当に笑いそうになった。


この組み合わせは人道的じゃない。


でもアッシュには当然、理由があった。


「お前が補給だからだ」と彼は静かに言った。


ジェスが固まった。


「え?」


「補給は帳簿を付けて物資を管理するだけじゃない」アッシュは彼女を見た。「見学日に一番問題が起きやすいのは戦術じゃなく、人の流れだ。どこに立つべきか、どこに入ってはいけないか、どこに臨時で表示や誘導を補充する必要があるか、それは本来、後方支援の動線と関係している」


ジェスは口を開きかけたが、言葉が出てこなかった。


アッシュは止まらなかった。


「それに、お前は口が達者だ。本当に何かあったとき、少なくとも人を呼び止めることができる」


テーブルが半秒静かになった。


それからアイダが最初に笑い崩れた。


「ははは――この任命理由、現実的すぎる」


ジェスの顔が完全に曇った。


「これ、褒め言葉じゃないよね!?」


「機能認定よ」エヴリンが横から補足した。


「そんな機能認定いらない!」


「断ってもいい」アッシュは平らな口調で言った。「その場合、Dの重力適応訓練の付き合い役に変更する」


ジェスは即座に黙った。


……なるほど。


この世界に本当の意味での自由な選択肢など存在しない。死に方が比較的ましかどうか、それだけだ。


アッシュの指がさらに下へ移った。


「D」


D半が目を上げた。


「示範補助組に入る。艦内緊急状況での移動、低重力適応、近距離制圧演練だ」


彼は半秒考えた。


「実技?」


「大部分はそうだ」アッシュは言った。「ただし見学団がいる場合は分解式示範に変更し、完全な接触は行わない」


Dは頷いた。


「わかった」


その反応は静かすぎて、ほとんど退屈に近かった。この程度の配置では、昼食前に本当に気が引き締まるものが出てくるかどうかを確認するだけで十分、という顔だった。


「アカリ」アッシュは続けた。


アカリが顔を上げた。


「観測と精密反応示範組に入る。センサー判読、目標識別、精密射撃手順の説明だ。実弾なし、手順のみ」


「了解」と彼女は言った。


一言も余計なものがない。


この役割も彼女に向いていた。演技的な示範より、アカリは感情を一切含まない声で、本来はひどく恐ろしいことを標準回答のように説明できる人間だ。


中学生にとって、こういう人間はたいてい二種類の効果をもたらす。一つは、かっこいいと思うこと。もう一つは、後になって思い出したとき、なぜか背筋が薄ら寒くなること。


それから、アッシュが私が一番気にしていた名前を読み上げた。


「九島真紀」


真紀は資料を見下ろしていたが、自分の名前を聞いたとき、ごく自然に顔を上げた。


彼女のすごいところはここだ。


名前を呼ばれると、大抵の人間は何かを受け取る準備をするときの緊張感を少し漏らす。彼女は漏らさない。最初から、どんな牌が来ても最終的には自分が局面を引き受けることになると知っているから、余計な動作が出ない。


アッシュは彼女の欄を見た。


「お前は特定の示範項目に固定しない」と彼は言った。「全場補充要員だ。どこかの組が詰まったとき、どこかの流れに空きが出たとき、誰かが臨時で欠けたとき、お前が補充に入る」


ジェスがすぐに顔を向けた。


「また来た。これって特権じゃないの?」


私は心の中で静かに息を吐いた。


彼女は本当に努力家だ。自分が負けそうな場所を全力で探して、もう一度負けに行く。


アッシュは彼女を見もしなかった。


「特権じゃない」と彼は言った。「保険だ」


そう言ってから、ようやくジェスの方に視線を向け、口調はそのまま平らだった。


「九島はすべての科目で精通評価を取っている。一か所に固定するのは無駄だ」


ジェス「……」


「それに今日の見学日には、中学生の一団だけがいるわけじゃない」アッシュは一言足した。「引率の大人たちもいる。流れが乱れたとき、最初に目に入るのは私でも彼女でもなく、その人たちだ」


この一言で、テーブルの空気がさっきよりもう一段階引き締まった。


わかった。


これは単純な艦上見学じゃない。


対外的な体裁があり、軍校の名声があり、雪風号自身の顔がある。そして、紙に書けないような種類の相互観察もある。


真紀が全場補充要員に置かれているのは、彼女が暇だからじゃない。


こういう場で一番怖いのは、ある角にちょうど補充できる人間が欠けることだ。


そして彼女は、補充に入ったあと、最初からそこに立っているべき人間だったと周りに思わせてしまえる人間だ。


真紀は聞き終わって、ただ頷いた。


「わかりました」


余計な質問も、余計な言葉もない。


でもこの無駄のない反応が、逆に「彼女は確かに引き受けられる」という説得力を持っていた。


私は場違いなことを思った。


厄介だな、と。


彼女が強いことが厄介なんじゃない。


彼女が強くなるたびに、昨夜の夜風の中で、私が先に口づけて、彼女の呼吸が乱れて、それでも退かなかったあの人のことを、また思い出してしまうのが厄介なんだ。


……やめろ。


今それを考えている場合じゃない。


アッシュの指がついに私の名前の上に落ちた。


背を伸ばした。


今度は緊張じゃない。


彼が私をどの一番面倒なポジションに押し込もうとしているのか、純粋に知りたかった。


「星野霜」と彼は言った。


「はい」


「示範補助の主列に入る」


ジェスが思わず「え?」と声を上げた。


私は表情を特に変えず、ただ少し背をさらに伸ばした。


主列。


つまり主に前に立つ側。


この言葉の意味はわかる。


かっこいいからじゃなく、たいていこれは「問題が起きたとき最初に見られるのはお前だし、うまくいったとき最初に覚えられるのもお前だ」という意味だからだ。


「内容は単座戦闘艇シミュレーション示範、艦内緊急反応標準動作展示、必要に応じて近距離制圧演示への補充だ」アッシュは私を見た。「それから、艦長が艦橋に入ったときの標準報告を、お前が一度示範として行う」


私は二秒、黙った。


できないからじゃない。


この配置の選び方が、本当によくわかっているからだ。


私が一番怖くない部分と、素人が見ても一番わかりやすい部分を、直接結びつけてある。


単座戦闘艇のシミュレーションは問題ない。標準動作展示も問題ない。艦橋口令と引き継ぎ報告は、覚えてしまえばいい。


面倒なのは、これを単純に教官や同級生に見せるだけじゃないことだ。


見学生、引率教師、雪風号の艦上要員、そして後ろに立っていて何も言わないかもしれないが、帰ってから誰が何をしたかを確実に記憶している大人たちに見せることになる。


つまるところ、高規格版の公開検品だ。


私は心の中で「なるほど」と思った。


そういうことか。


この名簿が本当に胃に来る理由は、追加の仕事量だけじゃない。


正式な乗艦の前に、一人一人を何かある種の半公開の秤に乗せて、お前には何グラムの価値があるかを量る、それがこの名簿だ。


「問題あるか」アッシュが聞いた。


私は顔を上げた。


「ないです」


これは強がりじゃない。


本当にない。


実戦の前であれば、こういうものは私にとってまだ対処できる範囲内だ。面倒で、嫌で、疲れて、見られる。でも退く理由にはならない。


本当に頭が痛いのは、そのとき真紀が全場補充要員として、おそらく私から遠くない場所で、涼しい顔をしながら私のことを見ているだろうという、その予感だ。


そっちのプレッシャーの方が大きい。


ずっと大きい。


「よし」アッシュは頷いた。私の返事に何も意外そうな様子はなかった。


ジェスが怪訝そうに私を見た。


「なんで全然反応しないの?」


私は横目で彼女を見た。


「じゃあどうすればよかった?その場でお茶会の司会に変えてくれって頼む?」


「ただこの配置、面倒くさいって思って!」


「面倒くさいのは確かにそうだ」と私は言った。「でも面倒くさいのと、できるかどうかは別の話だ」


言い終わった瞬間、テーブルのいくつかの視線がこちらに流れてきた。


アイダが先に笑った。


「おお、ちょっとかっこいい」


「かっこつけてない」私は無表情で言った。


「だからもっとかっこいい」と彼女は言った。


……お前は本当に、他人の普通の発言を公開スポットライトに変える才能がある。


アッシュは私たちを無視して、最後の項目を読み上げた。


「私自身は艦橋礼式の総監と全体リズムの調整を担当し、必要に応じて直接引き継ぐ」


ジェスが小声でぼやいた。


「怖い肩書きだ」


「的確ね」エヴリンが言った。


「なんであなたが追い打ちするの?」


「正確だから」


私は笑いそうになった。


珍しい。エヴリンはいつも感情を低温保存しているみたいに冷静な人間なのに、ここでこんなに精確な短刀を一本補ってくるとは。


アッシュは特別配置名簿を手元に引き戻し、口調を再び平らにした。


「以上は相談ではなく、通知だ」と彼は言った。「今日の午後から対応の予行演習を始める。明日は口令、動線、臨時補充と退場誘導のシミュレーションを行う。明後日に乗艦する。本当に乗艦するその日に初めて自分がどこに立つかを知る人間がいないようにしろ」

「とても面白い」★四つか五つを押してね!


「普通かなぁ?」★三つを押してね!


「あまりかな?」★一つか二つを押してね!

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