37. 出発 3
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
「一回目、その場で修正。二回目、担当者が引き継ぐ。三回目——」
「発言権没収、一時間。」ジェスがすかさず引き取った。
「お前には効果絶大だな。」私は言った。
「死ぬ。」
「なら大人しくしていろ。」
九島はこの条項もホワイトボードに書いた。字が整然としていて、私は少し腹が立った。私たちのぐちゃぐちゃな運命が、読める形式に整理されていくみたいで。
ただ、見ていても消したくなかった。
面倒だ。
これが今の第144組の標準状態なのかもしれない。
面倒だが、使える。
会議が中盤に差しかかった頃、廊下から足音が聞こえ、ドアが二回ノックされた。総務の下級生が顔だけ覗かせた。「私も来たくなかった」と顔に書いてある。
「第144組?」四人を見回した。「最終調整会議、十分後、本棟第三会議室。校側から、各組の組長と無線コールサインの提出が求められています。」
ジェスが瞬きした。
「ほら、公式が先に戴冠式の準備してる。」
無視して、その人間にだけ聞いた。
「コールサインも今日中に?」
「はい。」頷く。「組長、隊コールサイン、個人コールサイン。今日中に提出しないと、明日の乗車前に最後まで待たされます。」
……この脅し方、行政的な美学がある。
第三会議室に着いたとき、中にはすでに十数組が詰め込まれていた。冷房は飾りみたいで、空気は紙と汗と安物のコピーインクの匂いで満ちていた。前のスクリーンには正式な文字が並んでいた。
一年生林間学校小隊最終編成確認
典礼みたいに見える。
中身は売り渡し証書だ。
各組の机には書類が一枚。欄が整然と並んでいて、死ぬ前の最後の一言まで先に分類して記入させそうな勢いだ。
隊伍番号。
組長氏名。
隊伍無線コールサイン。
隊員コールサイン。
緊急引き継ぎ順序。
私は三秒ほど書類を眺めた。
ジェスが私の手にペンを押しつけた。
「どうぞ、組長。」
「死に急ぐな。」
「制度に合わせてるだけよ。」
ハーヴィーは書類を引き寄せ、前置きの欄など見もせず、一番上の格を指で示した。
「書け。」
私は息をついて、組長氏名の欄に書いた。
星野霜
その三文字を書いた瞬間、妙な感覚が走った。
口先で言っていたことが、この瞬間に公式版として押印された感じだ。誰かが盛り上がったからでも、皆が適当に認めたからでもない。この瞬間から、第144組で何かが起きたとき、最初に名前を呼ばれるのは私だ。
クソ。
この種の実感が本当に嫌いだ。
次の欄は隊伍無線コールサインだ。
四人が同時に二秒ほど黙った。
ジェスが最初に口を開いた。
「誰かが『鉄狼』とか『赤刃』とか言い出したら、その場でこの友情を解消する。」
「解消できる友情があればな。」私は言った。
ハーヴィーは無表情だった。
「コールサインは恥をかくためのものじゃない。」
「じゃあ恥じゃないやつを出してよ。」ジェスが言った。
「短く、明確で、識別しやすい。」ハーヴィーは言った。「隊長に関係するものが望ましい。」
九島はそれまで書類を見ていたが、この一言で視線を上げ、私に落とした。
その視線が少し不快だった。
「何で私を見てる。」
彼女は一拍置いてから、ごく静かに言った。
「寒霜。」
私は眉をひそめた。
「何だ。」
「お前の名前。」九島は私を見た。「霜。冷たく、短く、識別しやすい。無線でも明瞭だ。」
ジェスが一瞬固まり、それから口元が上がり始めた。
「寒霜。」彼女は繰り返した。それからなぜか、こくりと頷いた。「……クソ、これ確かにお前っぽい。罵倒しながら雪の中から人を引きずり出しそうな響きがある。」
「私は雪の中に行ったことがない。」私は言った。
「お前の口は行ったことある。」
ハーヴィーが書類を一瞥し、私を見た。
「フロスト。問題ない。」
私は九島に向き直った。
「最初から考えてたのか?」
「違う。」と彼女は言った。「さっき思いついた。」
答え方が平坦すぎて、追いかける気が失せた。
ただ、このコールサインが私の名前から分解されたものだと気づいたとき、胸の中に妙な感触がまた浮いた。
細くて、鬱陶しい。
誰かが指先で神経を一点だけ叩いたみたいな感じだ。
私は顔を下げて、欄に書いた。
小隊コールサイン:寒霜
次は個人コールサインだ。
こちらは単純明快だった。
フロスト-01:星野霜
フロスト-02:ジェス・マッカロウ
フロスト-03:ハーヴィー・ノックス
フロスト-04:九島真紀
ジェスはその数字の並びを見て、突然笑った。
「いいね。もし私が死んだとしても、遺言がかっこよくなる。『フロスト-02、被弾』、『ジェスが終わった』より格調があるわ。」
「先に実演するなよ。」私は言った。
「安心して、もっと光のある場所で倒れる。」
「陰に引きずっていく。資源の無駄を省くために。」ハーヴィーは言った。
「あなたたち、本当に心がない。」
九島が書類を見て、一言付け加えた。
「引き継ぎ順序は?」
私はペン先を一番下の欄に当てた。
「私の次がハーヴィー、次が九島、最後がジェス。」
ジェスが目を見開いた。
「なんで私が最後なの?」
「口が多すぎるから。」
「それは理由にならない!」
「組全体の総意だ。」ハーヴィーは言った。
「この民主主義に反対する。」
誰も取り合わなかった。
書類を提出したとき、前で受け取っていた生徒会の人間が書類を一瞥して、声に出して読んだ。
「第144組、フロスト。」
私は横に立ったまま、その二文字が他人の口から出てくると、紙に書いてあるより実在する感じがした。
フロスト。
今この瞬間から、これは口から出た言葉じゃない。私たちのコールサインだ。
これから三週間、一緒に背負って歩く名前だ。
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