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ドラゴン ノ タマゴ ヲ テニイレタ

 僕はドラゴンの卵を手に入れた。大きさはにわとりの卵と同じで、色は灰色。ちなみに値段は300円だった。

 公園の隅っこ。歯の抜けたおじさんはにやにやと笑いながら得意気に語った。

曰く、これは由緒あるドラゴンの卵。曰く、各国の偉いヒトが狙っている。曰く、おじさんはどらごんはんたーでなんとかドラゴンの巣から取ってきた。曰く、きみはゆうしゃの素質があるから特別に売るのだ。

 僕は賢くない子だった。

 一にも二にもなく買った。

 卵を孵すには温めなくては。僕は卵を鍋にいれ、火にかけた。そうすれば立派なドラゴンが産まれると思ったのだ。

 そのとき、僕は見つけた。お母さんがお昼に食べてね、と置いていったサラダの上に乗っている茹で玉子を。

 思い出した。

お母さんはいま僕がやっているのとまったく同じことを朝やっていたことを。

 鍋を見る。ドラゴンの卵はぐつぐつと茹でられ、湯は薄い灰色に染まっていた。箸でつつくと、卵は白くなっていた。

 慌てて水にさらす。しかし、もう手遅れだ。

 さすがに僕は気づいていた。これはドラゴンの卵などではない。

 鍋の中にあるのは、ただの茹で玉子だ。














 遥か下には燃える町。そして蟻のように蠢くゴブリンたち。

「いこう」

灰色のうろこをそっと撫でる。精霊王の形見である剣を引き抜き、きつく柄を握りこむ。

 ギャオ。相棒は一鳴きすると、矢のように一気に下降する。そしてそのまま敵陣へ突っ込む。

 世界を救う道はまだ遠い。












 

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