2.目が覚めて。
悠斗は窓から入ってくる光の眩しさに目を覚まし、見上げた知らない天井でここが自分の部屋でないことに気付いた。
なので、体を起こし見渡してみると部屋は無駄にだだっ広く、敷いてある絨毯は良さそうなものに思える。
横を見ると隣のベッドは空いているので、自分以外はもう起きたのだろうか。
ノックとともにドアが開き、声がかかる。
「悠斗、そろそろ起きたー?」
「おはよう、唯。今ちょうど起きたところだよ。」
起きたばかりだからだろうか。
自分の声がすごく遠く、他人の声のように聞こえる。
今入ってきた彼女は広瀬唯。
悠斗が初めての転校というナーバスな時に話しかけてくれ優しくしてくれたクラスメートであり、修学旅行でも同じ班になってくれたので悠斗は友達だと思っている女の子である。
「唯はもう起きてたんだ。」
「悠斗以外はみんな起きてるわよ…。由紀と春日も心配してたから2人を呼んでくるわ。」
唯が足早に部屋を出て行く。
とりあえず手持ち無沙汰になったので寝転んでスマホを見る。
朝の10時半、確かに寝すぎたのかも知れないとは思う。
ただ、心配をかけたとはどういうことだろうか。
「…バスに乗り込むちょっと前くらいまでは記憶があるんだが、そこから記憶がない。今回の旅行で泊まるところってこんなに良い所だったっけ。」
「悠斗!!目を覚ましたのか!」
ドアが大きな音を立てて開き、その音に驚いてると大樹に声をかけられる。
「大樹…そんな乱暴に扉を開けなくても俺は起きてるよ。むしろ今のにびっくりして永遠に寝かねないよ。」
「春日、あんたは本当に騒がしいわね。悠斗は寝起きなんだからもう少し静かにしようとは思わないわけ」
開いたままの扉から唯が入ってきて、その後ろから由紀が入ってきて悠斗に手を振る。
班のみんなしてわざわざ来なくてもいいのにとは思う。
「唯、そんなすごく寝すぎたみたいな言い方しなくても僕はちょっと寝坊しただけ。」
悠斗の弁明にはすぐに否定が入る。
「そんなことない。十亀はバスの事故からずっと丸一日寝てた。」
「おう、悠斗は俺たちに心配させる程度に長く寝てたさ。」
由紀が言ったことに大樹も賛同する。
先に話した彼女は湊由紀、そして賑やかなのが春日大樹。
転校してきてからほんの3ヶ月で修学旅行にきてしまった悠斗にとって唯も合わせてこの3人が友達と言える友達である。
2人が言うので、スマホの日時を見直す…自分が思っていた日時と1日違っていた。
「昨日の晩も寝坊するくらい寝たのに、またこんなにも寝過ごすなんて…」
「え、悠斗あんた事故にあったことも忘れたの?」
「そうだね。確かに昨日の朝、バスに乗り込むくらいから記憶がない…って事故?!」
改めてここで唯が昨日の移動中に今いるところへの転移をし、その直後事故にあったことを話してくれる。
「なんだかバスに乗りこんだ頃からは言われてみるとそんな気がするんだけど、物凄く他人事のように感じられて本当にあったのかすらピンと来ないんだよね。
でも事故って言ったけど3人は大丈夫だったの?それとも今でも見えないところで怪我ひどいの?」
「悠斗は昨日寝坊したから一番前で田代と一緒に乗っていたが、俺達は割と後ろに乗っていたからな。事故の時に前の椅子に頭をぶつけたりはしたがその程度だよ。」
田代とはクラス担任の先生のことである。
どうやら事故の時は隣に乗っていたようだ、言われてみるとこれもそうだった気がする。
「それなら良かったよ。」
ここがどこかもまだわかっていない。どうしたら自分の家に帰れるかなど検討もつかない。
ただどうやらなんとかなるのではないか、そう感じられたから悠斗はこう聞くことにした。
「みんなはどうしてるの?」
3人共自分から目をそらした。
これは今からいい話は聞けないんだろうな。
悠斗はそう感じた。
自分が事故にて意識を失い、搬送された経験が生きてしまった。
なにごとも経験しとくもんだなあ。
延々と手直ししかしてない




