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愛と棺桶
愛ゆえだ。
若くして死んでしまった彼女の葬式は、特別仲のよかった者と親族だけで執り行われた。
わたしは彼女の白く透けるような肌にそっと触れた。そのときの現実味のない冷たさに思わず、手を引いてしまった。
愛が、ない。いまのわたしの行為は、愛がなかった。
ごめん。ごめんね。
深夜、ひとり彼女の棺桶の前に座る。
これから行うことは、愛、ゆえだ。
わたしは彼女の腹を割き、その中に手をいれた。肌の色と対照的な赤。どろりとした赤。わたしの頭を深く、ふかーく入れ込んでいく。はじめは生暖かさと、腐臭に顔をあげそうになった。愛、が大切だ。愛を思うのだ。
彼女のなかに入り、彼女はわたしとなり、わたしは彼女になった。腹の内側からソーイングセットでそっと閉じる。
これは、愛、ゆえだ。




