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離婚できないなんて…  作者: マーたん


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近づく距離

登場人物


『教師・杉田百子物語』第三話時点



杉田すぎた 百子ももこ


年齢:29歳

立場:教師


杉田 百子


青嶺学園 に勤める教師。


穏やかで優しく、


生徒人気も高い。


怒鳴らず、


生徒に寄り添うタイプ。


しかし内面では、


婚約者を事故で失った過去を抱えている。


そのため、


“誰かを好きになる怖さ”


を今も抱え続けている。


現在、


黒瀬 恒一 に少しずつ惹かれ始めている。


だが、


また失うことを恐れている。


料理は壊滅的。


一言でいうと

優しさの裏に深い孤独を抱える教師



黒瀬くろせ 恒一こういち


年齢:30歳

立場:教師


黒瀬 恒一


元・

私立霧崎学園 の教師。


過去の事件によって、


* 教師人生

* 愛

* 居場所


を失った。


現在は

青嶺学園 で働いている。


無愛想で寝不足常習犯。


しかし授業には本気。


生徒からの信頼も厚い。


また、


クロガミ により、


橘 ひより との記憶を失っている。


それでも、


説明できない喪失感だけが残っている。


百子と過ごす時間で、


少しずつ笑うようになっている。


一言でいうと

過去を失っても心に痛みを抱える教師



■ 橘 ひより(たちばな ひより)


年齢:21歳

立場:黒瀬の元妻


橘 ひより


黒瀬がかつて愛した女性。


現在は別の人生を歩いている。


しかし、


黒瀬との記憶を失ってからも、


心に大きな空白を抱えている。


時々、


理由もなく涙が出る。


黒瀬の写真を見ると、


胸が苦しくなる。


一言でいうと

忘れられても心に残り続ける女性



相馬そうま 恒一こういち


年齢:享年31歳

立場:百子の元婚約者


相馬 恒一


百子の婚約者だった男性。


同じ教師。


真面目で不器用。


しかし優しく、


生徒想いだった。


結婚直前、


事故で死亡。


彼の死によって、


百子は心から笑えなくなった。


また、


黒瀬はどこか相馬に似ている。


そのため百子は、


黒瀬へ強く惹かれていく。


一言でいうと

百子の心に生き続ける存在



■ クロガミ


クロガミ


人の、


* 後悔

* 未練

* 絶望

* 忘れたい記憶


へ現れる謎の存在。


黒いコート。


赤い瞳。


関西弁。


人の記憶へ干渉する能力を持つ。


黒瀬から、


ひよりとの記憶を奪った存在。


現在は、


百子と黒瀬の関係にも興味を示している。


一言でいうと

人間の記憶と感情を見つめる異形



■ 青嶺学園 生徒たち


青嶺学園


黒瀬と百子の距離に敏感な生徒たち。


二人をからかいながらも、


本当は応援している。


また、


黒瀬が昔より笑うようになったことにも気づいている。


一言でいうと

二人の変化を見守る存在



■ この物語のテーマ


『教師・杉田百子物語』が描くのは、



「傷ついた人間同士は、もう一度誰かを愛せるのか」



という再生の物語。

教師・杉田百子物語


第三話:近づく距離


 朝。



 青嶺学園 。



「おはようございます!」



 校門前。



 生徒たちが元気よく挨拶をしていく。



 その横で。



 杉田 百子 はため息をついていた。



「……またですか」



 視線の先。



 ベンチ。



 黒瀬 恒一 が座ったまま寝ていた。



 しかも。



 缶コーヒー片手。



 完全に疲れ切っている。



「黒瀬先生」



「……ん」



「家帰って寝ました?」



「帰った」



「何時間?」



「一時間くらい」



「それ帰った意味あります?」



 生徒たちが笑う。



 黒瀬は眠そうに顔を上げた。



「……朝から元気だな」



「先生がダメすぎるだけです」



 百子が呆れる。



 けれど。



 こういう時間が、


 最近少し楽しかった。




 昼休み。



 購買前。



「杉田先生!」



 女子生徒たちが騒いでいた。



「黒瀬先生と付き合ってるんですか!?」



「は!?」



 百子が固まる。



 周囲がざわつく。



「最近ずっと一緒じゃないですか!」



「お似合いですよー!」



「違います!!」



 百子が真っ赤になる。



 その時。



「……何騒いでるんだ」



 黒瀬登場。



 最悪のタイミング。



 女子たちがさらに盛り上がる。



「黒瀬先生!」



「杉田先生と付き合ってるんですか!?」



 黒瀬は数秒黙った。



 そして。



「……違う」



 即答。



 百子の胸が、


 少しだけ痛む。



 分かってる。



 分かってるけど。



 少しだけ、


傷ついた。




 放課後。



 百子は一人、


資料室にいた。



 誰もいない。



 静かな空間。



「……何期待してるんだろ、私」



 苦笑する。



 そんな時。



 扉が開いた。



「杉田先生」



 黒瀬だった。



「探した」



「え?」



 黒瀬は少し困った顔をしている。



「昼の件」



 百子の心臓が跳ねる。



「……別に気にしてません」



「嘘」



 即答。



 百子が固まる。



 黒瀬はため息をついた。



「俺、言葉足りないから」



「……」



「嫌だったわけじゃない」



 百子の呼吸が止まる。



「ただ」



 黒瀬が目を逸らす。



「誰かと近づくの、まだ怖いだけ」



 その声。



 本当に苦しそうだった。




 百子は静かに笑う。



「私もですよ」



「え?」



「好きだった人、亡くしてるので」



 黒瀬の目が揺れる。



 百子は続けた。



「だから怖いんです」



「また大事な人がいなくなるの」



 静かな沈黙。



 夕暮れ。



 窓から光が差し込む。



 その時。



「……杉田先生」



「はい?」



「少しだけ」



 黒瀬が小さく笑った。



「似てるかもな、俺たち」



 百子の胸が苦しくなる。



 でも。



 その苦しさは、


嫌じゃなかった。




 夜。



 校舎屋上。



 黒い影。



 赤い瞳。



 クロガミ が立っていた。



「ほぉ」



 クロガミは笑う。



「傷持ち同士、引かれ合うか」



 風が吹く。



「せやけどなぁ」



 赤い瞳が細くなる。



「人間いうんは、幸せになろうとした瞬間が一番脆いんや」



 そして。



 闇へ消えた。



第三話 完

もしこの物語をプロ野球実況が担当したら


 こんばんは。



 作者です。



 突然ですが。



 この作品、


 感情の起伏が激しすぎます。



 恋愛。



 修羅場。



 記憶喪失。



 クロガミ。



 教師問題。



 情報量が、


 ほぼ乱打戦です。



 なので今回は、



「もしプロ野球実況アナウンサーがこの物語を実況したら」



 を書いてみます。



■ 第一話


「さぁ始まりました!

 黒瀬、駅前で少女・ひよりと運命の出会いです!」



「おっとここで酔っ払い乱入!!」



「黒瀬うまい!

 “警備員来ました!”のブラフが決まったァーー!!」



「これは好プレーですねぇ!」



■ 秘密結婚編


「さぁ教師と生徒、禁断の夫婦生活!」



「しかし学校では距離を取る作戦だァーー!」



「おっと!?

 ひより、“旦那様”と言いそうになってギリギリ回避!」



「危ないですねぇ!」



■ 修羅場編


「来ました美女対決!!」



「真希と朝比奈、完全に視線で殺り合っています!」



「神戸署長、胃薬待ったなし!!」



■ 教頭・榊原登場


「ここで黒幕!」



「榊原、裏から根回しだァーー!」



「教育委員会も参戦!!」



「もう学園は大混戦です!!」



■ クロガミ登場


「出ました!!

 謎の存在クロガミ!!」



「関西弁です!!」



「そして黒瀬の記憶が消えていくーー!!」



「これは痛い!!

 非常に痛い展開だァーー!!」



■ 百子編


「さぁここで新ヒロイン!」



「杉田百子、優しく距離を詰める!」



「黒瀬も少しずつ笑顔を取り戻しています!」



「しかし!」



「胸の奥にはまだ“忘れたはずの痛み”が残っている!!」



■ 最終回


「百子との新しい人生!」



「だが春風の中――」



『旦那様』



「聞こえたァーー!!」



「記憶はなくても心は覚えていたァーー!!」



 ……はい。



 完全にスポーツじゃないです。



 でも、


 人生って案外こんな感じかもしれません。



 勝ったり。



 負けたり。



 壊れたり。



 それでもまた、


 次の試合が始まる。



 黒瀬も。



 百子も。



 ひよりも。



 まだ人生の途中です。



 そしてどこかで、



 クロガミが笑っているかもしれません。



「次は誰が“忘れたい”言うんやろなぁ」



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