60. 部屋割り戦争 2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
「その表現はかなり失礼だぞ」
「だが的確だ」とハーヴィー。
真紀はあろうことか否定しなかった。
彼女はただ極めて冷静に言った。「少なくとも私は、彼女が忙しさにかまけて夕食をスキップするような事態は防げる」
その言葉が出た瞬間、テーブルにいた数人が一斉に黙って私を見た。
即座に嫌な予感がした。
「……そんな目で私を見るな」
ロイがうつむいて端末を見る。
「今週の水曜、昼食抜き」
ランも続いて記録をめくる。
「先週の金曜、夕食を二十一時半まで引き延ばし」
ジェスが意地悪く笑う。
「図書館にいた日なんて、誰かが食べ物を差し入れなかったら、あんた今頃とっくに成仏してたわよ」
「お前ら、一体どうしてそんなことまで記録してるんだ?」
「あんたが記録を必要とするような惨状を自ら作り出してるからでしょ」とアカリ。
私は沈黙した。
これは私が負けたわけではない。ただ、不公平な戦場において、自分が最近積み重ねてきた前科によって生き埋めにされただけだ。
こうして真紀は、ほぼ何の波乱もなく「安定支援ポジション」の第一候補に推し上げられた。
問題がもう片側に移った時、事態はむしろさらに厄介になった。
「制御可能な緩衝」というポジションは、本来ならジェスを指しているように聞こえるが、実際のところ付随するリスクがあまりにも多すぎるからだ。
当然、ジェス本人は負けを認めない。
「ちょっと待ってよ。真紀が安定ポジションを取るなら、私が緩衝ポジションを取ればちょうどいいじゃない? 右に真紀、左に私。文武両道、シモは左右から恩恵を受けられて完璧でしょ」
「それは文武両道とは言わない」私は言った。「片方でなだめながら、もう片方で爆破してるだけだ」
「それがバランス感覚ってもんでしょ」
「それを構造的リスクと呼ぶんだ」ロイが冷ややかに補足した。
ハーヴィーはビスケットをかじりながら頷いた。
「ああ。それに、もしジェスを星野の隣に住まわせたら、深夜に真っ先に鳴り響くのは警報じゃなくて笑い声だ」
「泣き声が響くより笑い声のほうがマシでしょ?」ジェスは堂々と言い放つ。
「その泣き声がお前の笑い声のせいで引き起こされる場合があるって、考えたことはないのか?」
ここでアイダが再び遠隔から刃を突き立ててきた。
『アイダ:管理の観点から評価するなら、星野の睡眠の質を損なう可能性が最も高い二名を隣接させることは推奨しない。』
ジェスは不満そうだ。
『ジェス:ちょっと、二名ってどういうこと? もう一人は誰よ?』
アイダは二秒置いてから返信した。
『アイダ:お前だ。』 『アイダ:そしてもう一人は、星野自身だ。』
その文字列を見て、私は完全に反論の余地を失った。
この女の最も恐ろしいところはここだ。彼女は常に最も客観的で事務的な口調で、端末をスープの中に投げ込みたくなるような真実を的確に突いてくる。
ジェスはむしろ声を上げて笑った。
「オッケー、今の言葉は認めるわ。確かにシモ自身も一種の夜間リスク源だもんね」
「ありがとう。お前らが私の睡眠の質についてそこまで研究してくれているとは、感動の極みだよ」私は乾いた声で言った。
議論は再び数分間膠着した。
ランは紙に線を引き、Dは配置図を睨み、ロイは動線を再計算し、ハーヴィーは対岸の火事を大いに楽しむ見物人の顔をしている。アカリはといえば、岸辺で甲羅干しをする魚のように動くのを面倒くさがっているくせに、口を開けば蹴り飛ばして水に戻したくなるほど正確な一言を放ってくる。
最終的にこの膠着状態を打破したのは、意外にも真紀だった。
「私が一歩引く」彼女は言った。
全員の視線が彼女に集まる。
ジェスも眉をひそめた。「へえ?」
真紀は端末をこちらに向け、平面図を指差した。
「シモの隣の片方は私が取る。もう片方は、必ずしも誰かが住む必要はない」
テーブルが丸二秒間、完全に静まり返った。
「……どういう意味だ?」私は尋ねた。
「つまり、その部屋はひとまずフリースペース(弾性室)にするってことだ」真紀は私を見つめ、本棚の配置でも決めるかのように平然と言った。「臨時の資料室にしてもいいし、共有の静寂室にしてもいいし、ローテーションで使ってもいい。そうすれば、シモは両側から挟まれることもないし、ジェスも近くをうろつくことはできる。だが、直接隣に住むことにはならない」
ジェスの表情がからかいから真剣なものに変わるまで、わずか半秒しかかからなかった。
彼女は理解したのだ。
この手は非常に巧妙だ。陰湿と言ってもいいほどに。
真紀は「両隣を自分が独占する」という強欲な配置を狙ったわけではない。むしろ自ら一枠を譲り渡し、寛大で、合理的で、機能重視の、全体運用を見据えた成熟したプランであるかのように見せかけた。
だが、実際の効果はこうだ――彼女は私の隣という絶対的な優先権を確保した上で、ついでにジェスを「隣」から「近所」へと追いやったのだ。
この手口の鮮やかさには、背筋が凍る思いがする。
ジェスが笑った。
先ほどの単に見物を楽しむような笑いではない。ついに好敵手に巡り合い、全身で喜びを表現しているような笑いだった。
「真紀、あんた本当にどんどん腕を上げてるわね」
「私はただ、これが一番静かだと思っただけだ」
「よく言うわ」ジェスは頬杖をつき、目を輝かせた。「管理の皮を被った、立派な縄張り宣言じゃない」
真紀は否定しなかった。
それどころか、彼女はほんのわずかに顎を上げた。
「なら、反対するか?」
……うわあ。
私は心の中で、非常に情けない感嘆の声を漏らした。
今のセリフは、普段のあの執着心が強くて静かな真紀が口にするようなものではない。食堂の長テーブルの前に座っていながら、すでに陣取り合戦の思考で盤上に石を打ち始めている人間のそれだ。
ジェスはしばらく彼女を見つめた後、ふと顔を向けて私を見た。
「シモ、あんたはどう思う?」
テーブル全員の視線が一斉にこちらに圧しかかってくる。
私は瞬時に理解した。
こいつら、散々騒ぎ立てた挙句にようやく思い出したのだ。争奪ポイント本人がまだ生きていて、理論上はほんのわずかながら発言権を持っているはずだということに。
私は平面図を睨みつけた。
さらに、彼女たちの口論のせいで今にも怨念が具現化しそうなあの廊下を睨みつけた。
それから、極めて真剣に思考を巡らせた。
もしジェスを隣に住まわせたら、私は引っ越して最初の一週間で彼女の首を絞めたくなるだろう。
もし真紀に両脇を完全制圧させたら、三階の権力構造はあまりにも静かで恐ろしいものになる。
もし両側に人が住めば、今後深夜にどちらかがドアを叩きに来た時、もう一方は即座にそれを察知することになる。
もし片方をフリースペースにしておけば……確かに、かえって安全かもしれない。
少なくとも、私の心臓にとっては。
私はゆっくりと顔を上げた。
「……とりあえず、真紀の案でいく」私は言った。
ジェスが目を細めた。
「わお」
真紀の表情に大きな変化はなかった。ただ、瞳の奥の光がほんのわずかに揺らいだ。自分が勝ったにもかかわらず、あまり勝ち誇っているように見せないよう懸命に努めているかのように。
私はジェスが口を開く前に付け足した。
「あくまで『とりあえず』だ。私たちが今話し合っているのは生存できるかどうかであって、誰かの個人的な趣味を満たすことじゃない」
「私の個人的な趣味も、あんたを生き延びさせることなんだけど」ジェスが抗議する。
「お前の趣味には、私が恥をかくのを見物することも含まれてるだろ」
「それは付加価値よ」
ハーヴィーがそのまま笑い転げた。
Dが頷き、決定を下す。
「よし。三階の第二ラウンドはひとまずこう記録する。星野は中枢ポジション、真紀が片側に隣接し、もう片方は暫定的にフリースペースとする。以後は入居後の状況を見て再調整だ」
ロイが同時に補足する。
「さらに注記。ジェスはフリースペースの使用権を勝手に自分の専用だと見なしてはならない」
「ちょっと!」ジェスがテーブルを叩く。「それ、私への当てつけが過ぎない!?」
「当てつけじゃない」ランが言った。「予防だ」
「みんな、私への偏見が本当に深すぎるわ」
アカリがようやく怠そうに総括した。
「偏見じゃないわ。みんなが生きている証拠よ」
その言葉が出た瞬間、テーブルは半秒静まり返り、それから全員がどっと笑った。
私も笑った。
仕方がない。あまりにも的を射すぎている。
私の隣室を中心としたこの三階の修羅場は、最終的に一見理性的でありながら、その実、人情と私欲の残骸に満ちた結果として一時的に収束した。真紀は最も重要なポジションを獲得し、ジェスは口では不服を言いながらも強引に騒ぎ立てることはしなかった。アイダは遠隔から見事な追撃を決めて清々しくしており、他の面々は野次馬、煽り、記録、火に油を注ぐといったそれぞれの役割を十二分に果たした。
そして私はそこに座り、グループチャットとテーブルの周りの面々を眺めながら、ふと奇妙な実感に襲われた。
これはまだ単なる隣室の話に過ぎない。
私たちはまだ正式に引っ越してすらいないのだ。
それなのに、彼女たちはすでに「誰が私に一番近い場所にいるべきか」という一点において、編成マニュアルに書き込めるほどの一連の論理と感情をぶつけ合っている。
……正直言って、少し恐ろしい。
そして少し――
いや、やめておこう。
そんな言葉は、今の私は認めたくない。
私はカップを手に取り、すっかり冷めきったスープを一口飲んだ。そして、全員が「あのフリースペースに一番よく入り浸るのは誰か」という新たな戦火を交え始める前に、先んじて口を開いた。
「ストップ。今日はここまでだ」
ジェスが即座に不満の声を上げる。
「えー、これからがいいところなのに」
「お前の人生は、毎回他人の見せ場に依存して生きるのをやめられないのか?」
「無理ね」
だが、誰よりもあっさりとしていたのは真紀だった。彼女は端末をパタンと閉じた。
「よし、今日はここまでだ」
真紀がそうやって話を締めくくると、他の面々もそれに乗じてすっと熱を引かせた。
私は、彼女がごく自然な顔で私のために終わりを守ってくれるその様子を眺めながら、ふとまた嫌な予感を覚えた。
――このまま行けば、三階で本当に一番危険なのは、ジェスでも部屋割りでもない。「彼女に受け止めてもらえる」という感覚を、私自身がいつの間にか当たり前のことだと思い始める。それこそが致命的だ。
私は心の中で長く息を吐いた。
上出来だ。
部屋割りはまだ終わっていないのに、問題はもう次の段階に進化している。
そして明日には、必ず続きがあることも分かりきっていた。
なにしろ、第144班が一度始めた戦争を、本当に二ラウンドだけで終わらせたことなど一度もないのだから。
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