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離婚できないなんて…  作者: マーたん


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第八章:

登場人物(第八章:母という嵐)



相沢あいざわ 美玲みれい


神崎蓮――本名・相沢蓮の母。


派手で豪快。

声も大きく、感情表現も激しい。

周囲を強制的に自分の空気へ巻き込むタイプ。


神戸署長とは幼馴染で、遠慮が一切ない。


一見すると騒がしい人物だが、


* 息子の変化を敏感に察知している

* 蓮の“壊れる前の顔”を覚えている

* 朝比奈の抱え込み癖も見抜いている


など、母親として非常に鋭い。


この章では、


* 真希に「蓮を叱って」と頼む

* 朝比奈へ激怒する

* 署内を完全に混乱させる


という、“嵐”そのものの役割を果たす。


一言でいうと

全部見抜いて空気を壊す母



西園寺さいおんじ 真希まき


職業:警察官。


この章では、美玲の強烈なペースに完全に巻き込まれる。


特に、


「あの子、あなたのこと好きでしょ」


と母親に断言されたことで、今まで避けていた感情を真正面から突きつけられる。


また、朝比奈の“弱さ”を初めて目にしたことで、


* 完璧ではないこと

* 一人で抱え込んでいること

* 本当に蓮を守ろうとしていること


を理解し始める。


一言でいうと

逃げ場を母親に全部潰された女



朝比奈あさひな


職業:芸能マネージャー。


これまで冷静で完璧に見えていたが、この章で初めて感情を揺らされる。


美玲から、


* 「蓮を孤独にしている」

* 「全部一人で抱え込む」

* 「止められなかった」


と核心を突かれ、言葉を失う場面もあった。


つまりこの章は、


“完璧な管理者”だった朝比奈が、

ただの一人の人間に見え始める章でもある。


一言でいうと

守ろうとして壊しかけている女



神戸署長こうべしょちょう


蒼城中央警察署の署長。


真面目で苦労人。

最近ずっと胃痛気味。


美玲とは幼馴染であり、昔から振り回されている。


この章では、


* 芸能人の母来訪

* 部下とマネージャーの修羅場

* 病院逃走報告

* 署内パニック


を一気に処理する羽目になる。


完全に巻き込まれ体質。


一言でいうと

毎回被害を受ける常識人



神崎かんざき れん/本名:相沢 蓮


職業:俳優。


現在は入院中――のはずだったが、病院から逃走。


この章では直接登場していないにもかかわらず、


* 母

* 真希

* 朝比奈

* 署長


全員を振り回している。


また、美玲の発言により、


「真希を特別視している」


ことがほぼ確定した。


一言でいうと

寝てても逃げても周囲を混乱させる男



■ 若手署員たち


蒼城中央警察署の一般署員。


今回も完全に巻き込まれ側。


* 芸能人そっくりの美女来訪

* 署長へのタメ口

* 怒鳴り合い

* 空気の重さ


などにより、ずっと混乱している。


特に「母親って怖ぇ」という感想は、多くの署員の総意。


一言でいうと

毎回修羅場を見せられる一般人



■ この章のポイント


この章では、


「蓮をどう見るか」


が全員で違っている。


真希は“放っておけない相手”。

朝比奈は“守るべき相手”。

美玲は“手のかかる息子”。

署長は“問題児”。


そして蓮自身は、その全員に違う顔を見せている。



■ テーマ


家族だから見える壊れ方

守ることと閉じ込めることの違い

感情を隠しても、親にはバレる



次章では、病院から逃げた蓮を巡り、


真希と朝比奈がまさかの共闘を始めることになります。

第八章:母という嵐


 蒼城中央警察署 。


 その日、署内は朝から妙だった。



「……また空気重くない?」



「最近ずっと重い」



「もう慣れてきた」



「慣れたら終わりだろ」



 若手署員たちが小声で話している。



 そんな中。



 自動ドアが開いた。



 全員が、反射的に見る。



 入ってきたのは――



 派手だった。



 黒いサングラス。

 高級そうなコート。

 ヒール。

 強すぎるオーラ。



 そして何より。



 顔。



「……え?」



「うそ」



「神崎蓮に似てる……?」



 ざわめく署内。



 女はサングラスを外す。



 鋭い目。



 そして、堂々と言った。



「神戸ぉぉぉ!!」



 署内が固まる。



 奥の部屋のドアが開く。



 神戸署長 が出てきた。



 その瞬間。



「……帰れ」



 即答だった。



「久しぶりの幼馴染にそれぇ!?」



 女が叫ぶ。



 署員たち騒然。



「幼馴染!?」



「署長にあんな態度取る人いる!?」



「強すぎる」




 女の名前は――



 相沢 美玲 。



 神崎蓮――本名・相沢蓮の母だった。




「で?」



 応接室。



 神戸署長が頭を抱えている。



「なんで来た」



「決まってるでしょ」



 美玲が腕を組む。



「あのバカ息子の件よ」



「病院行け」



「行ったわよ」



 即答。



「でも逃げた」



「は?」



 署長の顔が死ぬ。



「点滴引っこ抜いて逃走」



「おい待て」



「だから来たの」



 嫌な予感しかしない。




 その頃。



 交通課。



 西園寺 真希 は、嫌な予感を感じていた。



「西園寺さん」



 署員が青い顔で来る。



「署長室に呼ばれてます」



「……何かしました?」



「知らないですけど」



 一拍。



「めちゃくちゃ美人がいます」



 嫌な予感が増えた。




 署長室。



 ドアを開ける。



 そこには、


* 胃が死んでる神戸署長

* イライラしている美女

* なぜかいる朝比奈


という、最悪の空間が完成していた。



(帰りたい)



 本気で思った。



「あなたが真希ちゃん?」



 美玲が立ち上がる。



「……はい」



 その瞬間。



 美玲が真希の手を掴んだ。



「お願い!!」



「え」



「うちのバカ息子叱って!!」



 真希、停止。



「……は?」



「最近あいつ調子乗りすぎなのよ!」



 署長が頭を押さえる。



「モテるからってフラフラして!」



「おい美玲」



「俳優になってから特にひどい!」



 止まらない。



「あの子昔はもっと可愛かったのに!」



「知らないです」



 真希、素で返す。



「しかも最近!」



 美玲が真希を指差す。



「あなたのこと絶対好きでしょあれ!」



 部屋、沈黙。



 真希の顔が固まる。



 朝比奈が静かに目を閉じる。



 神戸署長、天井を見る。



「……母親って怖ぇ」



 小さく漏れる。




「朝比奈ァ!!」



 突然、美玲が振り向く。



 空気が変わる。



「……はい」



 朝比奈が冷静に返す。



「あなた!!」



 一歩近づく。



「なんで止めなかったのよ!!」



 怒声。



 署長室が揺れるレベル。



「最近のあの子絶対おかしいじゃない!!」



「……申し訳ありません」



 朝比奈が頭を下げる。



 だが。



「申し訳ありませんじゃないのよ!!」



 美玲は止まらない。



「あなた昔からそう!!」



 朝比奈の目が少し揺れる。



「全部一人で抱え込んで!」



「……」



「蓮を守るって言って、結局あの子を孤独にしてる!」



 その言葉で。



 朝比奈の表情が初めて崩れた。



「……それは」



 言葉が止まる。



「違う?」



 美玲が睨む。



「最近のあの子、昔の顔してる」



 静かな声。



「壊れる直前の顔」



 朝比奈が黙る。



 真希は、その空気を見ていた。



 初めてだった。



 朝比奈が、“ただの完璧な女”じゃなく見えたのは。




「だから真希ちゃん」



 美玲が急に真希へ向く。



「お願い」



「……何をですか」



「叱って」



「……」



「あの子、好きな相手の言うことしか聞かないから」



 真希、完全停止。



「……好き」



「絶対そう」



 断言。



「親だから分かる」



 朝比奈が頭を抱える。



 署長が遠い目。



 真希だけが、顔を真っ赤にして固まっていた。

神戸署長と相沢美玲の雑談


「……お前さ」



 深夜。


 蒼城中央警察署 の署長室。



 応接室での嵐が終わり、

 若手署員たちはようやく通常業務へ戻っていた。



 そして残されたのは――



 疲れ切った

神戸署長 と、


 全く疲れていない

相沢 美玲 。



「毎回毎回、なんで台風みたいに来るんだ」



「失礼ね」



 美玲がコーヒーを飲む。



「ちゃんとノックしたわよ」



「そこじゃねぇ」



 署長、完全に死んだ目。



「うちの若手が怯えてたぞ」



「可愛かったわねぇ」



「お前の感想怖ぇんだよ」



 深いため息。



「で?」



 署長がネクタイを緩める。



「本当は何しに来た」



 一瞬。



 美玲の顔から、少しだけ笑みが消えた。



「……あの子、限界近い」



 静かな声だった。



 署長も表情を変える。



「分かるのか」



「親だもの」



 即答。



「あの子ね」



 窓の外を見る。



「昔から“平気な顔”するの上手かった」



 少し笑う。



「泣かないし、弱音も吐かないし」



「お前に似たんだろ」



「やめて。最悪」



 即否定。



「でもね」



 美玲の声が少し落ちる。



「あの子、本当にダメな時ほど笑うの」



 署長が黙る。



「今回、それ」



 短い一言。



 それだけで、重さが分かる。



「……朝比奈も気づいてるだろ」



「気づいてるわよ」



 美玲は即答する。



「だから余計悪いの」



「?」



「あの子達、お互いに抱え込みすぎ」



 署長は苦笑する。



「昔からだな」



「ほんっと昔から」



 美玲が椅子にもたれる。



「蓮は“迷惑かけたくない”で黙るし」



「朝比奈は“自分が支えなきゃ”で壊れるし」



「面倒なコンビだ」



「しかも美男美女」



「そこはどうでもいい」



 署長、即切り。




「で?」



 署長が聞く。



「真希ちゃんはどう思う」



 美玲がニヤッと笑う。



「好きね」



「早ぇよ」



「親を舐めないで」



 自信満々。



「分かるのよ、ああいう空気」



「空気で判断するな」



「だって真っ赤だったもの」



 署長が頭を抱える。



「お前なぁ……」



「でもね」



 少しだけ真面目な顔になる。



「あの子、いい子だった」



「……真希か?」



「うん」



「ちゃんと“怖がってた”」



「?」



「簡単に好きとか言わない子」



 美玲が静かに笑う。



「だから、たぶん本気になると厄介」



 署長が遠い目をする。



「お前、その“厄介”好きだよな」



「人間臭いじゃない」



「俺は平和が好きなんだよ」



「警察向いてないわね」



「うるせぇ」




 少しの沈黙。



 昔からの空気。



 幼馴染だけが持つ距離感。



「……神戸」



 美玲がふと呼ぶ。



「ん?」



「もしさ」



 一瞬だけ、母親の顔になる。



「あの子が本当に壊れたら」



 署長が見る。



「止めてあげてね」



 静かな声だった。



 神戸署長は数秒黙り。



「……母親のお前がやれ」



 そう返す。



 だが。



「親の言葉ってね」



 美玲は苦く笑う。



「一番届かない時あるのよ」



 署長は何も言えなかった。




 そして数秒後。



「ところで神戸」



「なんだ」



「独身?」



「帰れ」



 即答。



 深夜の署長室に、

 久しぶりに笑い声が響いた。



第八章、ありがとうございました。


今回は“母親”という存在が加わったことで、

物語の空気が大きく変わりました。


特に美玲は、


* 空気を壊す

* 本音を暴く

* 隠していた感情を引っ張り出す


という役割を持っています。


だからこそ、全員が振り回される。


しかし同時に、彼女だけが見えているものもある。


それが、


「壊れる前の蓮」


です。


次章では、ついに病院から逃げた蓮を追うことになります。


そして真希と朝比奈。


本来なら絶対に共闘できない二人が、

最悪の形で手を組むことになります。

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