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離婚できないなんて…  作者: マーたん


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第十章:

はっ

第十章:波瀾万丈の付き合う、結婚する


 恋愛は、二人だけの問題では終わらない。


 特に。


⸻


 相手が人気俳優で。

 自分が警察官で。

 周囲に面倒な大人が大量にいる場合は。


⸻


 なおさらだ。


⸻


*


 朝。


⸻


 蒼城中央警察署 。


⸻


「おはようございまー……」


⸻


 若手署員の声が止まる。


⸻


 入口。


⸻


 そこにいたのは。


⸻


 帽子。

 マスク。

 サングラス。


⸻


 完全変装の男。


⸻


 だが。


⸻


「……神崎蓮だ」


⸻


 一秒でバレた。


⸻


「なんで分かるの!?」


⸻


 男――

神崎 蓮 が絶叫する。


⸻


「オーラ」


⸻


「隠して!?」


⸻


 署員たちざわつく。


⸻


 そんな中。


⸻


 奥から

西園寺 真希 が出てくる。


⸻


 二人の目が合う。


⸻


 一瞬、空気が変わる。


⸻


「……何しに来たんですか」


⸻


「迎え」


⸻


「は?」


⸻


「朝比奈に車禁止された」


⸻


「子供ですか」


⸻


「母親にも怒られた」


⸻


「当然です」


⸻


 普通の会話。


⸻


 なのに。


⸻


 周囲の署員たちは確信していた。


⸻


(付き合ってる)


⸻


 完全に。


⸻


*


 その頃。


⸻


 署長室。


⸻


 神戸署長 は死んだ目をしていた。


⸻


「なんでうちの署が芸能スクープの現場みたいになってる」


⸻


「楽しそうじゃない」


⸻


 ソファで笑っているのは

相沢 美玲 。


⸻


「全然楽しくねぇ」


⸻


 その時。


⸻


 ドアが開く。


⸻


 入ってきたのは――


⸻


 斜別 管理官 。


⸻


 空気が重くなる。


⸻


「……お前の息子、また署に来てるぞ」


⸻


「知ってる」


⸻


 美玲、即答。


⸻


「止めろ」


⸻


「無理」


⸻


「即答するな」


⸻


 斜別が深いため息をつく。


⸻


「西園寺真希」


⸻


「はい?」


⸻


「お前、覚悟あるのか」


⸻


 突然だった。


⸻


 真希が固まる。


⸻


「父親モード入った」


⸻


 美玲が笑う。


⸻


「黙れ」


⸻


 斜別の圧が重い。


⸻


「蓮は面倒だぞ」


⸻


「知ってます」


⸻


「芸能界はもっと面倒だ」


⸻


「……はい」


⸻


「しかもあいつは昔から、好きになると周りが見えん」


⸻


 蓮が後ろで吹き出す。


⸻


「父親が暴露すんな」


⸻


「事実だ」


⸻


「うわ最悪」


⸻


 親子である。


⸻


*


「で?」


⸻


 美玲がニヤニヤしながら聞く。


⸻


「付き合うの?」


⸻


 真希、停止。


⸻


 蓮、笑う。


⸻


「聞く?」


⸻


「聞くわよ」


⸻


「全国民聞きたいでしょ」


⸻


「スキャンダルになるのでやめてください」


⸻


 真希が本気で止める。


⸻


「でもさ」


⸻


 蓮が真希を見る。


⸻


「お前、もう逃げないだろ」


⸻


 静かな声。


⸻


 真希が黙る。


⸻


 そして。


⸻


「……逃げません」


⸻


 小さいけれど、はっきりと言った。


⸻


 空気が止まる。


⸻


「おぉ……」


⸻


 若手署員、感動。


⸻


「青春……」


⸻


「うるさいです」


⸻


 真希が赤くなる。


⸻


 蓮が少しだけ笑った。


⸻


*


 数ヶ月後。


⸻


 季節が変わる。


⸻


 それでも。


⸻


 二人は相変わらずだった。


⸻


「蓮、週刊誌」


⸻


「また!?」


⸻


「真希、事情聴取」


⸻


「してません」


⸻


「朝比奈ブチギレ」


⸻


「想像できる」


⸻


 波瀾万丈。


⸻


 喧嘩もする。


⸻


 逃げもする。


⸻


 ぶつかる。


⸻


 でも。


⸻


 離れない。


⸻


*


 ある夜。


⸻


 海沿い。


⸻


 最初に蓮を見つけた場所。


⸻


 夜風。


⸻


「なあ真希」


⸻


「なんですか」


⸻


「結婚する?」


⸻


 真希、停止。


⸻


「……は?」


⸻


「いや流れで」


⸻


「流れで言うことじゃないです」


⸻


「でもするならお前がいい」


⸻


 真っ直ぐだった。


⸻


 冗談みたいな空気なのに。


⸻


 目だけ、本気。


⸻


 真希が黙る。


⸻


 数秒。


⸻


 そして。


⸻


「……断ったら?」


⸻


「泣く」


⸻


「俳優が?」


⸻


「めちゃくちゃ泣く」


⸻


「面倒くさいですね」


⸻


「知ってる」


⸻


 少し笑う。


⸻


 真希も、小さく笑った。


⸻


 そして。


⸻


「……考えておきます」


⸻


「それ警察の保留回答みたい」


⸻


「職業病です」


⸻


 二人で笑う。


⸻


 静かな夜。


⸻


 でも。


⸻


 もう孤独じゃなかった。


⸻


*


 後日。


⸻


 署内。


⸻


「で?」


⸻


 若手署員が聞く。


⸻


「結局付き合ってるんですか」


⸻


 真希が無言。


⸻


 そこへ。


⸻


「俺の婚約者いじめんなよ」


⸻


 蓮登場。


⸻


 署内爆発。


⸻


「こんっ……!」


⸻


 真希の顔が真っ赤になる。


⸻


 蓮、笑顔。


⸻


 その瞬間。


⸻


 遠くから。


⸻


「神崎蓮ーーーーー!!!」


⸻


 朝比奈の怒声。


⸻


「逃げろ」


⸻


 神戸署長、即判断。


⸻


 今日もまた、

 蒼城中央警察署は平和ではなかった。

次の機会にお会いしましょう

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