54. 馴染みゆく日常 2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
「シモ?」
真紀がもう一度呼んだ。今度は少し近い声で、制服の上着をベッドの端に置いてくれながら。
……よし。彼女は何も問題ないと思っている。
さらに最悪なのは、私もだんだん何も問題ないと思い始めていることだ。
「起きてる」私は頭をかきながら、ベッドから降りてその本を引っ張り取った。「朝っぱらから二人がかりで挟み撃ちにしてくるから、寮じゃなくて留置場に住んでるのかと思った」
「留置場では、付箋を戻してくれる人はいないよ」ジェスが泡を吐き出しながら、涼しい顔で言った。
「お昼を買ってきてくれる人もいない」真紀が続けた。
私は上着を羽織りながら、この寮の生態系はもう三角の相互監視システムに進化していて、私は名目上は自律しているが実際には毎日生活習慣を観察されている人型の実験体なのだと、心から感じた。
まあ、いいか。
少なくともこの二つの監視ユニットは、今のところ私の側についている。
午前の授業は、相変わらず人道とは無縁だった。
軍学校の午前というのは、学生の脳漿を絞り出してバーコードにして額に貼り直したいという悪意が、いつも漂っている。一限は戦域編制概論、二限は艦隊勤務導引、三限はいちばん嫌いな種類——先生は穏やかに講義しているように見えるが、「ついてこられなければ自分で死んでください」という管理方針が透けて見える授業だった。
昨日の午後、真紀に半日みっちり補習してもらったから、今日は少しくらい息ができると思っていた。
軍学校はそんなに甘くない。
昨日泳ぎ方を覚えたと思ったら、今日はもっと深いプールに蹴り落とされる。
午前の授業が終わる頃には、脳の半分が「使用中につき立入禁止、内部再構築中」の状態に入っていた。助教が新しい教材を配った時、端正な表紙の、中身はおそらく一年生を三年分早死にさせるつもりの本の束を見て、胃の奥から良心的な悲鳴が上がった。
周りで人が立ち始め、教室中で椅子の脚が床をこする音が鳴り始めた。食堂の方向へ人の流れが動き出し、空気の中に「今すぐ並ばないと昼は残り物しかない」という集団的な焦りが漂い始めた。
私は新しい教材を一度見て、腕時計を一度見た。
昼休みだ。
そして私はまた、明らかに心身の健康に良くない選択をした——食堂へは向かわず、教材を抱えてそのまま座り直した。
ちょっとだけ読む。
二ページだけ。
構成を確認するだけ。
本当にちょっと見るだけ。
「今日はコーラを一口だけ飲む」と同じで、この手の言葉はたいてい自分への嘘だ。
目次を開いた瞬間、隣に誰かが水のペットボトルを置いた。
「やっぱり行かなかった」
顔を上げる。
真紀が私の隣に立っていた。手には弁当箱と自分のノートを持っている。「この結果は予測の範囲内でした」という顔をしていた。ジェスは半歩遅れてついてきていて、どこから手に入れたのか分からないパンの袋を抱えて、自分の賭けが当たったことを確認しに来た胴元みたいな表情をしていた。
「わあ」ジェスは机の上に広げられた本を見て、大げさに息を吸い込んだ。「シモ、昼ごはんまで省略できるようになったの? これが真の学習への愛? それとも、陪読してくれる某人への愛?」
「今黙ってくれたら、ノート一ページ分けてあげる」私は言った。
「要らない、ノートは食べられないもん」彼女は前の列の空いた席にどかりと座り、パンの袋を机に放った。「それより、後で先生に当てられた時、昨日の午後が実は頭に入ってたって気づく瞬間の顔を見たい。お昼より栄養になる」
真紀は彼女を無視して、弁当箱の一つを私の前に押し出した。
「先に少し食べて、それから読んで」
「まだお腹空いてない」
「その台詞は昨日の『ちょっとだけ読む』と信頼度が同じ」ジェスが吐いた。
言い返そうとしたところへ、真紀はもう自然に教材を引き取り、表紙を一瞥してから一章を開いた。
「これは午後に読む。まず先生が今朝触れた艦隊の輪番と補給の優先順位を整理する」彼女は自分のノートを開きながら言った。指が昨日私たちが読んだ箇所で止まる。「今日の午後か明日に抜き打ちで聞いてくるとしたら、たぶんここから来る」
「なんで分かるの」
「あの先生は、まず一度人を怖がらせてから、一年生が一番怖気づく場所で生存率を確認するのが好きだから」真紀は平坦な声で言った。「それと——」
一拍置いて、過去の学年から受け継がれた授業メモのページを開いて見せた。
「あの先生には癖がある」彼女は言った。「まず概念を聞いて、それから急に具体的な任務に場面を切り替えて、字面を暗記しているだけかどうかを確認する」
私はそのページを見て、それから彼女を見た。
「こんなものまで持ってるの」
「備えあれば憂いなし」
ジェスが隣で感慨深そうな顔をした。
「九島さんって、世界の終わりの三ヶ月前から水と薬と発電機を備蓄し始めるタイプだよね」
「違う」私は弁当箱の蓋を開けながら、冷たく補足した。「世界の終わりが始まる前から、逃げ道と食料の配分とあなたの遺書の書式を全部決めてるタイプ」
真紀は私を見て、頷いた。
「その方が効率的だから」
……撤回します。似ているんじゃない。そのものだ。
とにかく、昼ごはんは結局私の手に押しつけられた。
ロマンチックな学園弁当ドラマとは程遠い、ただ食べやすくて読書の邪魔にならない普通の簡食だ。でも問題もそこにある——普通であればあるほど、腹が立つ。普通ということは、彼女が意識的に優しさを演じているんじゃなくて、「シモが集中すると食事を忘れる」という事実をすでに客観的な与件として処理し、その対応策を設計し始めているということだからだ。
食べながら、心の中でこの無言の私生活への侵入行為を静かに非難した。
そして食べ続けた。
……人間は本当に弱い。
午後の艦隊管理の授業は、ブレンナーという名の教官が担当していた。
軍学校特有の種類の教官だ。五十がらみ、制服は教科書から生えてきたみたいに着こなし、立ち姿は教材より規範的で、声は大きくないが、「今居眠りしたら、チョークで黒板に釘付けにされるかもしれない」という圧迫感がある。
彼が教室に入ってきた瞬間、教室の空気が一段下へ押しつけられたような気がした。
「六章を開けろ。艦隊補給と作戦テンポの相関」彼は教材を教卓に置き、前置きなしに始めた。挨拶も省いた。「今日は流れ図の説明はしない。昨日、基本の枠組みは読んできたはずだ。読んできたなら、直接聞く」
来た。
私は無意識に少し背筋を伸ばした。昨日真紀が図書館で書いてくれたあの三行が、ほとんど自動で頭に浮かんできた。
誰が動くか。
何を使って動くか。
誰がどこへ動くかを決めるか。
ブレンナーは全員を見渡し、視線が探照灯のように一人ひとりの顔を滑って、模擬図の前で止まった。
「仮定する。縮小編成の護衛艦隊が前線星区へ向かっている」彼は教鞭を取り、投影画面上の光点をいくつか指した。「途中で新しい命令を受けた。戦域への突入テンポを上げろという命令だ。しかし現在、補給ノードが不完全で、艦内の輪番は直前に高強度の警戒態勢を経たばかり、医療と整備の人員も不足している。では——」
一拍置いて、教室を見渡した。
「この状況で、指揮層が最初に判断しなければならないのは、『前進できるかどうか』ではない。では何か」
教室が一瞬静まった。
この種の問題の嫌なところは、ここにある。
表面上は一つの問いに見えるが、実際はシステム全体が頭の中で繋がっているかどうかを確認している。
前列の二年生が先に手を挙げ、模範的な答えを返した。「持続可能な作戦時間と補給の余裕を判断することです」
ブレンナーは一度頷いた。正解とも不正解とも言わない。
別の方向からもう一人が補足した。「前線命令の優先度と護送目標の任務等級を確認することです」
また頷く。
そして彼は突然、後方へ視線を向けた。
「星野」
「はい」という言葉が「何ですか」になりかけたのを、最後の一瞬で押さえ込んだ。問題を起こしている生徒みたいな反射は、ここで出してはいけない。
クラス全体の視線が一斉にこちらへ向いた。
ジェスが左後方でもう観戦モードに入っているのが気配で分かった。真紀は振り向いていないが、ペンの先が止まっていた。その停止はごく短く、私以外には気づかれないほどだった。
ブレンナーは私を見て、平坦な声で言った。
「答えてみろ」
よし。
昨日補習したばかりで、今日現場で解剖される。軍学校は本当に効率的だ。
息を一つ吸い、広げた本のページを一瞬だけ見て、昨日の「まず人間の言葉に直す」という手順を頭の中で引っ張り出した。
「船が動けるかどうかを先に判断するんじゃなくて」私が口を開くと、声は思ったより落ち着いていた。「今この艦隊の中で、同時に壊れてはいけないものが何かを先に判断する、ということだと思います」
ブレンナーは遮らなかった。
頭の中で真紀が書いた三本の線が光り、私は続けた。
「人員、物資、命令。輪番が高強度の警戒態勢を経たばかりなら、人員の状態が先に問題になる可能性がある。補給ノードが不完全なら、物資のリズムが乱れる。医療と整備が不足しているなら、今無理に前進させても、次に一つ事故が起きた時点で艦隊全体の維持能力が落ちる」
教室が静まった。
「誰も答えていないから静まった」という静けさじゃない。
「誰かが最後まで言い切れるかどうか、聞いている」という静けさだった。
少し乾いた唇を舐めて、続けた。
「ですから、最初に判断すべきなのは、単一の艦艇がまだ走れるかどうかではなく……指揮系統が艦隊のテンポをまだ制御できているかどうかです。簡単に言えば――誰がまだ動けるか、何を使って動くか、そして誰の言葉に、今もまだ誰かが従っているか、です」
最後の一文を口にした瞬間、教室の何人かが微妙に顔を上げたのが気配で分かった。
教科書の丸写しじゃないからだ。 無理やり翻訳した後の、現場の泥臭さが混じった人間の言葉だったからだ。
ブレンナーは私を二秒見た。
「続けろ」
……よし。
間違ってはいないということだ。
限界まで張り詰めていた心の中の神経が、ようやく少しだけ緩んだ。
「命令が戦域への突入テンポを上げろというものなら、上層部が前線のタイミングに対して要求を持っているということです」私は言った。「ですが、補給ノードと人員の輪番がそのテンポを支えきれない場合、言われた通りにすれば、護衛艦隊は戦域に入る前に自分たちを消耗し尽くす可能性があります。それでは前線に着いたところで、まだ動ける鉄の塊が、動けない鉄の塊に変わるだけです」
後列の誰かが、短く鼻で笑った。
ブレンナーは笑わなかったが、制止もしなかった。
私はいっそ、最後まで言い切ることにした。
「ですから、最初に判断すべきなのは――その命令をどう実行すれば、艦隊が前線に到着する前に、それを実行する能力を失わずに済むか、ということです」
今度こそ、ブレンナーはようやく頷いた。
適当な相槌じゃない。少なくとも、この学生が完全に運だけでここまで残ったわけではないと確認したような、明確な頷きだった。
「悪くない」彼は言った。
軍学校の教官の「悪くない」は、民間社会の「大変よくできました」に等しい。 人間の言葉を話せる教官なら、「頭を使っているな」と翻訳されるかもしれないレベルだ。
席に座った時、遅れて手のひらが少し熱くなっているのに気づいた。
隣で、誰かがノートの下の方にいくつか文字を書き、ページを少しこちらへ押し出した。
目を落とす。
とても整った、いかにも九島真紀らしい字だった。
運じゃない。
たった四文字。
笑顔のマークもない。感嘆符もない。補足説明すらない。 でもなぜか、その四文字は、さっきの教官の「悪くない」という言葉よりも、ずっと直接的に胸の奥に押し込まれてきた。
……くそ。
この女、最近本当にタイミングの選び方がうますぎる。
私はそのノートを少し自分の方へ引き寄せ、授業の要約を読んでいるふりをして、口角が上がりそうになるのを必死でごまかした。
教卓では、ブレンナーがすでに先を続けていた。
「よろしい。前線のテンポという言葉が出たところで、もう一歩進めよう」彼の手の教鞭が別の図に移った。「もしこの護衛艦隊の目的地がオリオン座アルファの外縁であり、かつ護送任務が主力艦隊の再編前に合流を完了することを要求しているとしたら――護衛艦種の選択と補給ペイロードの比重は、何に直接影響するか?」
背筋がわずかにこわばった。
オリオン座アルファ。
教室の他の連中にとっては、ただの事例の地名かもしれない。 でも私は知っている。そうじゃないと。
あれは九島亜紀が、生徒会の執務室で、人を売り飛ばした後に血を拭いてあげるのにぴったりなあの笑顔で、私に直接告げた場所だ。 そして今、ブレンナーがそれを授業の事例として使っている。
奇妙な感覚だった。
テストの表紙の端っこを盗み見してしまったら、翌日の授業で先生がその表紙の問題を練習問題として使い始めたような。それが必ずしも何かを意味するとは限らないと分かっていても、完全に偶然だと言い聞かせることもできない。
ましてや、彼の次の言葉はこうだった。
「連邦標準の駆逐艦編成から見て、もし艦隊の中に護衛、情報中継、そして高速離脱能力を兼ね備えることが求められるユニットが存在する場合――そのユニットが任務全体において最も恐れるべき喪失とは何か?」
駆逐艦。
ほとんど反射的に、その名前が頭をよぎった。
雪風。
実際にどんな船か知っているからじゃない。 ただ、その二文字がもう細い針みたいに、誰かによってあらかじめ私の頭に刺されていて、普段は静かにしているのに、関連するものに触れるたびにチクチクと刺してくるからだ。
ブレンナーは二度目は私を当てなかったが、彼が続けて解析する言葉の一つ一つが、私がまだ見たこともないある船の輪郭を、ゆっくりと縁取っているように聞こえた。
駆逐艦は主力ではない。 しかし、一番最初に前に出るよう要求されるのは、たいていこの種のユニットだ。 足が速く、小回りが利き、護衛も中継も援護もこなせる。だからこそ、上の人間から「お前たちならできるだろう」と、都合よく色んな命令を押しつけられやすい。 そして前線のテンポが上がり、補給ノードが細切れになり、護送目標が時間制限を求めてきた時――そういう船は、無理やり場を持たせるための最も手頃な消耗品に変わる。
聞いているうちに、昨日真紀が言った言葉の意味が不意に理解できた。
一隻の船がどうやって死ぬのか、先に読めるようになること。
多くの船は、一発の砲弾で直接吹き飛ばされて死ぬわけじゃないからだ。 もう少しだけやってくれ。もう少しだけ持ちこたえてくれ。もう一テンポ速く。もう一班削って。もう一シフト引き延ばして。そうやって要求され続け、最後には、いかにももっともらしい命令の下で、静かに壊れる。
制度というものが、船も痛みを感じるかもしれないなどと考えたこともないかのように、あまりにも静かに。
チャイムが鳴った時、私は一時間丸ごと、一度も本当に上の空にならなかった自分に気づいた。
急に艦隊管理が好きになったからじゃない。 昨日生徒会の執務室で聞いた一言から始まったあの嫌な直感が、もっとはっきりした何かに育ち始めていたからだ。
雪風はただの名前じゃない。 オリオン座アルファも、教科書上の事例の地名じゃない。
それらは骨格を持ち、重量を持ち、いつか直接私の頭の上にのしかかってくるかもしれないという予感を帯び始めていた。
教材を片付けていると、真紀が昨日と同じように、ごく自然にそのうちの二冊を先に持っていった。
ジェスが後列から私の椅子の脚を蹴り、声を潜めて笑った。
「やるじゃん、シモ。昨日は図書館で補習されてたのに、今日はもう教官の刃を受け止められるなんて。〈九島家に拉致されて陪読された後の学習成果について〉ってレポートでも書いたら?」
振り返って睨みつけた。
「そのレポートの最初の一行目はこうなるよ。『本人はこの実験への参加を志願していません』」
ジェスは肩を震わせて笑った。
真紀はその二冊を抱え、私の隣に立ったまま、ひどく淡々と一言補足した。
「でも、成果は悪くない」
彼女を見た。
表情はいつも通りで、ただ事実を述べているだけに見えた。 でも、あまりにもいつも通りだからこそ、一瞬どう返していいか分からなくなった。
結局、私はひどく意気地なく鞄を肩に放り投げ、硬い声で言った。
「……もともと私に基礎があったからでしょ」
「うん」真紀は頷いた。「それに、ほんの少しの正しい誘導が加わったから」
ジェスがその場で吹き出した。
「助けて、あんたたち二人のその『死んでも認めない』と『平然と手柄を主張する』のやり取り、どっちの作ったスープが美味しいか言い争ってる熟年夫婦そのものなんだけど」
「黙って」私と真紀はまた同時に言った。
……よし。
クラスの何人かがこちらを振り返った。
このペースで進んでいったら、私は前線で死ぬ前に、ジェスのその口のせいで死ぬんじゃないかと心底思う。
でも、教室を出て次の授業の廊下へ移動する時、私はやっぱり意気地なく、ある事実を認めていた。
昨日の午後は、確かに私を救ってくれた。
そしてさらにまずいことに、私はもう「誰かが一緒に勉強してくれる」ことに慣れ始めているだけじゃなかった。
一人で意地を張って乗り切るべき場所で、振り返ればあの二人が隣にいる。そのことに――慣れ始めている。
こういう習慣は危険だ。
でも、なぜか私は今のところ、まだそれをやめたくない。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




