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年齢、売りませんか
悶々と天井を睨み付ける。もう、何時間も寝転がっている。することは山ほどあるのに何もする気にならない。
パチっと。まばたきした瞬間、自室とは異なる場所に移っていた。
まるでゲルニカの世界に飛び込んでしまったかのようなカオスな空間。その中央に、スーツ姿の男が。手には一枚のプラカード。
そこにはこんな文言が。
「年齢、売りませんか?1年、10万円」
そう記載されている。
「どうする?」
妙に甲高く、黒板を引っ掻くような声。
大学一回の春、初めての彼女ができた。なんとか繋ぎ止めようと、プレゼント攻撃を続けているが、弾切れぎみだ。
「あなたの寿命は、80以上だよ」
これが止めの一言だった。
状況はよく飲み込めないが、だらだらと生き続けたとしてもロクなことにはならないだろう。どうせ死ぬなら元気なうちに死にたい。
「じゃあ、10年、売るよ」
男がくるりとプラカードを裏返した。そこには、
「まいどありー」の文字。
なんか気が抜けるな。
男の言葉通り、僕は80歳を迎えた今も生き長らえている。
青春の10年間と引き換えに、僕は100万円を手にいれた。僕が、18歳から28歳までの記憶がないのは、決して呆けたからではない。




