↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/16

10話 移動用魔道具





「平民の娘に心変わりした王子が婚約していた公爵令嬢と婚約破棄したらしい」


「王都でアルガリータ家の娘が死んだらしい」


「王子が元婚約者を処刑にした」


「なんでも王子の新しい婚約者が平民だったからって元婚約者が妬んで殺そうとしたから処刑されたらしい」


などと真相を知らぬサハーレンの街ではこの国の王子(エドワード)が婚約していたアルガリータ家の令嬢を捨てただの王子が元婚約者を処刑にしたという『公爵令嬢リリゼット・アルガリータ』が関係した噂で話題となっていた。


この世界にはインターネットのような瞬時に情報を得る手段はない。


王都からきた商人などがこの街の者に『第一王子が婚約していた令嬢と婚約破棄をした』、『婚約破棄された公爵令嬢が平民生まれの娘を逆恨みした』、『処刑判決を受けた公爵令嬢が自害した』などと話したものが人から人へ伝わるうちに公爵令嬢リリゼット・アルガリータは処刑される前に自害したのではなく処刑執行されたと変化してしまったようだ。


当の世間では死んだことになっている『元公爵令嬢リリゼット・アルガリータ』は平民達の間で顔は知られていないので顔を見られても騒がれることはなかった。


彼女は自身の噂に腹は立ててはいないが別の理由で不機嫌になっていた。


不機嫌になっている理由は自身に関しての噂ではなくこの街に入る前、門番がギルヴェルトに言った言葉と態度であった。


今のギルヴェルトは門番にだけ素顔を晒したが、街に入ってからは長く伸ばしていた前髪で目を隠している。街の住民からはリリゼットの噂のこともあり気にも留められていないので怒りは増さないが、この街に来て宿屋で一泊した後も、顔には出ないだけで内心ではリリゼットの怒りはなかなか鎮まらなかった。


「くだらない噂で腹を立ててるのか?」


同室に宿泊しているギルヴェルトは、顔には出なくともリリゼットが不機嫌になっているのには気付いており、彼は街で話題となっている噂で、無実の罪で投獄されていたことを思い出して不機嫌になっているのだろうと思っているようだ。


「この街に来た時のギルに対しての門番の態度が納得いかなくて…」


「あぁ…なんだそんなことか。この国では俺の眼を見た奴はだいたいそんなものだろう。石を投げられないだけ良い」


お前の考えと感覚が異質なんだ、とギルヴェルトは付け足して言う。


『石を投げられないだけマシ』、リリゼットの元学友だったフランシスは赤い瞳持ちでも伯爵家の人間だった。


フランシスの学生時代は『公爵令嬢リリゼット・アルガリータ』と特に仲が良いということもあり、本人達がいないところで爵位が低い他の学生からヒソヒソと陰口を言われるくらいで実害が無かったが、ギルヴェルトの場合はその言葉だけで、爵位のない彼が子供時代から瞳の色が原因で理不尽な体験をしてきたのではないかとリリゼットは思った。


コンッコンッ


「ギルーいるか~?」


扉をノックする音と若い男の声が聞こえた。


ギルヴェルトが扉を開けると短い銀髪、アクアグリーンの瞳をしたリリゼットと同世代だと思われる青年がいた。


ーなんか見たことある顔…。


リリゼットはこの青年をどこかで見た記憶はあったが名前とどこで見たのかも思い出せなかった。


「彼が協力者だ」


宿泊していた部屋の前にいた青年を部屋に招き入れるとギルヴェルトが言った。


この青年がクリスティアへ一気に移動することができる魔道具を持ってくる協力者らしい。


「へぇー、君がリリィちゃんか。俺ははレオナルドだ。よろしくね」


「は、はい。こちらこそよろしくお願いします…」


リリゼットは長年慣れた貴族令嬢としての挨拶ではなくペコリとお辞儀をしてレオナルドに挨拶をした。


『リリィ』とはリリゼットととても親しい者達が彼女を呼ぶときに今まで使用していた愛称だ。


世間では死んだことになっているリリゼットと名乗るのは、ファミリーネームを取ったとしても外見の特徴で明らかだ。彼女が『元公爵令嬢リリゼット・アルガリータ』であり、生存していたことが知られればとても面倒なことになるのが目に見えていた。


なのでこれからリリゼットは愛称のリリィを本名として名乗るよう、この街に来る前に馬車の中でギルヴェルトと打ち合わせをしていたのだが、これもリリゼット救出計画として前もって決められ協力者のレオナルドにも伝えられていたようだ。


3人は宿屋を出るとこの街に来るまで使用していた馬車を売りそのまま歩いてサハーレンを後にした…。



「ここまで歩けばいいかな」


と街からかなり離れた道まで歩くとレオナルドが言った。


人目がないことを見回して確認するとレオナルドは持っていたカバンから丸い水色の水晶を取り出した。


レオナルドによるとこの水晶は魔道具でありこれに手を当てて魔力を込めると対となっている魔道具の近くに瞬間移動できるのだという。


この魔道具の難点は…魔力の消費が激しいということ…。


3人はこの水晶に片手を重ねるように置き魔力を込めるとその場から姿を消した…。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。