62. 三日目 4
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
その叫びがあまりに真に迫っていたせいで、私まで一瞬、この家は本当に何かおかしいのではないかと思いかけた。
ドアの外の黒髪の女がわずかに眉を動かした。だが彼女が口を開くより早く、階段のほうから聞き慣れた声が降ってきた。
「どうかした?」
全員が一斉に振り返った。
真紀が二階から降りてくるところだった。
手には整理しかけのファイルを持ち、髪はきっちり束ねられ、顔には「また下で何かレベルの低い騒ぎを起こしてるのか」という、いつもの平静な表情が浮かんでいた。階段の中ほどまで来たとき、視線が私たちを越えて玄関の外の人物を捉え、その足がはっきりと止まった。
リビングが丸一秒、完全に静まった。
Dの顔色がその場で変わった。
「……なんで九島が二人いるんだ!?」
アッシュも隣に立ち、Dほど大げさではなかったが、明らかにこの常識外の光景を処理しようと努めていた。
ジェスはもう文明人であることを完全に放棄し、一歩後ずさってドアと階段を交互に指差した。
「何これ、量産型? 九島家って予備も付いてくるの!?」
私は深く息を吸った。
「黙れ」
「今は無理だよ、シモ」彼女は幽霊でも見たような顔をしていた。「この光景、心臓に本当によくない」
そのとき、真紀はすでに階段を降りきっていた。
私たちの後ろに立ち、玄関の外の人物に視線を落とす。表情に大きな変化はなかったが、その一瞬が決して嬉しいものではないことは、私にははっきり分かった。
「……姉さん」彼女は言った。
その呼び方が出た瞬間、私を除く全員の表情が同時に固まった。
上出来だ。
これでようやく、「九島が二人いる」という生物学的常識に反する光景の説明がついたわけだ。
ドアの外の黒髪の女――つまり生徒会長――は、まず真紀の顔に視線を止め、それからゆっくりと玄関とリビング全体を見渡した。
「……真紀、あなたたち、ずいぶん楽しくやってるじゃない」
口調は落ち着いていた。
だがなぜか、その「楽しく」という言葉には、多少の見物気分が混じっているように感じられた。
ジェスが私の隣で小さく息を呑んだ。
「終わった、お姉ちゃんバージョンだ」
「次それ言ったら、お前を外交官として外に突き出すぞ」私は小声で返した。
ドアの外の黒髪の女がついに一歩前に出て、正式に玄関へ足を踏み入れた。
「初めまして」彼女は言った。声は澄んでいて、発音ははっきりしていた。「生徒会長の九島です」
そこで少し首を傾け、真紀を淡々と一瞥してから、後半を補った。
「九島亜紀です」
正直、この自己紹介は不要だった。
その場にいる者で、冷凍ポッドから這い出てきたばかりでもない限り、彼女が誰かは全員知っている。ただ、知っていることと実際に目の当たりにすることは別だ。特に真紀と同じ画面に収まったとき、その血縁の実感は急に具体的なものへと変わる。瓜二つというわけではない。だが一目で分かる――ああ、この二人は確かに同じ家の出身で、人を頭痛にさせるやり方まで遺伝しているのだと。
さらに厄介なことに、亜紀先輩は一人で来たわけではなかった。
彼女の後ろから、もう二つの人影が入ってきた。
先に入ってきたのはリンデ・ホフマン。相変わらず、頭の中で何を計算しているのか分からない総務特有の表情のまま。その後ろには二階堂・フレイヤ(にかいどう・フレイヤ)が続き、視線を一巡させるだけで「お前らがちゃんと行儀よくしているか確認しに来た」という空気を撒き散らしていた。
ジェスは二人を見た瞬間、まったく隠さない嫌悪感を顔に浮かべた。
「うわ」鼻に皺を寄せる。「二階堂・フレイヤとリンデ・ホフマンまでご一緒か」
フレイヤはその言葉を自然に聞こえなかったことにし、さらに一歩前に出て、リビング、テーブル、階段、下駄箱を堂々と見渡した。まるで抜き打ちの風紀検査でもしているかのようだった。
「当然でしょう」彼女は言った。「あなたたちは本校外宿の第一号モデルケースなのだから、ここで風紀上問題のある行為が行われていないか確認するのは当然の義務よ」
私はその場で笑った。
礼儀正しい笑いではない。
直接的で、意地悪くて、わざとらしい笑いだ。
「へえ」私は遠慮なく口を開いた。「泥棒猛々しいな」
玄関の空気が微妙に固まった。
リンデの表情はほとんど動かず、亜紀先輩も眉一つ動かさなかったが、フレイヤにはそこまでの自制心はなかったらしい。その場で振り返り、私を睨みつけた。
「星野霜!」
「何ですか、先輩?」私は階段の手すりに寄りかかり、心底誠実そうな顔で見返した。「そんなに慌てて名乗り出なくても。別に名指ししてませんけど」
「あなたね――!」
彼女が怒りのまま一歩踏み出そうとしたその時、亜紀先輩の「静かに」という平坦な一言がそれを断ち切った。
声は大きくなかった。
だが、十分に効いた。
フレイヤはすぐに口を閉ざしたが、顔はまだ不機嫌なままだった。
亜紀先輩はこんな低レベルな口喧嘩に構う気もないというように、顎をわずかに上げた。
「リンデ、フレイヤ。配って」
リンデがすぐに動いた。
彼女とフレイヤはそれぞれ書類の束を抱えてリビングに入り、資料を一部ずつテーブルに配っていった。ただの公文書でも寮の通知でもない。正式なシステムから出力されたと一目で分かる硬質の封筒と薄型のファイルケースだった。表紙には学院と連邦軍務の合同識別章が印刷され、私たち一人ひとりの名前が入っていた。
さっきまで「九島が二人」の荒唐無稽さで沸いていた空気が、ここで一段、押し沈められた。
自分の封筒を見下ろしながら、私はあの嫌な予感がまた戻ってくるのを感じた。
亜紀先輩はテーブルの脇に立ち、相変わらず落ち着いた声で言った。
「正式な実習通知です」
前置きなく、直接本題に入った。
「集合時間、艦番号、停泊位置、それから今回の乗艦時に先行支給される正式な乗員制服の情報が入っています」
その一言で、テーブルを囲む何人かがほぼ同時に顔を上げた。
正式な乗員制服。
その五文字だけで、重みがまるで違った。
二日前まで、私たちはこの家の中で、入浴の順番、冷蔵庫の棚、地下室の配線方式をめぐって、文明の際にいる連中のように言い争っていた。それが今、艦から本当に届いたものが、私たちのテーブルの上に置かれている。
シミュレーションではない。
仮定でもない。
「そのうち雪風号に乗るかもしれない」という口約束ですらない。
正式な通知だ。
「ただし」亜紀先輩は視線を全員に巡らせ、淡々と付け加えた。「正式な乗員制服は、配られたからといって、それで確定するわけではありません」
一拍置いて、その言葉を全員の耳に沈み込ませてから。
「艦長の承認があって初めて、あなたたちは本当にそれを身に着けられます」
この一言は容赦がなかった。
しかも、いかにも生徒会長らしい容赦のなさだった。
なぜなら、それは直接的な打撃ではなく、礼儀正しくこう釘を刺しているに過ぎないからだ。
――浮かれるな。
――物は先に渡す。資格はまだだ。
私は手を伸ばして自分の封筒を引き寄せた。指先が硬い紙に触れた瞬間、心の中に妙な感覚が広がった。
まるでここ数日、二十二番地の中で育ってきたあの日常が、初めて外からの本物の重みに押し下げられたような感覚だった。
そのとき、亜紀先輩がふと私を見た。
流し見ではない。
明確に、視線を私一人に定めていた。
「特に、お前だ、星野」
私の手が止まった。
「……は?」
この「は?」はかなり間抜けだった。
だが、あまりにも当然のように名指しされたので、それ以上気の利いた反応が思い浮かばなかった。
亜紀先輩は表情をほとんど動かさず、私を見つめた。
「お前のその『とりあえず乗ってから考える』って発想は、そろそろ収めておいたほうがいい」
……くそ。
読心術でも使えるのか、こいつは。
私はまだ一言も口にしていないのに、どうして私の頭の中で一番触れられたくない場所を、こうも正確に踏んでくるのか。
「お前たちの陸戦隊班の下に新しく編入される新兵たちだが……」
彼女は一瞬、言葉を切った。
その間はごく短かったが、絶妙な長さだった。あまり心地よくない事実のために、少しでも刺の少ない言い方を選んでいるような間だった。
それでも、彼女は結局そのまま言った。
「……その多くは、徴集兵です」
リビングが一瞬で静まり返った。
さっき「九島が二人」を見て言葉に詰まった、あの荒唐無稽な静けさとは違う。
もっと、深く沈んでいく種類の静けさだった。
私は彼女を見つめながら、頭の中に真っ先に浮かんだ言葉は、まったく品のないものだった。
くそったれ。
全員、無理やりかき集められてきた連中ってことかよ。
口には出さなかった。だが、その考えが浮かんだだけで、胃の奥がずしんと一段沈んだ。
徴集兵。
職業軍人ではない。
完全に訓練を仕上げられた人間でもない。
幼い頃から軍の人生を既定の運命として歩んできた人間でもない。
穴を埋めるために引っ張り込まれた人間たちだ。
この言葉の重さは、ジェスでさえすぐには口を挟めないほどだった。
Dの表情がまず沈んだ。アッシュのいつもの余裕の殻も、少し引き締まった。ロイは通知をめくる手を止め、蘭は無意識に何かを頭の中で再計算しているようだった。ハーヴィーは黙り込み、エヴリンの眉間にはかすかに皺が寄り、フレイヤとリンデでさえ、入ってきたときの巡察気分が消えていた。
私はふと、はっきりと一つのことを理解した。
私たちがどれだけ若くても、どれだけ学生気分が抜けていなくても、少なくとも自分の意志でここに立っている。
だが、雪風号の下にいる人間たちは、そうとは限らない。
亜紀先輩は私たちを見渡し、その言葉がそれぞれの中に落ちるべき場所に落ちたことを確認してから、最後に淡々と付け加えた。
「だから、今からはこの件を校外合宿だと思わないほうがいい」
彼女が言い終えても、リビングで誰もすぐには言葉を返さなかった。
私は手の中の正式通知を見下ろし、受け取ったときよりもさらに重くなったような気がした。
さっきまで、この家に幽霊が出たのかと思っていた。
今となっては、幽霊よりも面倒なものが、正式にこの家の玄関を叩いてきたのだ。
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