57. 部屋探しは人生の一大イベント 1
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
翌日の昼、私は単独でアイダ・ローゼンを呼び出した。
秘密会談でも、月明かりの下での決戦でもない。
ただ単純に——国防委員長の娘に「私たち十一人を鉑橋街の高級士官住宅に押し込んでもらえないか」という、制度のジョークみたいに聞こえて実際には本当にどうにかなりそうな話をするなら、周囲に人があまりいない、自分の尊厳を花壇に投げ込みたくなる衝動を覚えずに済む場所を選んだほうがいいと思ったからだ。
場所は、上院と共用教学区の間にある半屋外の渡り廊下だった。
天気がよかった。
よすぎた。まるで連邦というこの巨大な機械が、たまに「ほら、私たちは実は文明的でしょ」という顔をして見せるみたいな晴れ方だった。中庭の上方にあるガラスドームを透過した陽光が、ベンチや手すりや床に落ちて、清潔なほど明るかった。あまりにも清潔で、私はそこに立っていたとき、一瞬だけ自分が恋でも語りに来たんじゃないかと思いかけた。合法的に補助を最大限に搾り取って高級士官住宅に入居する方法を交渉しに来たんじゃなくて。
……残念ながら、手元の条件表を見下ろした瞬間にロマンは死んだ。
そこには昨夜と今朝の議論で叩き出した成果が、整然と並んでいた。
十一人編成 男子が一階層 女子が一階層 共有スペースが一階層 最上階に洗濯 エレベーターあり 浴室の数は十分に キッチンと食堂のスペースは十一人が生存できる規模 部屋の形式は未定、ただし被災者収容センターみたいな大部屋は不可 最低でも複数台分の駐車スペース
それ以外にも、ハーヴィーと蘭が書き足した細かい項目が山ほどあった。細かすぎて、私たちは住居を探しているんじゃなくて、小型の拠点を立ち上げる前の現地調査要件書を作っているんじゃないかと疑いたくなるくらいだった。
まもなく、アイダが来た。
今日は標準制服で、上着のボタンをきっちり留め、髪もすっきりまとめていた。全体的に、外交の場に置いても失礼にならないまま相手を追い詰められる、そういう種類の清潔感だった。
私を見ると、まず少し微笑んだ。
「星野さん。あなたが自分から声をかけてくれたこと、ひとつの進歩として受け取っていいかしら」
「もし進歩というのが、制度の中で一番使い勝手のいいドアを叩くことをようやく覚えた、という意味なら、まあそうかも」
「現実的な答えね」彼女は私の隣に来て、相変わらず穏やかな口調で言った。「私は現実的な人が好きよ」
私は条件表を差し出した。
「じゃあ、これも気に入ってもらえるはずだけど」
アイダはそれを受け取り、目を落として読み始めた。
「十一人」「男女で階層を分ける」「共有スペースが一階層」「最上階に洗濯」「複数台の駐車スペース」——これだけの要求を見たら、少なくとも眉の一本くらいは上がるか、軽く笑って「一年生にしては大胆ね」くらいは言うだろうと思っていた。
結果、何もなかった。
眉一本動かさなかった。
ただ静かに、その条件表を上から下まで、一項目ずつ読んでいった。速くもなく、遅くもなく。学生の課題よりは重要だが、今すぐ表明するほどでもない、という扱いの文書を読む人間の目だった。
……これはかえって落ち着かなかった。
こういうものを読んで一切反応しない人間には、たいてい二種類しかいない。
一つ、要求が馬鹿げていると思っていて、コメントする気にもなれない。
二つ、要求が実は妥当だと判断していて、どう処理するのが一番効率的か、頭の中で計算している。
目の前に立っているのがアイダ・ローゼンであることを考えると、残念ながら後者の可能性が高かった。
読み終えた彼女が、ようやく顔を上げた。
最初の一言は「難しいわね」でもなく、「交渉の余地があるわね」でもなかった。
「あなたたち自身の要望は?」
私は一瞬、固まった。
「……は?」
「この表はよくできてる」彼女は紙を少し下げ、指先を並んだ項目の上に置いた。声は急かさない。「よくできすぎているくらい。編成、動線、生活機能、任務の前置き要件——全部ある。これはいいことよ。『もう少し快適に住みたい』みたいな理由でごねているわけじゃないって分かるから」
少し間を置いて、目を上げた。
「でも私が聞いているのは、あなたたち自身のことよ」
私は彼女を見たまま、すぐには言葉が出なかった。
「自身って……どういう意味?」
「つまり」アイダは辛抱強く言い直した。「『第144班』として、『期末前の編成』として、『優勝班』としてではなく——十一人の人間として、それぞれ譲れない個人的な条件はあるの?」
その言葉が落ちた瞬間、頭の中が一秒だけ空白になった。
こんなふうに聞いてくる人間は、ほとんどいない。
学校は聞かない。
制度は聞かない。
補助の条文なんて、もっと聞かない。
大抵の場合、規則が問うのはベッドが何台、人数が何人、書類が何枚、欄が何個、それだけだ。
「あなた自身は?」なんて聞いてこない。
私は手元の紙を見下ろした。
確かに、個人的な要望は何一つ書いていなかった。
「静かな環境が欲しい」もない。
「誰と誰は隣同士にしないほうがいい」もない。
「夜中に歯ぎしりをする人間がいると殺意が湧く」もない。
「できれば、目が覚めたときに寮の廊下みたいな吐き気のする蛍光灯を第一印象にしたくない」なんてことも、どこにも載っていない。
私たちは編成として書きすぎた。
書きすぎて、編成の中に詰め込まれているのも人間だということを、私自身が危うく忘れるところだった。
軽く咳払いをして、紙から視線を外し、なるべく落ち着いた声で言った。
「私個人の要求は低いほうだと思う」
アイダの眉尻がわずかに動いた。続けなさい、という合図だ。
手をスカートのポケットに突っ込み、これが大したことじゃない、メモを取るほどでもない話だというように聞こえるよう、できるだけ普通の口調で言った。
「夜中に歯ぎしりと鼾がなければ、それで十分」
空気が一秒、静かになった。
それから、アイダが笑った。
さっきまでの、社交の場で出す礼儀的な弧度でもなく、上級生が一年生を面白がるときの微笑みでもなかった。
本当に笑った。短く、淡く、でも温度があった。
手元の条件表に一度視線を落として、また私を見た。
「それについては」彼女は言った。「聞いてみる」
聞き間違いかと思った。
「……どうやって聞くの。全員に夜中に歯ぎしりや鼾があるかどうか、一人ずつ面談するの?」
「必要なら、できるわよ」アイダはこれが合理的な手順の一部であるかのような口調で言った。「少なくとも、誰と誰が近くに住んでいいか、誰と誰は物理的に隔離すべきかは把握しておいたほうがいい」
彼女を見ながら、強烈な不条理感が湧いてきた。
この会話全体が、最初から今まで、ずっと不条理だった。
不条理なのは、私という一年生が高級教学区の渡り廊下に立って、国防委員長の娘と十一人編成の校外住居の階層配置、浴室の要件、駐車スペースの数を話し合い、しかも「歯ぎしりと鼾」を潜在的なリスク管理の項目として真剣に扱っているということだ。
もっと不条理なのは——
彼女がこれを、まったく不条理だと思っていないように見えることだ。
むしろ、これをどうすれば人間の言葉で処理できるか、本当に考えているみたいだった。
「それで」私は彼女の手の中の紙を見つめながら、ゆっくりと言った。「鉑橋街の件……本当にできるの?」
アイダはすぐには答えなかった。
まず条件表を丁寧に折り直した。動作は整っていた。保存する価値のあるものを扱う人間の手つきだった。それから顔を上げて、相変わらず平坦な声で言った。
「一つ訂正させて」彼女は言った。「私が『できる』んじゃない」
私は眉をひそめた。
「じゃあ?」
「もともと、進める手順があるの」彼女は私を見た。「ほとんどの学生はそれを知らないし、このタイミングで自分から動こうとも思わない、というだけ」
……来た。
ここが一番気持ち悪いところだ。
なぜなら彼女の言葉は、理屈の上では完全に正しいからだ。
手順はもともとある。
規則にはもともと書いてある。
条件はもともと申請できる。
問題はただ——
誰がそれを読み解けるか。
誰がそれを思いつくか。
誰がそれに手を伸ばす度胸を持っているか。
そして誰の傍に、「読み解ける」を「実行できる」に変えてくれる人間が、たまたま立っているか。
つまるところ、これが腐敗の最も洗練された形態だ。
ブラックボックスでも、賄賂でも、違法でもない。
ただ、良いものへ続く道を、ごく一部の人間しか知らない場所に敷いておく。そして誰かがようやく入口を見つけた日に、にこやかにこう言うのだ。
ああ、ここはもともと開いていましたよ、と。
思わず笑いが漏れた。
「連邦って、演じるのが本当にうまいね」
アイダは否定しなかった。むしろ少し首を傾けた。
「この体制のことが分かってきたのね」
「違う。気持ち悪いと思い始めただけ。しかも気持ち悪いくせに便利、という意味で」
「その二つは矛盾しない」彼女は言った。
……この一言も、腹立たしいくらい正しい。
渡り廊下の反対側から風が吹いてきて、彼女が折り直した紙の端をそっとめくった。彼女は指先でそれを押さえ、それからごく自然な流れで続けた。
「鉑橋街の住宅について、まず三つ確認できる」
「何を」
「一つ、十一人編成に適した空き物件があるかどうか。二つ、校外住居補助と連邦青年市民住宅補助を編成名義で合算できるかどうか。三つ——」彼女は半秒置いて、視線を私の顔に落とした。「軍事実習前の整備需要を申請理由にすれば、審査を早められるかどうか」
聞き終えて、最初に来たのは喜びじゃなかった。
もう一段深い、不条理感だった。
彼女が言っているのは「部屋を探してあげる」じゃない。
どの行政の動脈を切れば血が一番早く流れるか、それを聞いてあげる、ということだ。
これはもう、普通の学生が踏み込む世界じゃない。
権力が本当に使い勝手のいい顔を見せ始める場所だ。
裏口を開けてくれるんじゃない。
この建物全体にずっとドアがあったのだと気づかせてくれる。ただ、普段は鍵がどこにあるか、誰も教えてくれなかっただけで。
アイダを見ていると、「国防委員長の娘」という肩書きが、急に背景設定以上のものに感じられた。
実際の重さを持ち始めた。
人に圧しかかる種類の重さ。
そして、本来は手が届かないはずのものを、ふわりと目の前に押し出してくる種類の重さ。
「上級生って、みんなチートみたいな生き方してるの?」思わず聞いた。
アイダは微笑んだ。
「チートじゃないわ」彼女は言った。「この世界は、純粋さを報いてくれないと、早めに知っているだけ」
私は黙った。
これが正解に近すぎるから。
正解すぎて、文句を言う前に、まずそれが本当だと認めなければならない。
結局、私は彼女が折り直した条件表を受け取るために手を伸ばした。
「じゃあ、まず聞いてみてください」私は言った。
アイダは余計なことを言わず、ただ頷いた。
「分かった」
答え方が静かすぎた。まるでこれが、十一人の一年生の生活水準を「連邦軍校のボロ寮」から「鉑橋街の高級士官住宅」へと直接引き上げる、とんでもない話じゃないみたいに。今日のやることリストのうちの一項目、というように。
だからこそ、彼女があっさり頷いたことで、「権力って本当に腐ってる」という感覚がかえって強くなった。
彼女にとっては、おそらく本当にリストの一項目なのだ。
私たちにとっては、期末前の生活形態を丸ごと組み替えるかもしれない話なのに。
……連邦は確かに公平だ。
ただ「公平」を異なる規格に切り分けて、あなたがどの階層に立っているかによって、どの版を渡すか決めているだけで。
アイダは私がまた心の中で制度を罵り始めたのを見抜いたのか、唇の端をわずかに曲げた。
「星野さん」
「何」
「今のその顔、もう政治に向いてる人の顔だよ」
「それ、侮辱してる?」
「してない」彼女は穏やかに笑った。「制度を気持ち悪いと感じることと、制度を使いこなすことが、たいてい同じ授業の内容だって、ようやく分かってきたことを褒めてるの」
……よし、これは覚えておく。
いつか誰かに言い返すときに使う。
いくつかの細かい点をさらに確認した。
部屋の形式はまだ決めつけず、「大部屋は避ける」「コストが許すなら二人部屋と少数の個室の混合」という形で保留した。彼女は特に意見を挟まず、ただ「快適さを求めているように見えないよう書くこと、編成効率を維持するという書き方にすること」と念を押した。
少なくとも複数台分の駐車スペースについても話すと、彼女は淡く頷いて、士官住宅の類型ではそれが不可能ではないと言った。
「もし本当に鉑橋街に住むことになったら、私たちって制度のお気に入りみたいに見えない?」とも聞いた。彼女の答えは明快だった。
「もともとそうだから」
……本当に嫌だ。
でも本当に正直だ。
話が終わって、私たちは渡り廊下を少し戻って歩いた。
何秒か、どちらも何も言わなかった。陽光が手すりと制服の袖口に落ちて、錯覚みたいに温かかった。別れ際になって、アイダがふと思い出したように首を傾けた。
「そうだ」
「何」
「具体的な調整の段階に入ったら、もう一度あなたに確認を取りたいという人が出てくるかもしれない」
足が一瞬、止まった。
「……誰が?」
アイダは私を見た。表情は落ち着いていた。
「まだ確定じゃないから」彼女は言った。「だから今は緊張しなくていい」
「前方に地雷があるかもしれないけど、とりあえず知らないふりして」と言われているのと、大差ない答え方だ。
彼女が言わなかった部分が、すぐに読めた。
生徒会でも、寮の管理員でも、普通の事務担当でもない。
アイダがこの言い方をするとき、その言葉を保留させるだけの格を持つ人間は、階層が上にしかいない。下にはいない。
……いいね。
権力の腐敗には、やっぱり追加のサプライズが付いてくる。
追いかけて聞きはしなかった。
彼女が今は言わないということは、まだその時じゃないということだ。
そして私は、相手がまだ手札を開いていない段階で、先に自分の首をテーブルに差し出すのが昔から嫌いだ。
だから最後に、ただ落ち着いた声で言った。
「分かった。じゃあまず聞いてみて、終わったら教えて」
アイダは私を見て、この反応に特に不満はないという顔をした。
「分かった」
彼女が背を向けて去った後、私はその場に立ったまま、一度折られてまた開かれた条件表を見ていた。
ふと、妙なことを思った。
昨日まで、これはただの紙だった。
昨夜を越えて、十一人の共通認識になった。
そして今、これは権力そのものに触れ始めている。
抽象的な権力じゃない。
鉑橋街を「夢のまた夢」から「まず聞いてみる」に変えられる、そういう種類の権力だ。
正直に言うと、これは気持ち悪い。
でも、いい匂いもする。
連邦が噛みつく犬だとすれば、権力はその首輪だ。
私は今はじめて、その首輪をこんなに近くで見た。そして、ある種の人間がどうやってその首輪を使って犬の頭を横に押しやり、自分の通り道を作るのかを、少しだけ知り始めた。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




