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ギターを弾く光さん

「光お姉ちゃん。ここが分からないだけど」


「あら、この方程式は・・・」


 菜々子さんは光さんの前だと素直でかわいい。

 そんな菜々子さんは光さんに勉強を教えてもらっている。


 僕も何か負けていられないと思って、「あの光さん、その方程式僕にも教えてくれませんか?」


 すると菜々子さんが威圧的な視線を僕に向け「何よ。今私に勉強を教えてもらっているんだから」


 そこで光さんが「まあまあ菜々子ちゃんここは二人に勉強を教えてあげるから、どうかあっ君も教えるにも参加させて」


「はい」


 この菜々子さんは光さんの前だと、素直になるのは何かあるのだろうか?


 無事方程式も教えてもらって、理解した僕はどんどん方程式を解いていった。

 数学は独学だとすごく時間がかかる。

 その為には誰かに教えてもらわなくてはいけない。


 光さんも勉強か?菜々子さんの後ろに座って、レポートを取り出した。


「光さんも勉強ですか?」


「今日は図書館お休みだから、その分やっておかないとね」


 光さんも大変なんだな。そんな大変な中、僕が学校に行かなくて良くしてくれた。





 ******   ******




 勉強をして、時計が十二時を知らせる、合図がなった。


 光さんが手を伸ばして、「もうお昼か」


 そこで僕が光さんに『お昼ご一緒して良いですか』と言いたいところだが、そんな事を言ったら僕が光さんの事を好きになってしまったのだと烙印を押されるし、僕が光さんに好意を持っているとバレてしまう。

 そうなったら恥ずかしい。


「さてと、アツジ君に菜々子ちゃん、一緒にパン屋でも行かない?」


「はい喜んで」と菜々子さんは言って、僕は「僕も一緒で良いんですか?」


「もちろんよ。三人仲良く勉強組で敬子の店の失敗したパンを食べに行きましょう」


「「はい」」


 と菜々子さんと僕の返事が重なると、菜々子さんは僕に威圧的な目で僕を見た。


「あの~その目怖いんですけれど」


 僕が言うと、プイッて知らんふりをした。


 そこで光さんが「菜々子ちゃん、あっ君の事が気に入ったからって、そんな態度を取るのは良いとは思えないよ」


「はあ~?何を言っているんですか?こんな人好きになるわけないじゃないですか」


「まあ、そう言う事にしておいてあげる」


 すると菜々子さんはそう言って、また威圧的な視線を向けて僕のわき腹に肘鉄を食らわせて来た。

 もろに入り、「何をするんですか?」


「光さんを誤解させるからよ」


「それは光さんが勝手に言ったことでしょ」


「うるさい。お前が悪いんだよ」

 

 理不尽な女だ。


 でもいじめられている感じはしなかった。


 この女、正直僕は怖い、でもこの女に勉強で負けたくない。

 何でこの女に勉強で負けたくないのかは僕には分からなかった。

 それよりも今日もパン屋にご馳走になりに行くんだ。

 それと何でこの気の強い女が英明塾に通っているのか気になったが、麻美ちゃんの時と二の前になりそうなので聞くことをやめることにする。


 自転車で十五分、パン屋にたどり着いて、いつものように光さんはパン屋の裏口から、敬子さんをスマホで呼び寄せて、パンを持ってきてくれた。


 そこで敬子さんは「あら、菜々ちゃん久しぶり」


「お久しぶりです敬子さん」


「そんなかしこまらなくて良いのに。勉強は進んでいるの?」


 そこで光さんが「あっ君の事が好きだから、菜々子ちゃん頑張れるのよ」


「違うって言っているじゃない」


 そう言って僕のわき腹に肘鉄を食らわせて来た。

 悶えている僕の前で敬子さんが「素直じゃないね菜々ちゃんも」


「だから違うって言っているじゃないですか?」


「まあ、そう言う事にしてあげる」


 そう言って敬子さんは職場のパン屋に戻っていってしまった。


「だから~」


「さあ、早速パンをいただきましょう」


 パンは三人で図書館の前の公園のベンチで食べることになった。

 光さんが座っている席を僕と菜々子さんで挟んで食べることになった。


「失敗したパンおいしいですね」


 菜々子さんが言う。


「本当だよね、これのどこが失敗したパンなのだろうね?」


「本当ですよ。こんなおいしいパンを食べられる何て幸せな気分ですよ」


 僕が言うと光さんは笑顔で「そうだね」と言って、菜々子さんは僕に威圧的な視線を向けてくる。

 何でこの女は僕に敵対心を持っているのだろう。

 でも英明の勉強部屋では菜々子さんに負けまいと僕は踏ん張れる。


 パンも食べ終わって、僕達は英明に戻った。


「さて勉強を始めるか」


 光さんが言って、「「はい」」と僕と菜々子さんの声がハモると、何が気に入らないのか菜々子さんは威圧的な目を向けて僕に訴えかけてくる。

 そのように見られると、僕はこの女に勉強を負けていられないと熱くなった。

 絶対に負けるものか。


 勉強に集中する僕と菜々子さんと光さん。


 本当に何か没頭していると時間なんてあっと言う間に過ぎてしまう。


 二時間が経過して、午後三時を時計が示していた。


「さて、二人とも、勉強もこれぐらいにして、ギターを弾かない?」


「光さん。ギターを教えてくれるんですか?」


 菜々子さんが言う。


「光さんギター弾けるんですか?」


 僕が言う。


「まあ、少しだけね」


「へえー見て聞いてみたいです」


 娯楽室に行くとギターが三本合った。


「いつもはみんなと歌うんだけど。今日はあまり人がいないから、三人で弾こうか」


「何を弾くんですか?」


 すると光さんと菜々子さんがギターを持って構える。


「禁じられた遊びでも弾いてあげましょうか」


 すると菜々子さんと光さんはワンツースリーと言ってギターを弾いた。

 その二人の姿を見ていると、かっこ良く、僕もギターを弾きたいと思ってしまった。


 二人が歌い終わると僕は拍手を送る。


 そして僕は「光さん僕にもギターを教えてよ」


「良いわよ」


 そう言って三本目のアコースティックギターを僕に手渡した。


 そして光さんのギターのレクチャーが始まった。


「最初は私も思ったけれど、ちょっとした根気で押さえられるようになるよ」


 しかし菜々子さんはそれを余裕で弾いていた。

 何だろう?菜々子さんには負けられない。


 禁じられた遊びはまさに神業だ。


「あっ君、何事も根気強くやっていれば出来るようになるわ」


「はい」


 悔しい、せめてこの女には負けたくない。

 何であんな調子でギターが弾けるようになるのか今の僕は練習するしかない。


「菜々子ちゃん。あまりあっ君を熱くさせないで」


 と光さんに言われると、僕はもっと熱くなれる。


 絶対に禁じられた遊びをマスターしてやるぞ。


 菜々子さんに負けていられない。


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