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離婚できないなんて…  作者: マーたん


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43/52

壊れた夫婦

登場人物


⸻


■ 橘 ひより(たちばな ひより)


年齢:18歳

立場:高校三年生/黒瀬の妻


橘 ひより


本作のヒロイン。


普段は冷静で感情を表に出しにくい少女。


しかし本当は、


* 独占欲が強い

* 愛情が深い

* 一途

* 我慢しすぎる


性格。


学校では教師と生徒として距離を守り続けていた。


* 触れない

* 名前を呼ばない

* イチャつかない


全部耐えていた。


それは、


「黒瀬を守りたい」


という気持ちが本物だったから。


だが現在、


* みく

* 美月


二人との関係を知り、精神的に深く傷ついている。


特に苦しいのは、


“まだ黒瀬を好き”


なこと。


そのせいで完全に憎みきれない。


以前は家で、


⸻


「旦那様」


⸻


と呼んでいた。


しかし現在は封印。


黒瀬を、


⸻


「先生」


⸻


としか呼ばなくなっている。


一言でいうと

壊れても愛情だけ消えない妻


⸻


■ 黒瀬(くろせ) 恒一(こういち)


年齢:27歳

立場:高校教師/ひよりの夫


黒瀬 恒一


国語教師。


元々は、


* 真面目

* 面倒見がいい

* 線引きを守る

* 生徒から信頼される


教師だった。


しかし、


秘密の結婚生活。


隠し続ける苦しさ。


孤独。


そして弱さ。


その全部に飲まれ、


ついに崩壊。


現在、


* 水城みく

* 七瀬美月


二人の生徒と関係を持っていたことが発覚寸前。


本人も完全に自己嫌悪状態。


しかも、


最愛のひよりを一番傷つけた。


現在は、


* 教師失格

* 夫失格

* 大人失格


と、自分自身を追い込んでいる。


一言でいうと

愛していたのに全部壊した男


⸻


■ 水城 みく(みずき みく)


年齢:18歳

立場:ひよりの友人/黒瀬の生徒


水城 みく


孤独を抱えた少女。


黒瀬の優しさへ依存してしまった。


本人も、


「選ばれるのはひより」


だと理解していた。


それでも、


“自分だけを見てほしかった”。


現在は、


ひよりへの罪悪感で精神的にかなり追い詰められている。


さらに、


自分だけではなく、


美月とも関係があったと知り大きく動揺。


一言でいうと

愛されたかっただけの少女


⸻


■ 七瀬(ななせ) 美月(みづき)


年齢:18歳

立場:ひよりの親友/黒瀬の生徒


七瀬 美月


明るく社交的なムードメーカー。


しかし実際はかなり繊細。


文化祭準備をきっかけに黒瀬へ惹かれていく。


そして、


“誰にも見せない弱さ”


を知ったことで一線を越えてしまった。


現在は、


* 親友への裏切り

* 黒瀬への未練

* 自己嫌悪


で精神的に不安定。


さらに、


“自分だけ特別ではなかった”


ことにも傷ついている。


一言でいうと

友情も恋も壊した親友


⸻


■ 橘(たちばな) 剛玄(ごうげん)


年齢:52歳

立場:霧崎学園 校長/ひよりの叔父


橘 剛玄


私立霧崎学園 の校長。


通称:


⸻


「霧崎の鬼校長」


⸻


厳格。


威圧感が凄まじい。


教師たちからも恐れられている。


だが本当は情に厚い。


特に姪であるひよりを非常に大切にしている。


実は、


ひよりと黒瀬の結婚を以前から知っていた。


最初は猛反対。


しかし、


黒瀬の覚悟を信じ、


⸻


「絶対にひよりを泣かせるな」


⸻


という条件付きで黙認していた。


だからこそ現在、


怒りは凄まじい。


校長としてだけではなく、


“家族”


として裏切られたと感じている。


現在は黒瀬へ、


⸻


「辞表を書け」


⸻


と告げている。


一言でいうと

信頼を裏切られた鬼校長


⸻


■ 私立霧崎学園


私立霧崎学園


秘密と噂が渦巻き始めた学校。


教師と生徒の問題は最大級の不祥事。


現在、


校内では黒瀬に関する噂が急速に広がり始めている。


もし完全に発覚すれば、


* 学校の信用崩壊

* 教師陣への波及

* マスコミ

* SNS炎上


にまで発展する危険がある。


⸻


■ 現在の関係性


ひより ⇔ 黒瀬


愛情は残っている。


でも信頼が壊れた。


近くにいるほど苦しい。


⸻


黒瀬 ⇔ みく


依存と後悔。


⸻


黒瀬 ⇔ 美月


未練と逃避。


⸻


ひより ⇔ みく・美月


親友だった。


だから傷が深い。


⸻


剛玄 ⇔ 黒瀬


以前:


「信頼できる男」


現在:


「絶対に許せない男」


⸻


■ 現在の物語テーマ


この物語はもう、


“禁断の恋”


ではない。


描かれているのは、


⸻


「壊したあと、人はどう生きるのか」


⸻


という物語。

第五章:壊れた夫婦


 秘密は。


⸻


 一つ壊れると、連鎖する。


⸻


 嘘を守るための嘘。


 隠すための沈黙。


 見ないフリ。


⸻


 でも。


⸻


 人間はそんなに器用じゃない。


⸻


*


 朝。


⸻


 私立霧崎学園 。


⸻


 職員室。


⸻


 黒瀬 恒一 は、ほとんど眠れていなかった。


⸻


 目の下の隈。


 重い頭。


⸻


 そして。


⸻


 壊れた家。


⸻


 昨夜。


 橘 ひより は一度も黒瀬を見なかった。


⸻


 “旦那様”


とも呼ばなかった。


⸻


 その事実だけで、胸が潰れそうだった。


⸻


「黒瀬先生」


⸻


 声。


⸻


 振り向く。


⸻


 七瀬 美月 。


⸻


 黒瀬の呼吸が止まる。


⸻


 美月も顔色が悪かった。


⸻


「……少し話せますか」


⸻


 静かな声。


⸻


 嫌な予感しかしない。


⸻


*


 空き教室。


⸻


「……なんで避けるんですか」


⸻


 美月が先に言った。


⸻


 黒瀬は何も返せない。


⸻


「私、ずっと連絡待ってたのに」


⸻


 その言葉。


⸻


 黒瀬の背筋が凍る。


⸻


 そして。


⸻


 理解した。


⸻


 終わった、と。


⸻


「……七瀬」


⸻


「最低ですよね、先生」


⸻


 笑っている。


⸻


 でも目が泣いていた。


⸻


「私も分かってます」


⸻


 黒瀬は壁へ寄りかかる。


⸻


 頭痛がした。


⸻


 そうだ。


⸻


 美月とも。


⸻


 越えていた。


⸻


 数ヶ月前。


⸻


 文化祭準備。


 遅い帰宅。


 相談。


⸻


「先生って、誰にも本音言わなそう」


⸻


 そう言われた夜。


⸻


 救われた気がした。


⸻


 そして。


⸻


 弱かった。


⸻


 全部。


⸻


*


「……ひより、知ってるんですか」


⸻


 美月の問い。


⸻


 黒瀬は答えられない。


⸻


 沈黙だけで、美月は理解した。


⸻


「……みくのことは?」


⸻


「……知ってる」


⸻


 美月が青ざめる。


⸻


「え……」


⸻


「昨日、話した」


⸻


 美月が後ろへ下がる。


⸻


「うそ……」


⸻


 呼吸が震えていた。


⸻


「じゃあ私も知られたら」


⸻


 黒瀬が目を閉じる。


⸻


「……もう終わりだ」


⸻


 教師としても。


 夫としても。


⸻


 全部。


⸻


*


 その時。


⸻


 ガラッ。


⸻


 扉が開いた。


⸻


 立っていたのは。


⸻


 橘 ひより 。


⸻


 空気が凍る。


⸻


「……ひより」


⸻


 美月が息を飲む。


⸻


 ひよりは静かだった。


⸻


 静かすぎた。


⸻


「……そっか」


⸻


 笑った。


⸻


 壊れたみたいに。


⸻


「みくだけじゃなかったんだ」


⸻


 黒瀬の心臓が止まりそうになる。


⸻


「ひより違」


⸻


「もう喋らないで」


⸻


 初めてだった。


⸻


 こんな冷たい声。


⸻


「……気持ち悪い」


⸻


 黒瀬の顔から血の気が引く。


⸻


「先生って」


⸻


 “先生”。


⸻


 もう“旦那様”じゃない。


⸻


「誰にでも優しいんだね」


⸻


 ひよりの目に涙はなかった。


⸻


 その方が怖かった。


⸻


*


 その日の昼。


⸻


 校内に噂が流れ始める。


⸻


「黒瀬先生やばいらしい」


⸻


「女子となんかあった?」


⸻


「三年の誰かって」


⸻


 終わりが近づいていた。


⸻


*


「黒瀬先生」


⸻


 教頭。


⸻


「校長室へ」


⸻


 黒瀬は立ち上がる。


⸻


 足が重い。


⸻


 嫌な汗。


⸻


 そして。


⸻


 扉を開けた瞬間。


⸻


「座れ」


⸻


 低い声。


⸻


 校長。


⸻


 橘 恒一 。


⸻


 ひよりの叔父。


⸻


 黒瀬を見る目が、完全に怒りだった。


⸻


「……事情を聞こうか」


⸻


 机へ叩きつけられる写真。


⸻


 黒瀬。


 みく。


 そして。


 美月。


⸻


 顔から血の気が消える。


⸻


「お前、自分が何したか分かってるか?」


⸻


 黒瀬は答えられない。


⸻


「教師だぞ!!」


⸻


 怒声。


⸻


 窓が震えるほどだった。


⸻


「ひよりだけでも十分問題だ!!」


⸻


 黒瀬の目が揺れる。


⸻


 校長は知っていた。


⸻


「俺はな」


⸻


 校長の拳が震えていた。


⸻


「お前なら、ひよりを任せられると思った」


⸻


 黒瀬の胸が抉れる。


⸻


「なのに何だこれは!!」


⸻


 沈黙。


⸻


 言い訳など、ない。


⸻


「……辞表を書け」


⸻


 その言葉。


⸻


 黒瀬は静かに目を閉じた。


⸻


*


 終わった。


⸻


 教師としても。


 夫としても。


⸻


 全部。


⸻


 でも。


⸻


 一番怖いのは。


⸻


 ひよりに、


 本当に見捨てられることだった。

⸻


 愛していた。


 でも、


 壊れる時は一瞬だった。

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