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ドリル魔法使い転生 【土魔法しかない世界に“ドリル使い”とかいう環境破壊能力者が現れて界隈がざわついてる】  作者: 一終一(にのまえしゅういち)
第1部 人食いドリル編

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第4話 賞金首と魔法兵団1・まだセーフ

 ぐったりしている賞金首を引きずりながら(みやこ)に帰ってきた。


「ファファファ」


 紳士的な笑いを浮かべながら歩いていると、街の者達が俺を見てくる。


「なんだあの独特な鎧は」

「矢が刺さっているだけなんじゃ?」


 そんなわけないだろ。


「もしかしてイキリドリル野郎じゃないか?」

「まさか。やつはあんな普通の歩き方はしない。もっと肩を(いか)らせて歩くはずだ」


 そんなヤンキーみたいな歩き方しねぇよ。


 様々な憶測(おくそく)が飛び()っているが、まだ子供を食べたという話は出てこない。


 貴族のお坊ちゃん達がウワサを広めなかったのか?


 人の心があったのか、もしくは広めたら自分達の命が狙われると思ったのか。何にせよ助かった。まだイメージ回復できそうだ。


 そうこうしていると衛兵詰所(つめしょ)に着いた。


 中に入り、賞金首をどさりと(ゆか)に投げる。


「お届け物ですぞ」


 雑に言うと衛兵の一人が(まゆ)をひそめた。まるで(くさ)りかけの肉でも見たような顔だ。失礼な態度だな。こっちは新鮮な肉を持ってきてやったのに。


「あんたは……まさかイキリドリル野郎か!?」


 近くにいた他の衛兵が気づいた。


「それともう一人は……賞金首のイキリゴールド野郎だ!」


 この賞金首にも変なあだ名ついてんのかよ。


「この賞金首をどうやって捕まえた?」


「ちょちょいと(けず)ったら大人しくなりましたぞい」


 衛兵は顔を見合わせる。全員、ドン引きした表情を浮かべていた。


「そ、そうか……」


「それで賞金をいただきたいのですがどうすればよろしいのですかな?」


「う、うーむ、土魔法使いを拘束(こうそく)するのは難しい。下手に(あず)かって暴れられたら手に負えん。魔法兵団に引き渡せ。あそこなら対処できる。賞金のこともそこで相談してくれ」


 なるほど。扱いに困るゴミは専門業者へ持っていけってことか。


 俺は軽く肩をすくめ、再び賞金首を引きずる。なんだかペットの散歩みたいで楽しくなってきた。


 少し歩いて魔法兵団の詰所(つめしょ)に到着。そこは無駄に重厚(じゅうこう)威圧的(いあつてき)な場所だった。


 中に入ると、数人の兵士がこちらを見る。


「うお、イキリドリル野郎か!?」


 開口一番それか。ノンデリすぎんだろ。


「違いますよ、ドリル紳士です」


「そんな(とが)った紳士がどこにいるんだよ」


 正論いうなよ。いや、居てもいいだろ。


 俺はため息をつきつつ、賞金首を前に放り出した。


「はい、お土産(みやげ)ですぞ」


 その瞬間、床に転がった賞金首が顔を上げた。


「気をつけろ! このイキリドリル野郎は人を殺してるぞ! オレも殺されかけたんだ! 信じてくれ!」


「何言ってんだコイツ」


 俺は思わず()で返した。


 ざわつく兵士達。疑いの視線が向けられる。見た目的に俺の方が悪党だもんな。


 ちょっとまずいか、と思い出したその時。


「落ち着けお前達。その賞金首のことは()に受けるな」


 低く、よく通る声。振り向くと、そこにはライオンみたいな男が立っていた。顔つきも雰囲気も獅子(しし)っぽい。年齢は四十代くらいに見える。


「団長! お疲れ様です!」


 この魔法兵団の団長か。助かった。話が通じる人間がいるらしい。この組織、腐ってなかったんだな。


「ドリルマンといったか? コイツを捕まえてくれて感謝する」


「ファファファ、どうもどうも。褒められると伸びるタイプなんでもっと言っていいですよ」


 軽口を叩きながらも内心では少し安心していた。


 団長は俺を値踏(ねぶ)みしながら話を続ける。


「腕に覚えがあるらしいな。どうだ、私と手合わせしてみないか?」


 また戦闘か。うーん。


 感謝の次に殴り合いを提案してくるあたり、この人の思考回路はだいぶ野生寄りだな。まさにライオンだ。


「団長は“霊峰級(れいほうきゅう)”だからやめといた方が身のためだぜぇ?」


 モブ兵士がニヤニヤしながら発した。


 霊峰級。土魔法使いの階級の上から三番目。つまりレベル4。才能だけでなく努力も必要になるクラスだ。


「ほう……霊峰級ですか」


 俺は少しだけ考える。ここで実力を見せておけば何かしらの仕事に繋がるかな。そうでなくとも多少のコネはできるだろう。あとは霊峰級に対してドリル魔法がどれくらい通用するのか気になる。今のところドリルの限界が分からないから知っておくのは大事だ。


「……やりますか」


「そうこなくてはな。外に訓練場がある。そこでやろう」


 俺は鍛え上げられた団長の背中を追って外へ出た。

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