63. バイク 1
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
亜紀先輩は言い終えた後、それ以上長くは留まらなかった。
まるで、リビングの真ん中に爆弾を一つ置き、導火線に火がついたのを確認してから、とても礼儀正しくドアを閉めて去っていく専門の担当者のようだった。
フレイヤは帰る間際、私をきつく睨みつけた。さっきの「泥棒猛々しい」の一言を、卒業するまで根に持つとでも言いたげな顔だった。リンデは特に何も言わず、ただ玄関でテーブルの上の通知を一瞥しただけだった。その表情は、ずっと前から計算されていた歯車が、ついに回り始めたのを確認しているかのようだった。
最後に出て行ったのは亜紀先輩だった。
真紀は玄関の脇に立ったまま、外まで見送ることもなく、特に引き留めることもしなかった。この姉妹の間の空気は形容しがたい。普通の家庭にあるような親密さとも違うし、単なる疎遠とも違う。二人とも賢すぎて、互いの考えていることが分かりすぎているからこそ、かえって自分から一歩踏み出そうとしない、そんな感じだった。
ドアが閉まる音は大きくなかった。
だが、その音が落ちた後、一階のリビングは急に、異常なほど静まり返った。
さっきまで「九島が二人いる」だの「幽霊だ」だの「量産型九島だ」だのと騒いでいたあの荒唐無稽な空気が、空気中からごっそり抜き取られ、テーブルの上の正式通知の束と、あの淡々としていて、ひどく重い一言だけが残された。
――その多くは、徴集兵です。
私は自分の手にある封筒を見下ろした。急に、これが紙ではなく、人を前へ押し出す薄い鉄板のように感じられた。
最初に声を出したのはDだった。
不思議ではない。
彼は普段それほど口数が多いわけではないが、事態が不穏な方向に転がり始めたときほど、場を空白のままにしておかない人間だ。
「もし下に新編される多数が徴集兵なら」Dは自分の通知を広げ、声を低く安定させた。「艦上の非中核部門の実行力は間違いなくバラつく。命令の伝達は遅れ、突発的な反応はさらに悪くなる」
彼は感慨に耽っているわけではない。
ショックを受けているわけでもない。
彼は驚くべき速さで、さっきの言葉を「生き残るための言語」に翻訳していた。
これこそがDの最も頼りになる部分だ。他人が「正規兵じゃないのか」と消化している間に、彼の頭の中ではすでにシミュレーションが始まっている。どこで連携が切れるか、どこで死人が出るか、どこで誰かがカバーに入らなければならないか。
アッシュは長テーブルの反対側に寄りかかっていた。手にある通知は置かなかったが、視線はすぐには紙面に戻らなかった。
彼は普段、感情をあからさまにすることが少ない。だからこそ、こういう時の違いが分かりやすい。どんな局面でも制御可能だとでも言うような、あのいつもの余裕のオーラが、今はわずかに引っ込んでいた。慌てているわけでも、罪悪感でもなく、ひどく冷静で、ひどく嫌な理解の仕方だった。
軍隊においてその言葉が何を意味するのか、彼はおそらく私たちよりもよく知っているのだろう。
補給線の下に立っている人間のすべてが、本当に上に行く覚悟ができているわけではない。
制服を着ている人間のすべてが、自分の意志で歩いてきたわけではない。
ジェスが三番目に口を開いた。
彼女は最初、やはり笑っていた。
当然だ、こういう種類の人間が最初に笑わないほうがよほどおかしい。
「わお」彼女は背もたれに寄りかかり、口の端に殴りたくなるような弧を描いた。「私たち、自分たちを学生の実習生だと思ってたけど。もしかして船に乗った途端、『お前ら訓練受けてるみたいだから、あいつらが自爆しないように教えてやってくれ』って引っ張り出されるんじゃない?」
誰もその言葉に返さなかった。
彼女自身も、それ以上笑いを続けることはなかった。
なぜなら、これはさっきの「九島が二人」のような、笑って済ませられる荒唐無稽さではないからだ。こういう事実は、一度理解してしまうと、笑い声が勝手に途切れる。
彼女はうつむいて通知を見つめ、指先で封筒の角を二回叩き、しばらくしてからまた口を開いた。
「……気持ち悪い」
ジェスの口から出たその一言は、長い罵倒の言葉よりもずっと力があった。
彼女は普段、何でも冗談にするのが上手すぎる。だからこそ、彼女が本心から「気持ち悪い」と感じたときの口調は、急に混じり気がなくなり、直接的になるのだ。
アッシュがようやく通知をテーブルに置いた。
「気持ち悪いのは確かだが、前線では珍しい配置じゃない」
ジェスが視線を上げて彼を見た。
「知ってるわよ」彼女は言った。「だから余計に気持ち悪いのよ」
その言葉に、アッシュは反論しなかった。
彼はただ短く沈黙した。自分が幼い頃から見慣れていて、とうの昔に存在を知っていた現実に対して、あまり体裁の良くない同意を静かに支払っているかのようだった。
彼らを見ながら、私はふと思った。このテーブルにいる人間は皆、通知の持ち方が違う。
Dはそれを「問題」として持っている。
アッシュはそれを「現実」として持っている。
ジェスはそれを「飲み込めない汚物」として持っている。
そして私は――
私はたぶんそれを、自分にはまだ距離があると思っていたのに、急に足元に投げ落とされた「解答」として持っている。
真紀はずっと何も言わなかった。
亜紀先輩が徴集兵に触れたときから、彼女は異常なほど静かだった。何も分かっていない静けさではない。頭の中では別の何かが動いているのに、まだそれを口に出すつもりがない、そういう静けさだ。
彼女は自分の通知を開き、視線を一行ずつ滑らせ、最後に艦番号と乗艦時間のところで止めた。
彼女の横顔を見ていると、急に少し腹が立ってきた。
彼女自身にではない。
その表情にだ。
なぜなら、私はその表情をよく知りすぎているからだ。彼女は本当に何かを心配しているとき、まず顔から感情の波を消し去る。「自分が十分に冷静でいれば、事態はそう簡単に悪化しない」とでも思っているかのように。
私が先に口を開いた。
「こういうことになるって、最初から知ってたのか?」
真紀は視線を上げ、私を見た。
彼女はすぐに否定もせず、あっさりと認めることもしなかった。ただ、ひどく平静に言った。
「前線の編制が混ざることは知っていた。それが私たちの乗る船の、どの階層まで混ざるかまでは知らなかった」
いかにも九島らしい答えだ。
とぼけもしないが、余計な情報も与えない。
だが、私には分かった。彼女が気にしているのは「徴集兵がいること」ではなく、「それが意味するのは、乗艦後、他人がきちんと処理してくれるという前提が通用しなくなることだ」という点だ。
彼女はまたうつむいて通知を一瞥した。
「もし艦長が本当に正式な制服を私たちに支給するつもりなら」彼女は言った。「それは少なくとも一部のポジションにおいて、彼が私たちを純粋な見学学生として扱っていないことを意味する」
Dが頷いた。
「ああ」
アッシュも頷いた。
「それに、船に大量の臨時補充兵が混ざり込めば、穴埋めに真っ先に使われるのは、たいてい『まだ使えそうに見える人間』だ」
ジェスはそれを聞いて、鼻で笑った。
「最高ね。私たちが今まで必死に生き延びてきた報酬は、システムから『お前ら結構しぶとそうだから、あっちの穴塞いできて』って判断されることだったわけだ」
「まあ、そういう意味になるな」私は言った。
「あんたがそんなに早く同意するの、むかつくんだけど」
「私もむかつくが、事実であることには変わりない」
リビングがまた静まった。
今度の静けさは、空白ではない。
全員が頭の中の認識のラインを引き直している時間だった。
元々のラインの名前はこうだ。
校外実習。
今のラインは、無理やりこう書き換えられた。
乗艦予備。補填予備。全員がそこにいたいわけではない船に、乗り込む予備。
アカリがソファの端に寄りかかったまま、ようやくのんびりと口を開いた。
「じゃあ、もう自分を学生だと思わないことね」
ごく当たり前のことを言うような口調だった。
だが、このリビングにいる誰一人として、彼女が間違っているとは言えなかった。
私は手元の通知を見下ろし、ふと指先が少し冷たくなっているのを感じた。
雪風号という三文字が、初めて「物語の中のかっこいい船の名前」ではなくなった。
それは、ひとつの場所になり始めていた。
そこに乗れば、私たちのような年齢の人間が見るべきではないものを見ることになる、そういう場所に。
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