表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/143

兄の優しさに触れ、僕は生きる

 兄弟は仲がよかったわけではない。ただ親に捨てられ、互いの他に頼るもののないふたりにとって、寄り添いって生きる以外の選択肢はなかった。

誤解ないように補足すると兄は弟を最大限守ろうとしたし、実際に守った。着るものも食べ物も、全てを弟に優先させた。

 ある冬のことだった。いよいよ食べ物は底をつき、弟はうつろな目で降り注ぐ雪を眺めていた。空腹に、かすむ視界。夢と現の狭間で、弟は兄が部屋を出ていくのを見ていた。止めはしなかった。そんな力もなかった。

 

 数年後、ようやく訪れた平和に町は沸いた。その頃には弟はひとりで生きられるようになっていた。逞しく成長し、もはや雛鳥のように兄の羽の下の庇護を必要とはしなくなっていた。

 

 あの冬の日、兄は弟のもとに肉を持ってきた。

黙ってそれを弟の前においた。

 弟は肉を食べた。そうするしかなかった。例え、それが肉ではなく、毒であっても食べたろう。

 兄はそのさまをじっっと見ていた。しかし、終に肉に手を出すことはなかった。


 人喰い。

 今、弟はそう呼ばれている。弟自身、真偽は知らない。知るのは神と兄だけだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ