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花を育てる彼女についてのetc...

 妹は、おかしい。

 

 春一番、とあるよく晴れた日。

普段なら兄である僕のことなど毛虫以下と認識しているであろう妹が、満面の笑みで僕の手をひく。

「花が咲いたよ!みて!」

 ヤクでもやってるみたいにハイ・テンションな妹。手を叩き、とびあがって喜ぶ。

 僕は曖昧に口のはしをあげ、嬉しそうなふりをする。

 ふり、だ。

 なぜ?

 わかっているからだ。


 スマホで写真を撮り、妹は満足したのだろう、僕を置いて家に戻っていった。

 残された花は、静かに、悲しげに風に揺れる。

 

 これよりあと、妹はその花に一切の興味を示さなくなった。

 花というもの自体に興味をなくしたわけではない。

 今日も今日とて、新しい花の種を手に入れ、上機嫌だ。

 妹の興味のメーターは、花が咲いたその瞬間から、90度の角度て急降下する。咲き誇った花を見て、僅かな時のみ狂喜し、あとは真冬のように冷めきった態度をとる。

 数日前に咲いた花は、すでに枯れて見る影もない。


 妹は、死んだ。

 彼氏との初めてのお泊まりデートにて、遠方の旅館に向かう途中で、死んだ。

 事故だ。

 山奥の道で、ハンドルを握る彼氏が運転を誤ったのだと、警察は言った。

 葬式は僕の家で行われた。

 すすり泣く妹の友人たちを横目に、僕は庭の縁側に腰を下ろした。

 ずらりと並べられたプランター。そして、枯れた花、花、花、花…。咲いたのち、一切の世話をされず、死んでしまった花。

 妹は、どうだったのだろう。

 彼女は、咲けたのだろうか?最良の時を、迎える前に死んでしまった妹。

 

 庭にて、まるで死者の腕のようにだらん、と垂れる枯れた花。

 僕は、腰をあげた。

 花は、枯れてしまった花は、処分しよう。

「いっそ燃やすか」

 そんことを呟いた。

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