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平和の絵画
展覧会のテーマは「平和」。男は、とある有名な画家に作品を依頼した。
穏和な表情の画家は快諾した。
数ヵ月後、男は画家から絵が完成したとの報告を受けた。
大人二人が手を広げた程の大きさの絵。大作だ。
幕が落とされた瞬間、男は目を剥いた。
「なんだこれはっ!?先生!どうなっているんですか?!」
男は絶叫した。
そこには、額縁一杯に描かれた生々しい戦争の様子が描かれていた。
血走った目で敵兵を撃ち、銃剣で民間人を突き刺す。戦車が家を踏み潰し、戦闘機は無差別に爆弾を落とす。
そんな風景が目一杯、これでもかと書きなぐられているのだ。
男が絶叫するのも無理はない。
しかし、画家は穏和な表情を崩さない。すたすたと近づき、絵の真ん中をそっと人差し指で指し示した。
「これが平和だ」
そこには、指の幅ほどの白い線が、絵を両断するように走っていた。
その絵は今も美術館に展示されているという。




