ラルフの本心
「ついたぞ」
大きな空間だった。地下に、これほどの大きさの空間が作れるのかと思うほど大きい。天井はゆうに三階だて分くらいの高さはある。100人くらいまでなら、余裕で入れそうだ。
「後ろをみてみな」
ラルフに言われるまま、ゆっくりと後ろを向いた。
「ーーーーっ」
言葉を失ってしまった。声にならない声がもれる。それほどまでに、壮観だった。
クエンたちがでてきたばかりの穴。それと同じような穴が、数え切れないほどあったのだ。その数は五十は超えようか。圧倒される。いったい誰が、どんな理由でつくったのか。
「気づいたときには、最初からこんな形だったらしいぜ。どうやって作られたのかは誰も知らない。謎の遺跡だ」
「こんな数、全部トラップが仕掛けられているのか?」
「まさか。まだ半分くらいしか終わってない。トラップを設置していない道は、いくつもある」
…………。
「それだったら、そういう安全な道を通ってくればよかったんじゃないか? 俺らがきたみち、最後までトラップだらけだったよな」
……まさか、わざと?
「いやー。それじゃあつまんないじゃん? お前が地べた這いつくばって、泣いてる顔見たかったからさ」
「…………」
「おかげで、結構遠回りになっちゃったんだよね~。ああ、疲れた!」
もし、それが最短ルートだったらまだわからなくもなくもなくもない。けど、
「ふざっけんなあああ!!」
ぼこぼこにした。さっきラルフが転んだときに打ったというすねを重点的に狙って。
ちゅうちゅうと、何かの鳴き声が聞こえた。
後ろを振り向くと、ねずみがいた。
ぶっ倒れていたラルフが勢いよく立ち上がる。
「いたか、くそねずみっ! ぶっ殺してやる!!」
因縁をつけるように、にらみつける。今すぐにでも、過ちを犯しそうな目だ。
ラルフは無造作にねずみを掴むと、短剣を取り出した。
危なげな目が短剣にきらりと映っている。
「だけど、どうせそのつもりはないんだろ?」
小さくつぶやいたつもりだったがラルフには聞こえたらしい。
「……なんだよ」
気になるのかチラチラとクエンをみるラルフ。
「お前、そのねずみ殺すつもりないだろ」




