表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/16

第11章 戦いと浄化

 天井の上から、見慣れない武器を手にしたローブ姿の者たちが、悪魔とヴェクタ教の信者たちへ一斉に襲いかかった。イザウたちにとっては未知の武器だったが、その威力は明らかだった。ハンベルスは頭部を撃ち抜かれ、その場で絶命する。信者たちは恐怖に駆られ、ヴェクタリウムから我先にと逃げ出した。


 悪魔たちもまた、絶え間ない攻撃に押され後退していく。やがて白いローブの者たちが降り立ち、イザウたちを救い出した。


 「助けてくれてありがとう――」


 イザウが声をかけるも、その人物は何も答えず、ただ無言で彼を祭壇の裏へと導いた。


 「みんな無事か!? 怪我はないか?」


 「うん、大丈夫だ」


 ルシは弱りきった祖父に駆け寄り、その体を抱きしめた。


 「泣くな、ルシ……わしは大丈夫じゃ」


 「よかった……みんな無事で……」


 イザウは胸を撫で下ろす。


 白ローブの人物がフードを外した。その瞬間、イザウは目を見開いた。


 「……女の人!? あ、あの……助けてくれてありがとう」


 「礼は後。今はあの悪魔たちを片付けることに集中して」


 そこへ、黒に白い線が入ったローブの人物が現れ、フードを外す。イザウはさらに驚いた。


 「お前……あの武器商人!?」


 それは、ヴェクタ教の拠点を探していた時に出会った男だった。


 「サヤミ(Sayami)、全員の救出は完了したか?」


 「うん、全員無事」


 「よし。攻撃班に合図を出して、殲滅に入る」


 「……気をつけて、ユスフ(Yusyuf)」


 男――ユスフは頷き、その場を離れていった。


 「えっと……一つ聞いてもいいか?」


 イザウが手を挙げる。


 「今この状況で?」


 「難しい質問じゃない」


 「はぁ……何?」


 「君たちは何者で、どうして俺たちを助けた?」


 「私たちは反悪魔組織よ。私はサヤミ。さっきの彼はユスフ、私がスパイ任務を与えていたの。あなたたちを追跡していたのも彼よ」


 「じゃあ、あの時つけてきてたのは君たちか……気づいてはいたけど、ヴァークを感じなかったから無視した」


 「当然よ。私たち“地球人”はヴァークを持たないから」


 「地球人……初めて会った。噂通り、すごい発明をする種族なんだな」


 ソラが興味深そうに呟く。


 その時、白ローブの者たちが続々と内部に入り、悪魔へ銃を向けて発砲した。


 「なんだあの武器……滑稽だな」


 サイリンは嘲笑し、虚無の雷撃で彼らを吹き飛ばす。


 「くっ……銃じゃかすり傷程度か……」


 「銃? それ何?」


 イノリアが首を傾げる。


 「地球の武器よ。弾丸を飛ばすの」


 「へぇ……すごそうだけど、威力は微妙だね」


 その後、ユスフが戻り、攻撃隊が壊滅したことを報告する。


 「武器商人、助けてくれて感謝する。でもあの悪魔たちはその武器じゃ倒せない。次は俺の番だ」


 「武器商人って呼ぶな……俺にはユスフって名前がある」


 「はは、最初はもっと怪しい奴かと思ってたけどな」


 「どういう意味だそれ……」


 「イザウ、無駄話は後。サイリンはあなたが倒して。私とソラで他を抑える」


 「了解!」


 「私たちも援護する。囮くらいにはなるはず」


 「イザウ……」


 「トロマン爺さん、どうした?」


 「……耳を貸せ……」


 かすれる声で、トロマンは戦術を語る。


 「サイリンは目がない。ヴァークで敵を感じている……ならば、お前のヴァークを消せ。そして至近距離で一気に解放するんじゃ」


 「なるほど……ありがとう爺さん」


 イザウは頷き、サイリンへと向かった。


 その間、ソラとイノリアはスケクメス、サメス、クリナクスと対峙する。


 ――激戦が始まった。


 イザウは助言通りヴァークを抑え、至近距離で解放する戦法をとる。サイリンはそれに対応できず、連続して攻撃を受けた。


 一方、ソラたちは苦戦していた。


 クリナクスは霧のようなヴァークを操り、実体が掴めない。


 「攻撃が当たらない……!」


 「霧のヴァーク……火と水の融合か」


 視界は遮られ、攻撃はすり抜ける。だが敵の攻撃は確実に当たる。


 「……動きが円を描いてる?」


 氷壁に刻まれた傷から、イノリアは気づく。


 「ソラ、周囲を高速で回れる?」


 「任せて!」


 ソラが高速移動で追跡し、本体を発見。


 「イノリア! 本体はこっち!」


 雷撃と氷の連携――ついにクリナクスを拘束する。


 サヤミとユスフが目を撃ち抜き、ソラの雷撃が頭部を粉砕した。


 再生するも、心臓――紫の結晶を破壊され、クリナクスは塵となって消えた。


 「やった……!」


 「これが悪魔の核……」


 その頃、イザウは追い詰められていた。


 サイリンの猛攻に倒れ伏す。


 とどめの一撃――その瞬間。


 巨大な樹の怪物が立ちはだかる。


 「……爺さん!?」


 「助けに来たぞ、イザウ」


 トロマンは樹の巨人へと変貌していた。


 「武器の場所がわかった!」


 「行け。時間は稼ぐ」


 イザウは投げ上げられ、時計塔へ。


 内部で巨大な振り子を発見する。


 ――それは双刃の斧だった。


 鎖と共に腕に巻き付き、ヴァークと同調する。


 「これが……伝説の武器……!」


 再び戦場へ。


 斧を操り、サイリンを圧倒する。


 「心臓を狙え!」


 イノリアの声。


 胸を裂き、核が露出する。


 「これで終わりだ――!」


 しかしその瞬間、スケクメスが攻撃を弾く。


 サメスも現れ、サイリンを回収。


 「残念だったな、小僧」


 「また遊ぼう」


 彼らは闇へと消えた。


サメスとスケクメスはサイリンを連れてその場を離れた。イザウは追いかけようとするが、トロマンがそれを制した。


 「追うな、イザウ。今のお前では奴らには勝てん……次の機会を待つのじゃ」


 「くそ……あと少しだったのに……最初の一撃が甘かった……」


 ――戦いは終わった。


 ホトヤの街での大戦から二日が経過した。イザウたちは治療を受け、戦いで負った傷も徐々に癒えつつあった。


 イザウはイノリア、ソラと共に、残された伝説の武器を探す旅を続ける決意を固める。一方で、トロマンとルシは同行しないことになった。体の状態もあるが、トロマンはホトヤの孤児院を引き継ぐことになったからだ。そこにいた子供たちは、かつて宗教儀式の生贄として扱われていたのだった。


 トロマンはまた、街に蔓延していた信仰を正し、住民たちをヴェクタ教から解放した。そして人々と共に、戦いで破壊された街の復興に取り組み始めていた。


 ルシはこれからもトロマンと共に生きていく。彼女はすでに、自分の父がホトヤの元指導者であり、トロマンがその護衛だったことを知っていた。悪魔の襲撃の際、彼女はトロマンに託されていたのだ。


 両親を失った今でも、ルシにとってトロマンは本当の家族だった。


 「じゃあ、爺さん……そろそろ行くよ。俺たちは残りの伝説の武器を集めて、悪魔を倒して、ソラの父親を救って……元の次元へ帰る方法も見つける。それに――アトロクスが次元の牢獄から出てくるのも止める」


 「世話になったな、爺さん。本当にありがとう」


 「ルシも元気でな。また必ず会おう」


 「うん……!」


 ルシはソラとイノリアにぎゅっと抱きついた。


 サヤミとユスフたちも別れの挨拶を交わし、地球人の集落へと帰る準備をしていた。


 「なあサヤミ……地球人の集落ってどこにあるんだ?」


 「ここから三日くらいの距離よ。あなたたちはこれからどこへ行くの?」


 「サリヴの街(Saliv city)に向かう」ソラが答える。


 「それなら、私たちの集落にも寄っていかない? ちょうど同じ方向だし」


 「いいのか? それはありがたいな。噂に聞く“創造者たちの村”……楽しみだ」


 「そんな大した場所じゃないわよ。ただの集落(Earthling settlement)よ」


 「えっ……何もないのか……? ところで“工場”ってなんだ?」


 「もう、イザウは本当に質問が多いんだから!」


 ゴンッ、とイノリアの拳がイザウの頭に落ちた。


 そんなやり取りを交わしながら、一行は地球人の集落へと向けて歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ