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3. グレイ子爵の館

 ダドリー男爵の館から3方向に手紙が送られた。翌日にはモーランド伯爵家の一回り大きな馬車と護衛達、そして私の商会のハーベスト商会の馬車がやって来た。


 そして翌朝、検問所が開く時間に検問所を通過して実家であるグレイ子爵の館に進む。


「私がモーランド伯爵の嫡男、ジェイムズの妻のキャロラインです。お見知り置きを」

「次期伯爵夫人をお迎え出来て光栄です」


 私が嫁に出る前より調達品が減っている気がする客間に通された。両親と私達二人が着席するや、キャロラインが口を開いた。

「さて、取り急ぎお聞きしたい事は、領地での商品流通に関わる事です。こちらの調査では、エミリーの商会が卸した商品が領地内で販売されていないと判明しました。何故販売されていないのかお聞きしたいのです」

父は顔を顰めながら言った。

「卸値が高く、売価が高くて売れません。だから倉庫に積んであります」

「おかしいですね。我が領地では王都より安く売れる卸値で購入しております。帳簿をお見せいただきますか」


 子爵は侍従に取りに行かせる。

「念のため、実際の受け取りをした者と、領地の出納担当も立ち会わせてください」

父は訝しんだが、伯爵家の人間を粗雑に扱えないから言う事を聞いた。


 まず、最新の領収書を突き合わせて見た。子爵側の帳簿に貼られた領収書は商会側の帳簿に貼られた領収書の倍近い額が書かれていた。

「どういう事でしょうか?子爵閣下?」

「どういう事か、ネイサン?」


 弟のネイサンは激高して答えた。

「そんなの!商会側が嘘を言っているに決まってるだろう!?何で俺を疑うんだよ!」

キャロラインは冷たく言った。

「では、1年前の帳簿を見てみましょうか」

1年前の帳簿に貼られた領収書は、商会側の帳簿に張られた領収書より、商会側のサインが下手糞だった。


「出納係、どういう事か?」

父の質問に出納係は怯えながら答えた。

「失礼ながら、私は若様から渡された領収書に基づいて出納処理をしているだけです」

「ネイサン、領収書は誰がすり替えた?」

「受け取っているのは侍従だ!あいつが悪いんだ!呼んで来る!」

部屋を出ようとするネイサンを、キャロラインの護衛が腕を掴んで止めた。

「何をする!失礼だぞ!」

キャロラインは冷たい視線を父に向けた。

「子爵閣下」

「ネイサンは動くな。以後、関係者が逃げ出した場合はその者、あるいは連絡係を処罰する」


 連れられてきた侍従は俯きながら報告した。

「恐れながら、若様の指示の為、拒否出来ず続けておりました」

「嘘だ!俺はそんな指示をしていない!」

キャロラインは容赦が無かった。

「それで、領収書に従って出納係が出したお金を受け取ったのは誰なのです?」

全員が出納係を見た。

「先ほども申した通り、領収書は若様がお持ちになられ、お金を受け取っております」


「違う!侍従と出納係が二人で不正をしているんだ!」

キャロラインは低音でゆっくりと尋ねた。

「領地の商店では、エミリーが地位を笠に着て暴利をむさぼっていると噂になっている様ですよ。子爵家のどなたがそんな話を広めているのですか?」

全員がネイサンを見た。

「違う!侍従と出納係がそんな嘘を広めているんだ!」


 父はネイサンに告げた。

「お前が、『姉さんが高く商品を売っているんだ』と何度も言っていたじゃないか……」

「ち、違う!侍従達にそう言われたから、そう思っていただけだ」


 キャロラインは別方向に話を変えた

「子爵の元には、外部の製品の価格について市民から申し入れは無かったのですか?」

「もっと安いものを仕入れてくれと要求はありました」

「価格調査と領収書の確認はしなかったのですか?」

「いや、商品の受け入れは息子に任せていたので……」

「だから俺が全部悪いのかよ!いい加減にしろ!」


 キャロラインはネイサンを見つめながら言った。

「じゃあ、お姉さんが全部悪いと言うの?」

「そうだよ!姉さんが適当な仕事をするから悪いんだ!」

キャロラインは目を細めて言った。

「最初は商会が嘘の領収書を書いていると言ったわね?次は侍従と出納係が悪いと言った。でも、父親に対してはずっと姉が悪いと言っていたのよね?言う事がころころ変わるのは、嘘を吐いている人の特徴よね?」

「違う!俺が悪いんじゃないのに俺のせいにするから、必死に言い返しているだけだ!」

「でも、姉が悪いとずっと思っているのよね?証拠は何?」

「だから、領収書が高かったから!」


「領収書は、支払い側と受け取り側が同じ書類を確認するわね?誰が確認していたの?」

「侍従だ!」

全員が侍従を見た。

「若様です」

「違う!そいつは嘘を言っている!」

そこでキャロラインは帳簿を持って来た商会の人間に尋ねた。

「いつも領収書を確認している子爵家の人間は誰か分かる?」

「二回に一回は私もこちらに納品に来ますから分かります。いつもご子息でした」

「嘘を吐くな!」


 キャロラインは溜息を吐いた。

「本件、噂が漏れて娘さんは離縁されたと思います。商会にはデイビー伯爵家も出資していたのに、慰謝料として全て娘さんに渡したのは、処分に巻き込まれたくなかったのでしょう」

「処分ってどういう事です?」

父は鈍かった。

「つまり、これは帳簿を操作した脱税です。財務省が動く前に、修正を申し入れる必要があります。追徴課税が10倍以上になりますから、財務省の強制捜査が入った後なら」

父は真っ青になった。

「分かりました。至急、王都の財務省の担当者に手紙を出します」

「帳簿の修正が必要です。息子さんはしばらく謹慎させて、第三者に調査をさせる必用があります」

こうして翌日に再度調査をする事になり、子爵子息、つまり私の弟のネイサンは謹慎となった。


 私達は子爵の館の客間に泊る事になった。

 帳簿が出てくるとAI作文と疑われますが……

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