猫一匹殺したことないくせに
猫を殺したことがあるやつが、このクラスに何人いるか。所詮いないだろう。その程度のやつらだ。言葉を交わす必要性すら感じない。
こんなことを考えていたせいで、むらむらと欲が高まってきた。
放課後の音とともに教室を飛び出す。
学校から離れたコンビニで猫缶を買う。その足で電車に乗り込み、まったく知らない駅で降りた。
猫缶の空きが転がる空き地があった。その場で缶を開け、近くでじっと待つ。
来た来た。カワイイやつだ。薄汚れ、雑巾みたいな毛並みの猫だ。躊躇なく近寄ってきた所から判断するに、餌をもらいなれているようだ。
がつがつと缶をひっくり返す勢いで食べ進める猫。あぁ、なんてカワイくて浅ましいやつなんだ。
革の手袋をはめ、がっと猫の首をつかむ。
カッ。短い叫びをあげる猫に体重をかけ、押さえ込む。
カワイイ、カワイイ。ホントウにカワイイ。ばたつく足が、口か出る泡が、見開いた目が、すべてがカワイイ。
ポケットからカッターを取り出す。100均で買ったやつだ。色々試したが、刃先を自由に伸縮させられる、カッターがベストだ。
カワイイ。
自宅に戻り、ベッド脇に腰を下ろす。猫との戯れは、いつも自慰に似た快感をくれる。
目を閉じ回想にふける。
とんとん。不意に肩を叩かれた。
ぱっと目を開ける。そこには白いワンピースを来た少女がひとり。好物を前にしたような、きらきらした眼をしている。
「お前、誰っ----」
頬を問答無用で張られる。首が90度回る。間髪いれず、脇腹に熱棒をねじ込まれたような痛みが走る。思わず視線を向けると、銀色の流線型をしたナニかが刺さっていた。
「ままー、ありがとう」
少女は僕の頬を挟むように、その白い手を添えてきた。
「こんどのおもちゃは、だいじにつかうねー」
天井から、床から、僕の脇腹に刺さっているナニかがニョキニョキと生えてきた。
「かんたんに、こわれないでね?」




