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  作者: リバー
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3/6

足音

3つ目 足音

大介もまた、忽然と姿を消した。

二人の友人を立て続けに失った女子大生の真由は、底知れぬ恐怖と孤独の中にいた。

警察の捜査は一向に進まず、周囲では「神隠し」や「集団自殺」といった不吉な噂が飛び交っていた。 


その日の夜、真由は大学の図書館で遅くまで資料を探していた。

気がつくと時計の針は午後十時を回っており、周囲に人の気配はなかった。

急いで荷物をまとめ、街灯のまばらな夜道を駅へと向かう。 


「コツ、コツ、コツ」


静まり返ったアスファルトに、真由の履くローファーの音が響く。

早く家に帰りたい一心で、自然と歩調が速くなる。 


「コツ、コツ、コツ、コツ」


ふと、真由は違和感を覚えた。

自分の歩くリズムに対して、聞こえてくる足音の数が、わずかに多い気がしたのだ。

(気のせいよ。きっとそうよ。) 自分に言い聞かせ、真由はわざと一歩、大きく踏み出して足を止めてみた。 


ピタリ。

真由の動きに合わせて、背後の音も止まった。

やはり気のせいだったのかと胸を撫で下ろした瞬間、真由が次の足を出す前に、背後で「コツ」と、一歩分の足音が遅れて響いた。

誰かが、自分の後ろを歩いている。

それも、真由が立ち止まると同時に足を止め、気配を隠そうとしているのだ。 

恐怖が一気に冷気となって背中を駆け上がった。

真由は振り返ることなく、歩く速度を上げた。早歩きから、軽いジョギングへ。

それに合わせるように、背後の足音も「タタタタ」と速度を上げてついてくる。

距離は確実に縮まっていた。「いや……!」 

真由はついに全力で走り出した。夜の住宅街を、駅の明かりを目指して必死に駆ける。

しかし、背後の音は尋常ではなかった。 


「トトトトトトトトトトトトトトトト!」


それは、人間の二本の足が出せる音ではなかった。

まるで、無数の細い足が、凄まじい回転数で地面を引っ掻きながら追いかけてくるような、おぞましい駆動音だった。

百足ムカデか、あるいはそれ以上の巨大な何かが、猛スピードで迫ってくる。

 真由は自宅のアパートへと逃げ込んだ。

オートロックのドアを滑り込みながら閉め、鍵がかかるのを確認する。

エントランスのガラス越しに外を見るが、そこには誰もいなかった。 

激しく呼吸を乱しながら、真由は自分の部屋がある三階へと階段を駆け上がった。

一段飛ばしで階段を上る真由の足音。

 そのとき、一階の階段の踊り場から、あの音が聞こえた。 


「トトトトトトトトトトトトトト!」


それは、壁や天井を垂直に這い上がってくるかのような音だった。真由が自分の部屋の前にたどり着き、震える手で鍵を閉めるためドアノブに鍵を差し込もうとした瞬間、階段の暗闇から、無数の「人間の手足」を不自然な角度で結合させたような異形の塊が、音を立てて踊り場に姿を現した。

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