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第2話 恋愛イベント、全部バグらせます
その日の夜。
(あの男が、来る可能性が高い)
庭の奥。渡殿。
風が吹き抜けていく。
どこの屋敷も同じような造りだけれど。
(この配置、この時間——原典通りなら)
紫は、そこにいた。
愛らしい顔が、月明かりでほのかに照らされた。
「……小侍従」
(守る)
そのとき。
「やはり、ここにいたか」
(来た!)
「その子、気になっていたんだ」
(ハイ、アウト寄り!)
紫が袖をつまむ。
(保護対象確定、決まり!)
「この方は、お休みになるお時間にございます」
「少し話すだけでも」
(信用ならないから、“少し”)
「何気ない言葉も、強く残るものにございます」
紫の手が強くなる。
「……なるほど」
(……一手、遅らせた、か?)
源氏の君が去る。
......どう見ても、まだ少年だ。私には、そう見えた。
(だけど)
(押しの強さは、この頃から?)
(目聡いし)
(とりあえず回避できた、と思う)
「怖かった?」
「……少し」
袖を離そうとして、迷う。
そんな紫を見たら――
(……ああ)
「ご自身の気持ちは、ご自身で決めてよろしいのです」
「……自分で?」
紫が頷く。
(ふぅ、第一段階クリア)
(でも、まだ終わりじゃない)
(ハーレム、解体途中)




