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臨界の星穹  作者: Mr.佐藤焫焵
士官学校編
137/313

38. 結束  3

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

「言ってみろ。」


彼女はシェルターのページを開き、「七十二時間経過後再解錠可能」の行に指を置いた。


「一、フェーン現象開始二十分前以外は、公式シェルターに入らない。」と言う。「ただし即時隔離が必要な負傷者が出た場合を除く。」


ハーヴィーが頷いた。「閉じ込められるリスクを減らす。」


「二、」彼女は続ける。「周囲に他の組がいる場合は、まず人数、装備、退路を優先的に評価して、安易に接近しない。補給ポイント周辺は必ず人間同士の争いが起きる。」


ここでジェスがようやく口を挟んだ。


「素敵。まだ着陸もしてないのに、すでに生身での噛み合いが前提。教育効果抜群。」


私はそのまま三つ目をつないだ。


「三つ目。入る前にドアを閉める条件を決めておく。基準を決めないなら、扉に触らない。」三人を見渡す。「『まだ戻ってない誰かを待つかどうか』をその場でドラマみたいに演じる気はない。」


その一言で、空気がわずかに固まった。


全員わかっている。これは冗談じゃない。


林間学校で最初に面倒なのは、「外に何がいるか」じゃない。こういう話をきれいな場所で決めずに持ち越すと、汚い場所で顔を裂き合う羽目になることだ。


ハーヴィーは腕を組み、冷たく言った。


「なら、今決めろ。扉を閉める基準を誰が決める。」


私は深く息を吸った。


「私が決める。」と言う。「ただし独断で適当に決めるんじゃない。フロスト-03が装備と機動状況を報告、フロスト-04が水と負傷者を報告、フロスト-02が外周の人数と接近リスクを報告。最後に私がまとめる。」


ジェスは私を見て、片眉を上げる。


「言い方だけなら、それっぽくなってきたね。」


「お前の言い方は、いつも死にたがりに聞こえる。」


「両立するでしょ。」


私は水源のページを開く。


「それと、ここにわざわざ書いてある。」と言う。「塩水は処理可能。浄水器でもタブレットでも対応できる。味は酷いが、飲める。だから今後『不味いから』って理由で水を控える奴がいたら——」


「まず頭から塩水に突っ込んで、目が覚めるまで漬けておく。」とハーヴィー。


「ありがとう。私の言いたかったことを、より映像的に表現してくれた。」私は言う。


ジェスが手を挙げた。


「補足希望。味が酷い件については、精神的ダメージにカウントしてほしい。」


「お前の精神は初期不良だ。新しい傷を装うな。」私は言う。


九島はマニュアルを半分閉じ、顔を上げた。


「もう一つ、言ってないことがある。」


胸のあたりが、微かに引っかかった。


クソ。


まさか、あのメモのことまで見抜いて——と一瞬思ったが、彼女の指は「救難信号」のページを示しただけだった。


「『重大困難時は、まず隊長と協議』。」と読み上げる。「つまり、誰かが限界に近いと感じたとき、最終的に恨まれるのはお前になる。」


……さすがだ。


この女の言い方は、いつも通り九島真紀だ。


慰めでもなければ、気遣いでもない。ただ一番見たくない部分を、あっさり机の上に置く。


私は口の端を引きつらせた。


「ご忠告どうも。今まで、このポジションには賄い付きかと思ってた。」


今度はジェスが本気で笑い、それを押し殺して低く漏らした。


「ついてくるのは鍋だよ、ご馳走じゃない。」


「しかも共用の大鍋。」私は言う。


ハーヴィーは私たちを見て、このブリーフィングが本当に骨になったかどうか確かめるような目をした。


「じゃあ、ボトムラインをもう一度。」と彼は言う。


私は頷き、マニュアルを膝に押さえながら、低く一つずつ読み上げた。


「一つ、単独での行動は禁止。


二つ、異常は必ず申告。無理な我慢は禁止。


三つ、フェーン現象のカウントは私のHUD基準。


四つ、共用リソースの再配分は全員の前で口頭で行う。


五つ、シェルターへの出入りと扉の操作はフロスト-01が最終決定。ただし情報は揃える。


六つ——」


そこで一瞬だけ言葉を止め、三人を見回した。


「六つ目。自分が持たないと思ったら、まず口に出せ。ギリギリまで黙って、最後に組全体に決断を押しつけるのは禁止。」


誰も口を挟まなかった。


外の輸送艦はうるさいままだ。他の組の声、金属バックルの当たる音、遠くのどこかのハッチがまた開く鈍い音。それでもこの小さな輪の中では、今の一言だけが空白を作った。


全員わかっているからだ。これは教務課の紙に印刷されたルールじゃない。


これはいつか必ず、「ある日」「ある誰か」「ある一息」に変換される。


最初に沈黙を破ったのはジェスだった。


「朗報は、今のところ私は元気。」と言う。「悲報は、どうしてこれが期中扱いなのか、ちょっとわかった気がする。これはテストというより、人格解体テストだね。」


「連邦は人材の多角的発展を重視している。」私は言う。


「人を悪い方向に伸ばすのも含めて?」


「特にそこを。」


九島はペンを取り出し、自分のクリップボードに数行を走り書きした。何を書いているか詮索する気にはならない。ほぼ確実にラブレターではない。


最後にハーヴィーがまとめた。


「とりあえずここまでだ。着地前にもう一度、ドロップ後三十分の流れをリハーサルする。」


私は頷き、マニュアルを閉じた。


亜紀のメモを隠した内ポケットが、胸に当たって妙に熱い。艦内温度のせいじゃない。あの紙切れがまだそこにあって、しかも自分の頭がすでに勝手に回り始めているせいだ。


十二時間以内に補給。


これが吉報なのか、それとも笑いながら書き残した罠の説明文なのか。


クソ。


自分の脳内で勝手に棘を生やす情報が、一番嫌いだ。


さらに腹立たしいのは、この棘を亜紀先輩が自分の手で植えていったことだ。


椅背にもたれ、艦内の低い駆動音を聞きながら、この旅がまだ始まってもいないのに、すでに何かが制服の縫い目を伝って入り込んできた気がした。


虫じゃない。


規則だ。


期待だ。


笑顔で「愛してる」と言ってから、もう少し深いところへと背中を押してくる、あの種類の圧力だ。


最高だ。


林間学校はまだ始まってもいない。


なのに私はすでに全身がざわついている。


---


輸送艦がハッチを閉めると、世界の音が全部、鉄板に一層飲み込まれたみたいになった。


港区の騒がしさが消え、代わりに艦体の奥底から聞こえてくる、低くて絶え間ない運転音だけが残る。大きくはない。ただ鬱陶しい。巨大で気の短い金属の怪物が足の下に伏せて喘いでいる感じで、「今さら後悔しても遅い」という事実を律儀に思い出させてくる。


艦内の灯りが一瞬落ちて、冷たい白に切り替わった。


私は顔を上げた。


「来た。」ハーヴィーが言った。


「実況ありがとう。この船、ただ私たちを閉じ込めて一晩漬け込もうとしてるのかと思ってた。」私は背中を椅背に押しつけながら、胸のベルトをもう一度確認した。


前の二列で、案の定、誰かが緊張し始めた。


一人の新入りが手すりをぎゅっと掴んでいる。遺書の代わりに握れるものを探しているみたいに。隣の奴は顔が白くなって、唇を一本の線に結んでいる。もう座席に収まっているのに、目だけが艙壁をうろうろして、「すみません、やっぱり行きません」と書いてある非常口を探しているようだった。


二秒ほど見てから、視線を引き戻した。


怖いのは普通だ。


ここまで露骨に演じると、少し見苦しくなる。


放送がすぐに入った。短い警告音の後、言葉を発している人間ごとフォーマット化されたような機械的な女声が続いた。


「一年生全学員に通知します。輸送艦はまもなく港区を離脱します。固定ベルト、装備のロックポイント、個人通信機器の状態を確認してください。離陸後二十分以内に最終任務説明と降下ポッド編成確認を実施します。繰り返します——」


後半は半分しか聞いていなかった。


輸送艦がすでに動き始めていたからだ。


地上の乗り物が前に進む感覚じゃない。まず沈んで、次に持ち上げられ、それから艦体全体が何か見えないものに下から押し上げられる。圧力が最初に背中にかかり、それが胃に滑り込み、最後に骨の隙間にしっかりと嵌まり込む。


前方で誰かが低く毒づいた。


ジェスは頭を後ろに倒し、まだ口が動く余裕があった。


「悪くない。寮のベッドよりは優しい。」


「お前の『優しい』の定義、相当悲惨だな。」私は言った。


「下院育ちなんで。」彼女は堂々と言い返す。「基準が最初から低い。」


九島真紀くしま・まきは何も言わなかった。ただ指を膝の上の資料フォルダーの端に置いて、艦体の揺れに合わせて静かに呼吸を調整していた。反応がないわけじゃない。ただ、反応を顔の上に無駄遣いしない。それが腹立たしくもあり、実用的でもある。


ハーヴィーはもっとシンプルで、窓の方を一切見ず、ただ自分の固定ポイントをもう一度確認していた。あの人間がいつか本当に死ぬとしたら、たぶん外の世界が規格に合わなかったからで、慌てたからじゃない。


艦体がまた揺れた。


今度は少し大きかった。


前方の誰かが本当に空えずきをして、隣の組の人間が袋を渡した。渡し方が手慣れていて、明らかに初めてじゃない。よかった、少なくとも一人は出発前に自分の隊内ポジションを見つけた。


頭を少し傾けて、沈んで持ち上がるリズムを感じながら、心の中で拍を数えた。


軍用輸送機に乗るのは初めてじゃないから、この離陸感覚で大げさに驚くつもりはない。正直なところ、怖いというより、この「完全にプロセスの中に詰め込まれた感覚」の方が嫌いだ。座って、締めて、動くな、放送を待て、投下を待て。自分が人間じゃなく、名前のタグは付いているが統計上の輸送単位に過ぎない物資みたいな扱いだ。


実に連邦らしい。


十数分後、艦体の振動が落ち着き、耳に感じていた不快な圧力も薄れてきた。放送が再び入る。


「一年生全学員、最終任務説明を開始します。」


艙内でぽつぽつ続いていた会話が一気に沈んだ。


前方の壁面にプロジェクションが開き、冷たい白い文字が一面に叩きつけられた。タイトルは教務課らしい自信に満ちたフォントで、でかでかと書かれていた。


林間学校野外生存実習 最終説明


その文字を見た瞬間、白目を剥きたくなった。


「一、計時起点:降下ポッド着地後開始、総制限時間は二十一標準日。」


「二、各組は降下ポッド方式で指定区域に投入される。降下後の集結、脱出、生存、補給、シェルター運用、撤退、すべてが採点対象となる。」


「三、公式地下休憩所およびシェルターの位置情報は、各組組長のHUDにのみ表示される。」


この一文を聞いた瞬間、肩が無意識に固まった。


事前に知っていることと、校側の口から正式に読み上げられることは、やはり別物だ。誰かが丁寧に鍋を頭に被せて、「以上、ご通知まで」と言われた感触がある。


放送は続く。


「四、公式シェルターの防爆扉は、閉鎖後七十二時間は再開扉不可。各組は自己判断で進入タイミングと人員配置を決定すること。」


「五、重大な負傷、環境による致死リスク、または組全体の生存能力の崩壊が生じた場合、学員は組長との協議の上、救難信号を発信することができる。救難信号は発信後、取り消し不可。全組即時失格、補習リスト入り。」


この一文で、艙内のあちこちから息を飲む音がした。


一人二人じゃない。「マジでここまでやるのか」という集団の吸気だ。


私は何も言わなかった。


この条項はとっくに知っている。


ただ今の私が気にしているのは、「知っている」ということじゃなく、いつか誰かが泥の中で壊れかけた呼吸をしているとき、この一文がどんな形に育つかだ。


プロジェクションの最後に惑星の区画図が出た。熱帯雨林ゾーンが特に濃く塗られ、横に「資源・シェルター密集」と注釈が入っている。砂漠と峡谷は不審なくらいすっきりしていて、「何もない」という事実そのものを脅しに使っているみたいだった。


「六、熱帯雨林区域は相対的に資源が豊富ですが、高脅威生態活動も最も密集しています。各組は自己判断でリスクと利益を比較検討してください。」


笑いそうになった。


自己判断で。


人間の言葉に直せば:一番生き残りやすい場所が一番死にやすいとわかっていて、だから全員をそこに押し込んだ。楽しんで選んでくれ、ということだ。


放送が終わると、艙内のざわついた空気が別のものに変わっていた。静かじゃない。もっと重い乱れだ。誰かが全員の頭を水の中に一度浸けて揺らしたみたいで、ここが校外活動の場所じゃなく、点数がつき、名前が記録され、どれだけきれいに腐るかを見られる野外選別の場だと、全員が理解した。


ジェスが最初に口を開いた。声は低く抑えてある。


「朗報。公式の書面による脅迫を正式に受け取った。」


「悲報は、口頭説明もついてきたことだ。」私は言った。


ハーヴィーが私を見た。


「流れを確認する。」


私は頷き、手冊を膝に叩きつけた。


「そう、流れを確認する。フロスト、降下後三十分のシーケンス、今から一回通す。」


ジェスは阿吽の呼吸で前に身を乗り出し、ハーヴィーはペンを取り出し、九島は自分のクリップボードを白紙のページに開いた。輸送艦の中で遺書を書こうとしている四人みたいだが、内容は実用的だ。


私は指を一本立てた。


「第一フェーズ、着地から脱出まで、最初の三分間。」


三人を順に見る。


「降下ポッドが着地しても、誰も英雄ぶって最初にドアに突っ込むな。まずポッド本体が転倒していないか、火が出ていないか、亀裂がないか、気密が保たれているか、外部の音を確認する。」


ハーヴィーが頷いた。


「フロスト-03がポッドのダメージと扉を担当。」


「そうだ。」私は続ける。「フロスト-04が大気値と基本環境データを先に取る。」


九島がすかさず引き取った。


「酸素濃度、毒性、湿度、外部熱源、視認可能な生物活動の痕跡。」


「フロスト-02——」私はジェスに向き直った。


彼女がすかさず手を挙げた。


「当てさせて。最初に死ぬな、担当。」


「近い。ポッド外の近距離の動きを聞いて見る担当だ。人間、生物、葉の摩擦音、虫の群れ音、何でも先に報告しろ。」


ジェスが頷いた。「なるほど、私が耳か。」


「普段から口が忙しすぎる。たまには別の器官を使え。」


彼女が実に品のない手振りを向けてきた。


完全に無視した。


「私はHUDの確認、現在地、最寄りシェルター、初期地形の読み取りを担当する。」と私は言った。「ただし先に言っておく。HUDが着地と同時に公式シェルターの座標を出してきても、すぐに突っ込まない。」


九島が顔を上げ、目に「その通り」という意味が浮かんでいた。


ハーヴィーが理由を補足した。


「シェルター周辺は人が集まる。着地直後に向かうのは、射撃場の中心に旗を立てるのと同じだ。」


「そうだ。」私は膝の手冊を指で叩く。「特に校側が明らかに全員を雨林に追い込もうとしている以上、最初の最もバカで最も多い死に方は、全員が一番生き残れそうな場所に同時に殺到することだ。」


ジェスが息をついた。


「連邦教育の真髄:生き延びるために、列を作って死にに行く。」


私は指を二本に増やした。


「第二フェーズ、脱出から第一警戒圏の確立まで、三分から十分。」


「脱出順序は?」ハーヴィーが聞いた。


「フロスト-03が先に出る。」私は言った。「お前が一番皮が厚い。」


「それは理由にならない。」ジェスが言う。


「なる。しかも実用的だ。」私は言う。


ハーヴィーは眉一つ動かさなかった。「了解。」


「フロスト-03が出たら、まず地面が踏めるか、陥没点がないかを確認する。フロスト-04が二番目に出て、まず不審な植物、上方の蔓、異常な香りの発生源を探す。フロスト-02が三番目に出て、左翼五メートルの警戒を取る。私が最後に出て、全体判断と方向を引き受ける。」


九島がペン先でクリップボードを一度叩いた。


「上方の優先度をもう少し上げた方がいい。雨林の絞殺熔岩蔓は、立ち止まってから確認していては遅い。」


「だからお前が二番目に出る。」私は彼女を見た。「頭上と前方の三次元を専門に見ろ。」


彼女は頷いた。「問題ない。」


「それから、」私は付け加えた。「脱出したら全員すぐにコールサインで応答確認する。バカらしいと思っても飛ばすな。四人全員がまだしゃべれるかどうか確認したい。」


ジェスがすかさず放送のトーンで低く真似をした。


「フロスト-02、不幸にもまだ生きています。精神状態は安定、以上。」


「お前が本当に精神安定してたら、むしろ頭を打ったか疑う。」私は言った。


彼女が小さく笑ったが、それ以上は続けなかった。


私は指を三本に増やした。

「とても面白い」★四つか五つを押してね!


「普通かなぁ?」★三つを押してね!


「あまりかな?」★一つか二つを押してね!

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