56. もしも、校外で暮らせたなら 2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
「よし、今日は普段どおり授業に出る」私は言った。「条件はこっちで預かっておく。あとで誰か追加したければ聞く」
ジェスが大きくあくびをして、だるそうに手を挙げた。
「一つ追加」
「言って」
「もし最終的に本当に鉑橋街に住むことになったら」彼女は意地の悪い笑みを浮かべた。「あんたと真紀は、真夜中にリビングで『静かすぎて逆に見て見ぬふりできない曖昧劇場』を演じるの禁止。ルームメイトの睡眠に重大な支障が出るから」
「あんた、死にたいわけ」
「ほら、図星だとすぐ来る」
枕を掴んで、そのまま彼女の顔に投げつけた。
真紀は隣に座ったまま止めもせず、ただ私が枕を投げたのとほぼ同時に、私が払って倒しそうになった机の角のコップを、内側にそっとずらした。
あまりにも自然な、習慣みたいな仕草だった。
そしてその「習慣みたい」というところが、なぜか胸の奥を妙に詰まらせた。
……まあいい。
今それを気にしてる場合じゃない。
大事なのは、今日はまだ始まったばかりなのに、第144班はすでに朝食前に、それなりに様になった「権益最大化会議」を一回終えたということだ。この調子でいけば、期末までに私たちは本当に、連邦の制度を合法的かつ合理的に逆用できる小さな怪物の群れに進化してしまうかもしれない。
正直、それなりに楽しみだった。
ただこのとき、私はまだ知らなかった——
この議論で本当に厄介な部分は、補助でも、鉑橋街でも、十一人で割ったあとにいくら得するかでもなかった。
「十一人一緒に住む」ということを本気で前提にし始めたあと、
冗談で誤魔化せていたはずのいくつかの距離が、急に近くなりすぎて、もう見て見ぬふりができなくなる——それこそが、本当に厄介な部分だった。
二日目の午前、私は「昨夜はただ住居の話をしていただけなのに、今日目が覚めたら組閣でもしているみたいだ」という疲労感の中で、最初の二コマをどうにかやり過ごした。
軍学校の午前中は、人間をもう一度道具に作り替えるのが得意だ。
一時間目で頭の中身を部品に分解して、
二時間目でその部品を詰め直し、ついでにまだ動くかどうかを確認する。
でも二時間目が終わったとき、私の頭の中にあったのは授業のことでも、昼に何を食べるかでも、さっき先生が処刑宣告書並みの分厚さで読み上げたプリントのことでもなかった。
考えていたのは——
私たち、いま実際何人いるんだろう。
もっと正確に言えば——
D、ジェス、私、真紀、アカリ、ハーヴィー、それに火焰星・蒸発の森のほうにいるロイと蘭を足して、さらに今後確実に組み込まれるだろう輪番要員まで数えれば、私たちが実際に動かしている人数は、口では「八人」と言っていた規模をとっくに超えている。
昨夜、私たちはあんなに威勢よく「八人で割る」なんて話していたのに。
いま振り返ると、昨夜の自分を引きずり出して往復ビンタしてやりたい。
「シモ」
隣にいた真紀がノートを閉じ、首を傾けて私を見た。「今ので三回目だよ、上の空だった」
「上の空じゃない。編成のミスを修正してたの」
「へえ」彼女は本を閉じた。腹立たしいくらい平坦な声だった。「じゃあ、私たちの人数が八人じゃないって、ようやく気づいたわけだ」
私は彼女を見た。
「最初から知ってたの」
「うん」
「なんで言わなかったの」
「昨夜のうちに、自分で気づくと思ってたから」
……くそ。
この女のこういう返しが一番腹に立つ。挑発じゃない。あなたならできると信じていたけれど、昨日のあなたは明らかにできていなかった、という静かな事実の提示だ。面と向かって笑われるより、よっぽど自尊心をえぐられる。
私は教科書を閉じ、立ち上がった。
「次の授業、出ない」
前の列の何人かが振り向いた。ついに精神に異常をきたした生物でも見るような顔だった。
真紀は驚きもせず、自分の本を手に取り、ごく自然に立ち上がった。
「どこ行くの」
「図書館」私は言った。「昨夜私たちが話してたのが戦術的な居住計画なのか、ただの集団白昼夢だったのか、確認しに行く」
「じゃあ、私も行く」
「なんで毎回、ついでみたいな言い方するの」
「もともと行くつもりだったから」彼女は静かに言った。「それに、あなた一人で行かせたら、三十分後には募集要項と取っ組み合いの喧嘩を始めてそうだし」
……この女、最近本当に私の扱いが分かってきている。
言い返そうとしたところで、後ろからジェスが顔を出した。アリーナ最前列のチケットでも手に入れたみたいな笑顔だった。
「わあ、サボり二人組また出発? シモ、あんたサボるのにも付き添いがいるレベルに進化しちゃって、待遇よすぎじゃない」
「一緒に来る?」
「パス。私はまだ、守法市民としての偽善を少し残しておきたいから」彼女は手を振って、楽しそうに笑った。「行ってきなよ。ちゃんと調べてきて。もし十一人でも申請できるって分かったら、私、今夜から間取りのゴシップ漁りを前倒しで始められるし」
……その一言で、むしろ確認しに行きたい気持ちが強くなった。
連邦軍校の中央図書館は、午後よりも午前中のほうが人が多い。
多すぎて、一歩足を踏み入れた瞬間に思う。ここは図書館じゃなくて、学生を飲み込み、予備士官の残骸として吐き出す、ゆっくりとした消化器官だ、と。
中庭の透明なドームが午前の光を格子状に切り取って、床や手すりに落としている。二階の渡り廊下を行き交う学生たちは、書類や端末、本、そして単位に押し潰されそうな魂を抱え、見えない鞭に追われる白蟻の群れのように動いていた。
私と真紀は二階東側の閲覧エリアへ上がった。
この一帯は比較的静かだ。書棚が高く、机は奥行きがあり、光も柔らかい。本を読むのにも、眠りこけるのにも向いていて、規章というものが人間の言葉よりも罠に近いと気づくのにも向いている。
端末、募集要項、教科書、昨夜書き留めた住居条件を机の上に広げ、開口一番、単刀直入に切り出した。
「私たち、結局何人なの」
真紀が座り、自分の端末を開いた。ようやく正しい質問に辿り着いた患者のカルテを取り出す医師みたいな手つきだった。
「林間学校のコアメンバーだけなら、八人」彼女は言った。
「でも今は、それだけじゃない」
「うん」彼女は学生実習の住居と編成に関する説明を呼び出し、指先で画面を数回タップした。「だから、本当に問うべきなのは『結局何人か』じゃなくて——」
端末をこちらに向けた。
「八人を超えても、申請できるかどうか」
私は画面を見つめた。
見出しが長い。連邦のお役所仕事特有の、「人間の一言を十六の注釈に分割しなければ気が済まない」という美徳に満ちた長さだった。
最初の三行の無駄話は飛ばして、本文を読んだ。
優勝編成校外居住申請資格:期末前実習編成は八名以上を原則とするが、任務内容、学科の種別、協同の必要性および居住条件に応じ、十名から十二名までの拡張編成を認める。
私は三秒沈黙した。
それから、心の底からの誠意を込めて吐き捨てた。
「……クソが」
真紀はごく平然と私を見ていた。
「うん」
「つまり『八人』は最低ラインで、上限じゃないってこと?」
「そう」
「じゃあ、昨夜のあの八人割り勘会議は——」
「間違った前提の上に成り立っていた、熱烈な議論」彼女はすかさず補足した。無駄がなく、一撃必殺だった。
私は額を机に押し付けた。くぐもった音が響いた。
「規章なんて嫌い」
「規章が嫌いなわけじゃないでしょ」真紀は手を伸ばし、私の端末をそっと横へずらした。私がもう一度頭をぶつけないように。「昨日のうちに要項を読まなかった自分に腹を立ててるだけ」
「あなたって時々、本当に人を慰めるのに向いてない」
「慰めてなんていない」
……うん。実に彼女らしい。
顔を机から上げて、もう一度その一行を読み直した。
十から十二名。
ロイと蘭を入れると、私たちは十一人。
ぴったりだ。
妙な気分だった。
こっそり定員オーバーしてると思っていたのに、規則を開いてみたら——超えていないどころか、推奨範囲内だった、という。
こういう時、制度に対する感情はひどく複雑になる。
昨日は鉄条網みたいに見えた。
今日は突然、梯子みたいに見える。
連邦は本当に、人間を現実主義者に教育するのがうまい。
「だから、申請はできる」私は呟いた。
「できる」真紀は頷いた。「それに十一人なら、無理に一般の学生アパートに詰め込むより、完全な住宅形態を主張する正当な理由になる」
「完全な住宅形態……」
彼女は別の付録を呼び出し、スワイプして見せた。
「十一人となると、もう『部屋をいくつか借りる』という発想では処理できない」彼女は言った。「直接、階層の配置から考えるべき」
私は視線を落とした。
そこに並んでいるのは単純な坪数ではなく、住宅形態の要件だった。
見れば見るほど、これは学生寮じゃなくて、小型の前進基地のための要求仕様書を作っているような気分になってきた。
真紀がペン先で私のノートを軽く叩いた。
「まず大枠を押さえて」彼女は言った。「今夜の話し合いで、また最初から『何人がどの部屋で寝るか』みたいな低レベルな問題でつまずかないように」
「まるで私たちが石器時代の方法で都市計画をしてたみたいな言い方ね」
「だいたいそう」
くそ。また反論できない。
彼女は私の広げたノートを少し引き寄せ、速く、それでいて整然とした字を書き始めた。
「第一ラウンドで、まず全体の配置を確定させる」
彼女は書きながら読み上げた。
「男子が一階層。女子が一階層。共有スペースが一階層。最上階に洗濯。エレベーターあり」
その五項目を見ていると、頭の中にふっと具体的な映像が浮かんだ。
抽象的な「外に住む」という概念じゃない。
十一人を本当に収容できて、しかももう少し人間らしく生きられる本物の場所だ。
男子が一階層なら、少なくともDのように床に借金でも取り立てるような歩き方をする奴が、夜中に私の頭上で地震を起こすことはない。
女子が一階層なら、ジェスが夜中に息が止まるほど笑い転げても、建物全体に響き渡ることはない。
共有スペースが一階層あれば、会議も食事も勉強も口論も、装備の調整も一箇所に集中できる。
最上階に洗濯——
そこまで考えて、首を向けて真紀を見た。
「待って、最上階の洗濯スペースって、大規模な社交的災害現場になりやすくない?」
真紀のペンの動きが、一秒止まった。
「なる」
「あっさり認めるんだ」
「あなたの言う通りだから」彼女は最後の項目を書き終え、平坦な声で言った。「でも、洗濯スペースを分ける方が、濡れた服や制服や訓練装備を全部生活階層に詰め込むより合理的」
私は舌打ちをした。
「分かった、この項目は採用」
真紀が目を上げて私を見た。唇の端に、ほんのわずかな弧が浮かんだ。
「それに、エレベーターがあるのは重要」
「分かってる。本を運ぶのも、装備を運ぶのも、人を運ぶのも便利だから」
「それと、あなたを運ぶのにも」
「私を運ぶって何」
「あなたがまた昨日みたいに図書館で本を読みながら寝落ちしても、少なくとも誰かが部屋まで運搬できるから」
自分の唾液でむせそうになった。
「……あなた最近、そういう反則みたいな台詞をさらっと言う頻度が上がってない?」
「上がってない」彼女は目を伏せ、何もなかったかのように言った。「私はただ、実際の状況を言っただけ」
……そう。
これが一番恐ろしいところだ。
彼女は毎回、ただの事実確認みたいな口調で耳の裏が熱くなるようなことを言い放ち、しかも「私はリスク管理をしているだけですが」みたいな顔をしている。本当に武士の情けがない。
慌てて意識を引き戻し、うつむいて書き続けた。
「じゃあ第一ラウンドで階層配置を話して、第二ラウンドで生活機能に入るわけね?」
「そう」彼女は頷いた。「浴室の数、キッチンの規模、食堂か共食スペース、冷蔵、収納棚——これは全部、階層モデルが先に決まってからじゃないと、議論が混乱する」
「部屋の割り当ては最後?」
「最後」真紀は私を一瞥した。「一番揉めやすいから」
完全に同意する。
十一人で一緒に住むとなると、一瞬で理性を吹き飛ばすのは戦術的な役割分担なんかじゃない。
誰と誰が同室か、どう寝るか、個室にするかどうかだ。
その言葉単体でも危険な響きがあるが、
住居計画の中に置いても、同じくらい危険だった。
「大部屋の雑魚寝は安い」私は言った。
「でも長期的には互いをすり減らす」真紀が言った。
「個室は快適」
「でも高くつくし、編成としての連帯感を切り刻む」
私は顔を上げて彼女を見た。
「もしかして全部、あらかじめ考えてた?」
「全部じゃない」彼女は平然と言った。「ただ、あなたたちが今夜確実に揉める部分を、早めに分類しておいただけ」
二秒沈黙した。
それから、極めて誠実に結論を下した。
「あなたって人、災害発生前の備えリストにぴったりね」
「ありがとう」
「褒めてないから」
「分かってる」
……くそ。
私たちはさらに、いくつかの生活機能の大枠をリストアップした。
浴室は最低限の数がないと、十一人が順番待ちをしているうちに憎悪が湧いてくる。
キッチンはただの飾りじゃ駄目だ。十一人が交代で使い回せる規模が必要だ。
食堂か共食スペースは十分な広さがいる。でなければ最終的に全員が弁当箱を抱えて隅っこにしゃがみ込む難民と化す。
冷蔵、冷凍、収納棚も十分に。特に夜中にコーラをこっそり溜め込む奴が出た場合に備えて、管理できる仕組みが欲しい。
そこまで書いたところで、真紀がふいにもう一項目を足した。
「駐車スペース」
私は瞬きした。
「……たしかに」
危うく抜け落ちるところだった。
「成人がいるから?」私は聞いた。
「少なくとも複数台分は確保しておくべき」彼女は言った。「今すぐ全員が使うわけじゃなくても、装備の搬送、急な貸し借り、休暇中の出入り、期末前の追加移動——どれも使う可能性がある。駐車スペースがないと後で困る」
「賃貸じゃなくて、小型の軍事施設を接収しに行くみたいな言い方ね」
真紀は静かに聞き返した。「そんなに違う?」
……まあ。
確かに、そんなに違わない。
「最低二台分」とノートに書き足したところで、端末が震えた。
着信表示には、人名とは思えないほどシンプルな文字が一つだけ。
D
真紀と目が合った。通話に出た。
「もしもし」
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




