58. 現地ロケハン 3
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
目覚まし時計が鳴る前に、目が覚めた。
これはたいてい、いい兆候じゃない。
人間が決められた時間より前に自然に目覚める理由は、たいてい三つしかない。一つ、前の晩に寝るのが早すぎた。二つ、内分泌のバランスが崩れている。三つ、厄介事のほうから扉を叩きに来ている。そして最近の私の人生の流れから考えると、最初の二つはあまりにも健康的すぎて、現実に合わない。
寝返りを打って、枕元から端末を手探りで探し当てた。画面が点いた瞬間、真っ先に目に入ったのは、一番上に表示されたアイダの名前だった。
その場で、嫌な予感がした。
普通、地位の高い人間から届く、語気が平静で、しかも送信時刻が特別に早いメッセージというのは、「おはよう、今日も元気にね」の類ではない。多くの場合、それは文明社会の包装紙で包まれた砲撃予告だ。
開いた。
短い数行だけだった。
アイダ・ローゼン「A案のビル型プランがなくなったわ」 アイダ・ローゼン「残ってるのは平屋だけ」 アイダ・ローゼン「今日の午後、時間があれば、現地を見に来ない?」
その数行を三秒見つめた。
それから、無表情のまま二文字だけ返した。
星野「サボる?」
メッセージはほぼ即座に既読になった。
アイダの返信は速かった。速すぎて、彼女は朝の時間さえ政治的な違反操作の処理に充てているんじゃないかと疑いたくなるほどだった。
アイダ・ローゼン「公休は申請できる」 アイダ・ローゼン「生徒会が臨時の公休証明書と、校外出入許可を出せる」 アイダ・ローゼン「ただし、大勢では行けない」 アイダ・ローゼン「あと二人まで連れて行ける。あなたと私を合わせて、合計四人」
その一文を見つめて、口の端がぴくりと引きつった。
いいね。
これが最近、私がどんどん詳しくなり、どんどん唾を吐きかけたくなっている、あれだ——権力の腐敗。でも、すごく使い勝手がいい。
昨日、心の中でさんざん唾棄したばかりのこの仕組みが、今朝にはもう、糊のきいた制服を着て私の部屋の扉を叩き、「学生さん、特権が必要ですか?」と言ってくる。
本当に気持ち悪い。
でも、本当に便利。
端末をベッドに伏せて置いて、天井を二秒ほど見つめた。
「……クソが」
太陽はまだ完全には差し込んでおらず、寮の天井は相変わらず、安っぽい精神矯正施設みたいな白さをしていた。一度目を閉じて、それから心の中で、正直に後半を付け足した。
——でも、遠慮なく使う。
洗顔を済ませ、制服に着替え、まだ国家制度と向き合う準備のできていない顔で部屋を出ると、ジェスはすでに机の前に座って、工業用燃料みたいに危険な色をしたインスタントコーヒーを飲んでいた。
彼女は私を一瞥して、ひどく癪に障る笑みを浮かべた。
「どうしたの、その顔。朝っぱらから出世と金儲けのチャンスを頭に投げつけられたのに、品行方正なふりをして拾いたくないって顔してるけど」
「あなた、最近その観察力を全部悪いことに使ってない?」
「その言い方、曖昧すぎて告発にならないよ」
椅子を引いて座り、端末を机の上に放り出した。
ジェスがちらりと画面を見て、口笛を吹いた。
「おー、アイダ先輩が自ら道を開いてくれてる。公休、出入許可、現地見学。シモ、あんた今、『正しい人の隣に立つことは、努力そのものより戦術的価値がある』ってことを猛スピードで学んでるね」
「その言葉、あんたの口から出ると教育的価値がまったくない」
「私は教育機関じゃなくて、民間コンサルタントだから」
「あんたはどっちかというと非合法の仲介業者だと思う」
ちょうどそのとき、真紀が中から出てきた。髪はまだ少し緩んでいて、手にはまとめた講義資料を抱えている。彼女の視線が机の上の画面に落ちて、一目見ただけで七、八割は理解したようだった。
「ビル案、なくなったの?」
「うん」私は言った。「平屋だけ残ってる。午後に見に行ける。生徒会が公休を出せるって」
真紀は一秒黙った。
「……本当に出せるの?」
「うん」
彼女のその目は静かに私を見ていた。驚きはなく、ただ制度の隙間に対する、いかにも九島家らしい、慣れた平静な理解だけがあった。
「なるほど」
「その『なるほど』、全然驚いてないみたいに聞こえるんだけど」
「驚いてないから」真紀は講義資料を机に置き、淡々と続けた。「ただ、昨日あれだけ正義感たっぷりに罵っていたあなたが、今日の昼にはきっと、その公休証明書をきれいに折りたたんで、制服のポケットに収めるんだろうなって思っただけ」
私は彼女を見た。
彼女も私を見た。
隣でジェスがコーヒーをこぼしそうになりながら笑っていた。
「あはははは、真紀、朝っぱらから彼女の肺にナイフ突き立てるのやめなよ」
「予測を述べただけ」
「その予測、当たってる」私は無表情で言った。「もしその証明書が本当に取れたら、きれいに折るだけじゃすまない。しわになるのが怖くなるくらい」
真紀がふっと、軽く笑った。
その笑いは小さくて、短くて、ほとんど音もなかったのに、多くの人間の大笑いよりずっと危険だった。なぜなら、彼女が笑っているのは制度でも、他の誰かでもないと、急に気づかされるからだ。
彼女は私を笑っている。
しかも、「やっぱりね」という種類の笑いだ。
正直、腹立たしい。
そして、可愛い。
……私は最近疲れすぎて、生存に不利な判断の歪みが出始めているんじゃないだろうか。
*
午前の授業は、相変わらず酷かった。
もっとも、これは授業そのものを責めるべきじゃない。授業に本来どれだけ価値があろうと、私の頭が一時間目からずっと「昼にはあの公休証明書は本当に下りるのか」ばかり考えているなら、どんな講義も、制度的腐敗がもたらす精神的刺激には勝てない。
軍校で一番恐ろしいのは、高圧でもなく、順位でもなく、どこかの教授が急に指名して人間の皮を二枚剥ぐことでもない。
それが、もともとそれなりに普通だった人間を、じわじわと「合法的な裏口が開いている」と聞いただけで期待してしまうような生き物へと調教していくことだ。
三時間目が終わったところで、少しだけ自省してみたが、自省が現実に何の得にもならないと分かって、あっさりやめた。
昼、「よし、連邦の制度が今日はどんな形で私を辱めてくれるか見てやろう」という気分で、生徒会の臨時行政窓口へ向かった。
結果、三分もかからずに、向こうは書類を差し出してきた。
印鑑は揃っている。
書式も完璧。
公休の事由はもっともらしい文言で書かれていた。要するに、期末編成に関わる住居および行動整備の調査のため、短時間の離校を承認する、という内容だった。
その下には、臨時の校外出入許可まで付いていた。
その二枚の紙を手に窓口の前に立ったまま、まる二秒黙り込んだ。
それから、実に情けなく、心の中で一言だけ言った。
……クソ、これは本当にいい匂いがする。
昨日の私が今の私を見たら、まず根性なしと罵ってから、その二枚をひったくって自分でしまい込むだろう。
公休証明書を丁寧に折りたたんで、制服の内ポケットに押し込んだ。軍事機密でも扱うみたいに、慎重な手つきで。窓口の向こうの生徒会メンバーは見慣れた様子で、私を二度見することさえなかった。この学校で本当に希少なのは、特権そのものじゃなくて、特権に対してまだ恥を感じられる人間のほうらしい。
真紀が廊下の反対側で待っていた。
「取れた?」
書類を取り出して、ひらひらと振ってみせた。
それを見て、彼女の口の端がわずかに上がった。
「だから言ったでしょ」
「今の顔、飼い主を罵ったくせに自分から缶詰を食べに戻ってきた野良猫を見てるみたいなんだけど」
「あなたなら、食べながら睨み返してくるタイプでしょうね」
「それ、侮辱してるの? それとも理解してるの?」
「両方」
ジェスは壁にもたれて、すでに内部情報を使って空売りに成功した投機家みたいな笑い方をしていた。
「よし、公文書も出たことだし、午後はまだ教室に戻るふりをするつもり?」
「戻らない」書類をしまった。「ここまで腐ってしまったら、授業に戻るほうがかえって制度に失礼」
「見事」ジェスが拍手した。「あんた、成長が早いね、シモ」
「黙って」
*
最後、行くことになったのは私とアイダの二人だけだった。
三人目、四人目に来たがる人間がいなかったわけじゃない。
ただ、人数制限はそこにあるし、それにこの手の、初めての現地見学に大勢を引き連れて押し寄せるのは、汚職官僚の遺産を見学する校外学習みたいで、そもそも似つかわしくない。第144班は普段、大半の場面で普通の学生らしくないけれど、少なくとも恥の規模を最小限に抑えるべきときくらいは弁えている。
校門の外の風は、校内よりも少し乾いていた。
外に出ると、アイダはすでに来ていた。
今日はあまり畏まった上着は着ておらず、薄いファイルを一つ手にしているだけで、道端に立つ姿はごく自然だった。自然すぎて、まるでこれから私を汚職事件で流出したらしい高級住宅に案内するんじゃなく、ただ午後のついでにお茶にでも誘っているみたいに見えた。
こういう人間は、本当に怖い。
規則すれすれのことを何をやっても、まるでその規則が最初から彼女たちのために誂えられたものであるかのように、こなしてしまう。
「書類は取れた?」彼女が聞いた。
内ポケットを軽く叩いた。
「取れた。連邦の行政効率って、こういうところでだけ、妙に感動的なくらい速い」
アイダは少し笑ったが、私の皮肉には乗らず、ただ手を挙げてタクシーを止めた。
正直に言うと、彼女が手を挙げたその瞬間、頭に真っ先に浮かんだのは「速いな」じゃなかった。
——原付の免許、取ったほうがいいんじゃないか。
その考えは、ひどく現実的で、ひどく物悲しかった。
もし第144班が本当に校外に住むことになったら、平均して一日最低三件の突発事態、二件の物流需要、それにもう一件のわけの分からない修羅場を量産する私たちみたいな集団には、機動力のある乗り物なしではどうにもならないと、ふいに気づいたからだ。
車は大人の領域だ。
原付は貧乏学生に残された最後の尊厳だ。
そして今の私には、その尊厳すらまだ無い。
「乗って」アイダが言った。
後部座席に乗り込み、ドアが閉まると、学校はすぐにガラスの向こうへ隔てられた。運転手が住所を告げると、車は滑らかに走り出し、午後の街並みが窓に沿って後ろへ流れていった。
学校から鉑橋街まで、確かにそれなりの距離があった。
校区から離れていくほど、周りの建物は「若者を使える部品に押し潰す場所」らしさを失っていき、代わりに誰かが本当に人生をかけて住んでいる場所らしくなっていった。道幅が広くなり、木々も増え、道沿いの塀や表札には、声高ではないある種の値段の気配が漂い始めた。派手なそれじゃない。一目見ただけで分かる——ここでは沈黙でさえ、値打ちが違う。
窓にもたれて外を眺めながら、あまり口を開かなかった。
アイダも無理に話題を探そうとはしなかった。
これは認めなければならない。彼女は距離の取り方が本当にうまい。わざわざ近づいてきて馴れ馴れしくするタイプでもなく、かといって沈黙を気まずくもさせない。彼女といると、いつもどこか微妙な感覚がある——清潔で、穏やかで、礼儀正しい空間に立っているはずなのに、その床下には恐ろしいほど精密な仕掛けが埋まっていると分かっている、そういう感覚だ。
窓の外を見ながら、頭の中では別のことを計算していた。
本当に住むとしたら、十一人。
車一台分、バイク二台分。
男子が一階層、女子が一階層、共有スペースが一階層。
冷蔵庫は十分な大きさが要る。テーブルも十分な大きさが要る。浴室の数は削れない。洗濯の動線は、できれば戦場にならないほうがいい。それに——もし本当に原付の免許を取りに行ったら、ジェスはそれを知った瞬間、まず三日は笑い転げ、それから「教えてあげようか」と聞いてくるに決まっている。
駄目だ。
その光景は事故が起きやすすぎる。
Dに頼んだほうがまだましだ。
もっとも、Dが人に教える光景は、たぶん装甲部隊の基礎運転訓練みたいになるだろうし、私はおそらく五分以内に、自分は前線にでも送られるんじゃないかと疑い始める気がする。
「何を考えてるの?」アイダがふいに口を開いた。
すぐには彼女のほうを見なかった。
「原付の免許、取るべきかどうか考えてた」
彼女は明らかに一瞬固まり、それから笑った。
その笑い声は低く、軽かった。私がずっと黙り込んだ末に出した結論が、まさかこれだとは思っていなかったみたいだった。
「ずいぶん現実的ね」
「私はいつだって現実的」私は言った。「理想は人を乗せられないけど、バイクなら乗せられる」
「その言葉、覚えておく」
「覚えないで。貧乏くさく聞こえるから」
「あなたは貧乏なんかじゃない」アイダは窓の外に視線をやりながら、平坦な声で言った。「ただ、ようやく生活そのものを、部隊指揮官の視点で考え始めただけ」
眉をひそめた。
「急に私を、もう兵を率いてるみたいに言うのやめて」
「遅かれ早かれ、そうなるから」彼女は言った。
こういう人間は、本当に厄介だ。
声を荒げることもなく、追い詰めることもないのに、一言放り込まれると、それがちょうど心の中に、まだ爆発していない小さな釘みたいに刺さって残る。
相手にするのが面倒になって、そのまま窓の外を見続けた。
しばらくして、車の速度が落ちた。
運転手が車をより静かな通りへ折れ込ませた。両側の住宅は互いに絶妙な距離を保っていて、富をひけらかすでもなく、庶民的なふりをするでもない。「うちは広い。でも、あなたにどれだけ広いか知らせる必要はない」という支配階級の美意識を、完璧に体現していた。
そして、車が止まった。
「着きました」運転手が言った。
顔を上げ、フロントガラス越しに外を見た。
表札の番号が、はっきりと掲げられていた。
鉑橋街二十二番地。
第一印象は、豪華、ではなかった。
不当なほど大きい、というものだった。
控えめな鉄門。前庭はさほど大袈裟ではないが、明らかに手が入っている。門の脇には、何かを剥がして剥がしきれなかったような痕がうっすらと残っていた。連邦の差し押さえ公文書がかつて貼られていて、なかったことにしたい誰かの手で、後で乱暴に剥ぎ取られたような跡に見えた。
建物本体は少し奥まって建っていた。地上三階、線は端正で、成金趣味の過剰な装飾はない。むしろ、「建てた人間は自分をできるだけ潔白に見せたかった」というような体面の良さがあった。横には平面の駐車スペースが残されていて、一目で車一台・バイク二台の配置だと分かる。前庭の奥には、さらに奥まった空間がうっすら見えた。おそらくそこが、いわゆる裏庭にあたるのだろう。
車を降りて、顔を上げて見上げた。
三階分の窓面が、午後の光の中で静かな輝きを反射していた。爪を引っ込めた巨獣が一匹、行儀よくそこに蹲って、自分はただの普通の不動産ですよ、というふりをしているみたいだった。
誰が信じるものか。
この坪数、この立地、この来歴。
どう見ても、私たち第144班のような編成と、合理的な接点が生まれるような性質のものじゃない。
「ここよ」アイダが私の隣に来て、淡々と言った。「鉑橋街二十二番地。もともとは、ある官僚が自分のために用意した逃げ道だったらしいわ。結局、その逃げ道を使う前に隣人に通報されて、本人ごと事件ごと沈んだ」
「隣人、正義感が強いのね」
「単に気に入らなかっただけかもしれない」
「それも正義の一種でしょ」
アイダは少し笑って、否定はしなかった。
両手をポケットに突っ込んだまま、門の外に立って、その建物を見上げた。
何とも言えない感覚が、ゆっくりと背筋を這い上がってきた。
単純な期待じゃない。
不安でもない。
むしろ、口先だけの冗談にしてきたものが、今、本当に目の前に置かれたと気づいたときの、あの感覚に近かった。
校外住居。
十一人。
明らかに、私たちの手に落ちるべきじゃない一棟の家。
そして、「期末整備」という言葉で包装された、極めて実用的で、極めて不健全な、一連の特権の運用。
黙ったまま、その表札を見つめた。
二十二番地。
なぜだか分からないが、ここに立っているだけで、もうこんな予感がし始めていた——
もし第144班が本当にここに住むことになったら、この先、この場所に静かな一日など、たぶん一日も来ない。
そして、そういう予感はたいてい当たる。
アイダが門の前へ進み、ファイルから鍵を取り出して、首を傾けて私を見た。
「入る、シモ?」
私は彼女を一瞥し、それからその扉を見た。
そして、ごく軽く息を吐いた。
……終わった。
今回は本当に、最後まで骨抜きにされそうだ。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




