↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
離婚できないなんて…  作者: マーたん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/52

許されない夜

登場人物(第四章時点)


⸻


■ 橘 ひより(たちばな ひより)


年齢:18歳

立場:高校三年生/黒瀬の妻


橘 ひより


本作のヒロイン。


学校では冷静で落ち着いた女子高生。


しかし家では、


* 甘える

* 嫉妬する

* 独占欲が強い

* 黒瀬にだけ弱い


という、年相応の感情を見せていた。


家での呼び方は、


⸻


「旦那様」


⸻


だった。


だが第四章で、


黒瀬が自分の友人・みくと関係を持っていたことを知り、大きく傷つく。


特にひよりを壊したのは、


“学校でずっと我慢していた”


こと。


* 触れない

* 他人のフリ

* 生徒として振る舞う


全部耐えていた。


それなのに裏切られたことで、


愛情と信頼が一気に崩壊し始める。


第四章ラストでは、


⸻


「もうその呼び方、したくない」


⸻


と、“旦那様”を封印。


これは黒瀬にとって最大級のダメージだった。


一言でいうと

愛していたからこそ深く壊れた妻


⸻


■ 黒瀬(くろせ) 恒一(こういち)


年齢:27歳

立場:高校教師/ひよりの夫


黒瀬 恒一


国語教師。


元々は、


* 理性が強い

* 線引きを守る

* 大人として振る舞う


タイプだった。


しかし現在は完全に崩れ始めている。


疲労、孤独、秘密生活。


そして何より、


“ひよりを失う恐怖”


に押し潰されかけている。


その結果、


ひよりの友人であり自分の生徒でもある

水城 みく と一夜を過ごしてしまう。


本人も深く後悔している。


だが、


「一回だけ」


という言葉すら、言い訳にしかならないことを理解している。


現在は、


* 夫

* 教師

* 大人


すべての立場が崩壊寸前。


一言でいうと

愛しているのに自分で全部壊した男


⸻


■ 水城 みく(みずき みく)


年齢:18歳

立場:ひよりの友人/黒瀬の生徒


水城 みく


第四章最大のキーパーソン。


ひよりの友人。


明るく見えるが、実はかなり孤独を抱えている。


黒瀬に対して、


「優しい先生」


以上の感情を持っていた。


そして。


黒瀬が弱っていた夜、


一線を越えてしまう。


しかし本人も、


* 黒瀬が本当に好きなのはひより

* 自分は代わりだった

* 間違っている


と理解している。


だからこそ苦しい。


「先生だけは優しいと思った」


という言葉には、


孤独と依存が混ざっている。


一言でいうと

選ばれないと分かっていても止まれなかった少女


⸻


■ 七瀬(ななせ) 美月(みづき)


年齢:18歳

立場:ひよりの親友


七瀬 美月


明るいムードメーカー。


まだ真実の全ては知らない。


しかし、


* ひよりの異変

* 黒瀬の空気

* みくの様子


から、何かが壊れ始めていることに気づき始めている。


今後、


“秘密に最も近づく存在”


になる可能性が高い。


一言でいうと

平和だった日常の崩壊を感じ始めた親友


⸻


■ 私立霧崎学園


私立霧崎学園


秘密を抱えた場所。


教師と生徒。


夫婦。


浮気。


全部が混ざり始めている。


今までは、


“隠せば守れた”。


だが現在は、


感情そのものが崩壊し始めている。


⸻


■ 現在の関係性


ひより → 黒瀬


愛している。

でも許せない。


触れたい。

でも触れられたくない。


信じたい。

でも裏切られた記憶が消えない。


⸻


黒瀬 → ひより


失いたくない。


でも。


“失う資格がある”


とも思っている。


⸻


みく → 黒瀬


好きだった。


だから止まれなかった。


でも今は、


自分が壊したことも理解している。


⸻


■ この物語の現在地


もう、


“禁断の恋”


ではない。


今描かれているのは、


⸻


「裏切った後、それでも愛せるのか」


⸻


という物語。

第四章:許されない夜


 違和感は。


⸻


 最初、とても小さい。


⸻


 返信が遅い。


 目を合わせない。


 触れ方がぎこちない。


⸻


 でも。


⸻


 本当に好きな相手の変化は、


 少しでも分かってしまう。


⸻


*


 夜。


⸻


 アパート。


⸻


 食卓。


⸻


 シチューの湯気。


⸻


「……」


⸻


 橘 ひより は、静かにスプーンを置いた。


⸻


 向かい側。


⸻


 黒瀬 恒一 。


⸻


 様子がおかしい。


⸻


 明らかに。


⸻


「旦那様」


⸻


「……ん」


⸻


「今日ずっと変」


⸻


 黒瀬が目を逸らす。


⸻


「疲れてるだけ」


⸻


「嘘」


⸻


 即答だった。


⸻


 沈黙。


⸻


 時計の音だけが響く。


⸻


「……何かした?」


⸻


 その言葉。


⸻


 黒瀬の喉が詰まる。


⸻


「……」


⸻


「私に言えないこと?」


⸻


 ひよりの声は静かだった。


⸻


 怒っていない。


⸻


 まだ。


⸻


 だから余計に苦しかった。


⸻


*


 黒瀬は知っている。


⸻


 ここで誤魔化せば。


⸻


 たぶんまだ、壊れない。


⸻


 でも。


⸻


 それは。


⸻


 ひよりを騙し続けることだった。


⸻


「……ひより」


⸻


「うん」


⸻


 黒瀬の手が震える。


⸻


「俺」


⸻


 声が掠れる。


⸻


「最低なことした」


⸻


 ひよりが少しだけ眉を寄せる。


⸻


「……何」


⸻


 黒瀬は息を吸う。


⸻


 吐く。


⸻


 そして。


⸻


「みくと……寝た」


⸻


 世界が止まった。


⸻


*


「……え」


⸻


 ひよりの声が、ひどく小さい。


⸻


 黒瀬は顔を上げられない。


⸻


「一回だけだ」


⸻


 言った瞬間、自分で吐き気がした。


⸻


 何の言い訳にもならない。


⸻


「……みく?」


⸻


「……」


⸻


「七瀬じゃなくて?」


⸻


「……水城」


⸻


 ひよりが動かなくなる。


⸻


 理解が追いついていない顔だった。


⸻


「……なんで」


⸻


 黒瀬は答えられない。


⸻


 疲れてた?


⸻


 弱ってた?


⸻


 寂しかった?


⸻


 全部、言い訳だ。


⸻


「なんで」


⸻


 もう一度。


⸻


 今度は少し震えていた。


⸻


「……ごめん」


⸻


「聞いてない」


⸻


 ひよりが立ち上がる。


⸻


 椅子が音を立てる。


⸻


「なんでって聞いてる」


⸻


 黒瀬は拳を握る。


⸻


「……俺が弱かった」


⸻


「ふざけないで」


⸻


 初めてだった。


⸻


 ひよりが、こんな声を出したのは。


⸻


「弱かったから何」


⸻


「寂しかったら誰でもいいの?」


⸻


「違う!」


⸻


 黒瀬が思わず声を上げる。


⸻


「違うんだ……!」


⸻


「じゃあ何!!」


⸻


 涙。


⸻


 ひよりの目から落ちる。


⸻


 黒瀬の胸が潰れそうになる。


⸻


*


「……私」


⸻


 ひよりが震える声で言う。


⸻


「学校でも我慢してた」


⸻


「……」


⸻


「触れたくても我慢した」


⸻


「……ひより」


⸻


「名前呼びたくても我慢した」


⸻


 涙が止まらない。


⸻


「ずっと、“奥さん”じゃなくて生徒してた」


⸻


 黒瀬は何も言えない。


⸻


「なのに旦那様は」


⸻


 その呼び方。


⸻


 もう。


⸻


 痛かった。


⸻


「他の子抱いたんだ」


⸻


 黒瀬が息を飲む。


⸻


「違……」


⸻


「違わない!!」


⸻


 叫びだった。


⸻


 ひよりが顔を覆う。


⸻


「……っ、最低……」


⸻


 黒瀬は動けなかった。


⸻


 触れる資格がない。


⸻


 慰める資格もない。


⸻


*


「……離婚する?」


⸻


 静かな声。


⸻


 黒瀬の呼吸が止まる。


⸻


「……え」


⸻


 ひよりは泣きながら笑った。


⸻


「だって旦那様、もう私いらないでしょ」


⸻


「違う!」


⸻


 即答。


⸻


「違うんだ、ひより」


⸻


「何が!!」


⸻


 黒瀬が立ち上がる。


⸻


「俺が好きなのはお前だけだ!!」


⸻


 その言葉。


⸻


 ひよりは泣いたまま笑う。


⸻


「じゃあなんで……」


⸻


 答えられない。


⸻


 愛していた。


⸻


 本当に。


⸻


 でも。


⸻


 壊した。


⸻


 自分で。


⸻


*


 夜。


⸻


 ひよりは寝室へ行かなかった。


⸻


 ソファ。


⸻


 毛布。


⸻


 距離。


⸻


 黒瀬は一人、床に座っていた。


⸻


 部屋が静かすぎた。


⸻


 隣にいるのに遠い。


⸻


 その時。


⸻


「……旦那様」


⸻


 ひよりの小さな声。


⸻


 黒瀬が顔を上げる。


⸻


 でも。


⸻


「……もうその呼び方、したくない」


⸻


 世界が崩れる音がした。

⸻


 秘密より怖いのは、


 壊れた後の日常だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。