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最強のホラゲー配信者がゲーム世界に転生したら、全く怖くない。  作者: てんてんこ
第3章 夕陽新町

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第40話 彼女は疑問を持たれました

「……行きましたね。それでは、そろそろ動きましょう」


「……あのムキムキのやつ、いなくなった……?」


 自警団ゾンビは、基本的に同じ経路を周回している。


 この家に逃げ込む前、ゴミステーションを破壊していた自警団ゾンビはその場を立ち去ったのだが、肉じゃがを作ったり食べたりしている間にも移動し続けている。


 1時間以上滞在していたため、何度か経路を周回しているはずだ。


 出発する支度を調え、しばし待つ。やがて現れた、ガラガラと手にした獲物を引きずりながら歩くその巨躯が、遠ざかるまで監視し。


 ようやく、茜は動き始めた。


「しばらくは、あいつは現れません。今なら、多少音を立てても大丈夫です。今のうちに移動しましょう」


「……わかった」


 茜が床に置いていたリュックサックを『背負う』と、佳子も慌てて自身のリュックサックを手に取った。


「裏口から出ます」


「うん」


 茜が裏口に向かって歩き始めると、佳子は何か、微妙な表情をしたまま、彼女の後をついて歩き始める。


「……茜さん」


「……ん?」


 裏口の扉に手を掛けたところで、意を決した佳子が、茜に話し掛けた。


「ちょっと、訊いてもいい……?」


「……ん」


 当然、まさか話し掛けられるとは思ってもいなかった茜は、やや挙動不審気味に、手を止めて振り返った。


 視線は、佳子の首あたりに向けられている。


 相手の目を見て会話するなんて、とんでもない!


「さっきの、あのムキムキのやつ……壊し終わったら立ち去ったみたいだけど、ああいうものなの……?」


「ん……。そう。……自警団は、前回と変化があった物とか、人間が見えた場所とか、音が聞こえた場所やものを、徹底的に破壊します。破壊し終わったら、満足して元の巡回ルートに戻ります。もし遭遇してしまったら、物陰に隠れてやり過ごすのが鉄則です」


「……茜ちゃんは、その自警団、とかいうのが、居るのは知ってたんだ……」


「…………」


 はて。


 茜は、僅かに首を傾げた。


 佳子は、何を聞きたいのだろうか。


「さっき、あの自警団?が来る前に、ごみ捨てるところのフタを開けてたよね……何で……?」


「あぁ……」


 そういえば。


 自警団ゾンビが来る直前に、茜はゴミステーションの蓋を開けてから物陰に隠れる、という行動をしていた。


 ちゃんと見ていたのか、と茜は感心する。


「ええと……。あれは、自警団を釘付けにするためですね。自警団は、前回通ったときと変わったものを見つけたら、とりあえず壊れるまで叩くっていう習性があるんです。なので、わざと蓋を開けたりすることで、その場所に誘導することができるんです」


「……。隠れたまま、やり過ごせなかった?」


 佳子のその疑問に。


 茜は、大きく頷いた。


 それに佳子が気付いた、ということだ。茜のテンションが、少し上がった。


「そう。静かにしていれば、やり過ごせます。隠れていたあの場所なら、道路からは見えないですからね。あそこでずっと隠れていれば、やり過ごせたと思います」


「ええ……? な、ならなんでわざわざ……」


 ここにきて、ようやく茜は納得がいった。


 どうやら佳子は、茜がわざわざ危険な行動を取ったのではないか、と疑問に思ったらしい。


 この娘は、しっかりと状況を認識し、そして自分で考えることができている。


 茜の、佳子に対する評価が、ぐーんと上がった。


「ええと、理由はいくつかあるんですが……」


 とはいえ、ここで時間を使うと、またしばらく動けなくなるかもしれない。


「まあ、それは道中説明するということで。とりあえず出発しましょう」


「あ……はい……」


 茜は、先を急いでいるのだ。


 裏口を静かに開け、耳を澄ませる。


 音は、何も聞こえない。


「しばらく大丈夫そうですね。さ、今のうちにあっちに渡りましょう」


 裏口から2人は外に出ると、茜が先頭になり裏門の傍の壁に張り付いた。


「…………」


 周囲を確認する。


 ゾンビの姿は、無い。


「よし。いまのうちに、あっちの家を目指します。この道、ゾンビは歩いていないんですが、窓から発見されることがあるので注意してください。基本、中腰で歩きましょう」


「う、うん」


 そうして2人は『中腰』になり、右手の壁沿いを歩き始めた。


「で、あの自警団なんですけどね」


「……普通に話し始めるんだ……」


「巡回中は、目もいいし耳もいいんです。なので、ちょっとでも姿が見えたり、あるいは音を立てたりすると、まず間違いなく見つかっちゃうんですよね。もちろん、しっかりと隠れて動かなければ、見つからないんですが」


 そろそろと、2人は歩いて行く。その行く先は、住宅の塀が途切れているようだ。どうやら、家の建っていない空き地があるらしい。


「発狂モードって呼んでるんですが、あの自警団、発狂すると破壊に集中するんですよね。そうすると、少々動いても、音を立てても見つからなくなるんです。発狂中なら、背後を歩いてもバレないくらい集中してくれるんですよね」


 もちろん、壊したものが飛んでくるので危ないんですが――と、そう付け加える。


 さすがにいくら茜とて、自警団ゾンビ暴れている傍に近付くような真似はしない。


 何度やっても破片に当たって怪我してしまうため、諦めたのだ。

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