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臨界の星穹  作者: Mr.佐藤焫焵
士官学校編
135/312

38. 結束  1

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

大型バスのドアが開いた瞬間、港区特有の金属と燃料、冷却水の霧が混ざり合った匂いが一気に流れ込んできた。洗いたてで拭いてもいない鉄板を顔に叩きつけられたような感触だ。


最高だ。


連邦が人間を箱詰めして外送する最終ステーションへようこそ。


前方の教官はすでに番号を怒鳴り始めていた。別の組の連中が次々と押し出されていく。バックパックのベルトが手すりに引っかかって、ドア口で危うく吊り下がりそうになっている奴もいれば、降りた途端に輸送艦を見上げて固まり、世界にこんな巨大な鉄の塊があるとは今さら気づいたような顔をしている奴もいる。


私は立ち止まらない。


でかいものは見たことがあるし、腐った制度も見たことがある。


今いちばん致命的なのは——人が増えると、バカなことも増殖するということだ。


ステップを降りて、着地した最初の一歩で地面の誘導ライン、二歩目でスロープの入り口、三歩目で近くのどの組がすでに崩れ始めているかを確認する。英雄的な本能なんかじゃない。少しでも長く生きるための最低限の礼儀だ。港区みたいな場所で「うわ、すごい」と感嘆して突っ立っていれば、次の瞬間には後ろの台車か教官か、別の組のイカれた奴に誘導柵まで吹っ飛ばされる。


「フロスト-01、前導。」私は声を落として言い、手を左に振った。「フロスト-02は右に付け。ふらつくな。フロスト-03は装備確認。フロスト-04は人数。」


片耳のイヤピースにすぐ返答が返ってくる。


「フロスト-02、了解。今日はお行儀よくしてるけど、長続きは保証しない。」ジェスの声は、イヤホン越しでも殴りたくなる。


「フロスト-03、了解。」ハーヴィーは最小限。


「フロスト-04、了解。人数四、装備四、全員定位置確認。」九島真紀くしま・まきの声は相変わらず愛想がないが、こういう場面では手放したくなる種類の安定感がある。


私は先頭に立って搭乗誘導ラインへ向かった。足は速くないが、横でわちゃついている屠殺待ちの新入りたちに合わせる気もない。両脇には港湾スタッフと総務、教官が杭のように立っている。歩みが遅い組、ラインを外れる組、立ち止まって見物しようとするアホには、即座に声が飛ぶ。


「立ち止まるな!」


「組ごとに前進!」


「貨物レーンを空けろ!」


親切なことだ。


一年生のある組の横を通り過ぎたとき、男子の一人が小声で仲間に聞いているのが耳に入った。「なあ、あれに本当に乗るのか?」


隣の、さらに青い顔をした奴が真面目に返している。「中継地点じゃないかな?」


笑い出しそうになった。


中継。


そうだな、お前の人生がだんだん見苦しくなっていく地点への中継だ。


ジェスも明らかに聞いていて、口の端を上げた。


「フロスト-02より提案。あの二人を同じ箱に詰めておきましょう。回収が楽になります。」


「箱を無駄にするな。」私は言った。「勝手に一塊になって転がる。」


スロープ入り口の手前で、校側がもう一つ短い集合エリアを設けていた。各組はここで最後の整列、識別プレート、通信チャンネル、乗艦区画の最終確認を行う。正式な出征前の儀式に見えるが、実態は貨物搭載前の最終在庫確認だ。


私は足を止めて、第144組を一瞥した。


ジェスのバックパックのベルトが半センチほどずれていて、私が口を開く前にハーヴィーが手を伸ばして直した。


九島は折り畳んだ確認書を手に、自然に半歩後ろの位置を取りつつ、視線は絶えず周囲を巡らせている。


いい。少なくとも今のところ、自己陶酔も自己放棄もしていない。


「最後にもう一回。」私は言った。「フロスト-01から04、ショートコマンドテスト。」


ジェスが顎を少し上げて、演技の準備をした顔になったが、完全に無視した。


「フロスト-03、フロスト-02の外付けをチェック。」


ハーヴィーは一瞥しただけで答える。「固定正常。」


「フロスト-04、乗艦区画を復唱。」


「B-17、左舷中層人員区画。」


「フロスト-02、撤退シーケンスを復唱しろ。」


ジェスがすかさず引き取った。「フェーン現象カウントはフロスト-01のHUD基準。シェルター進入順は負傷者優先、次に補給、最後に扉を閉めるのが私の場合、墓碑銘を美しく書いてください。」


「前半は合ってる。後半は勝手に死ね。」私は言った。


彼女は実にろくでもない笑みを向けてきた。「少なくとも、ちゃんと聞いてたじゃない。」


視線を九島に移す。


「フロスト-04、現場で水場が二つあった場合。一つは見た目が綺麗で、一つは見た目が汚い。どちらを先に疑う。」


「どちらが『無害ですよ』という顔をしていないかを先に疑う。」彼女は言った。


私は彼女をじっと見た。


いい。こいつもようやく人間の言葉を覚え始めた。定規で測ってからでないと出力しないタイプの人間語だが。


横でチェックしていた下士官が私たちを一瞥し、少なくとも「籠から出たばかりの小動物」ではないと判定したらしく、手を振った。


「第144組、乗艦。」


スロープは広かった。わざと「自分たちは数ある一組に過ぎない」という自覚を植えつけるような幅だ。歩いていくと、足の裏から港湾全体の振動が金属板を通して伝わってくる。重く、硬く、規則的で、この船がまだ動いてもいないのに、制度の感触が床から脚に染み込んでくる。


ハッチをくぐった瞬間、空気が変わった。


外の湿った鉄臭さから、内側のもっと乾いて硬い循環空気へ。消毒薬と機械油と合成繊維、そして大量の人間がこれから数時間密閉空間で共存するという予告の匂いが混ざり合っていた。頭上の白色灯は人間味ゼロで、全員の顔色を廃品置き場から拾われてきたみたいに見せる。


艦内通路の幅は十分にあるのに、圧迫感は一ミリも減らない。両側に層になった折りたたみ式の座席と固定フレーム、奥にはさらに貨物区画の隔壁が見える。ここは「普段は別の物資を運んでいるが、今日はついでに学生も運ぶ場所」だと遠慮なく主張していた。


合理的だ。


連邦はいつだってリソース共有の名人だ。


指定されたB-17中層区画を見つけた。場所は悪くない。四人がまとまって固まれて、他の組と膝をぶつけ合わずに済む。教官の指示で、まず装備の固定と点呼を済ませてから、短い待機時間に入った。


バックパックを固定ベルトに押し込み、座って真っ先にやったのは、配られた隊長用資料を再度引っ張り出すことだった。


急に読書家になったわけじゃない。


九島亜紀くしま・あきという女が笑顔で押しつけてきたものを、読まずに放置して眠れるほど神経は太くない。読めば読むほど寝つきが悪くなるのも、あの人らしい。


最後のページをめくると、やっぱり、あの手書きのメモが挟まったままだ。

「とても面白い」★四つか五つを押してね!


「普通かなぁ?」★三つを押してね!


「あまりかな?」★一つか二つを押してね!

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