↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《凶宴-CARD》  作者: shogo5


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
20/118

『二枚目の裏側』【3】

No.2「世界中に、種を蒔いてる」


シオン「……種?」


No.2「ああ」


シオン「どういう意味だ」


No.2「そのままの意味だ」



No.2は、


荒れ果てた大地へ目を向ける。



No.2「国を一つ滅ぼす」


シオン「…………」


No.2「そこで大切なものを失った奴が――」


No.2「俺たちを憎むかもしれない」


シオン「…………」


No.2「戦争を一つ起こす」


No.2「追い詰められた人間の中から――」


No.2「英雄が生まれるかもしれない」


シオン「…………」


No.2「逆もある」


シオン「……逆?」


No.2「ああ」



No.2は、


淡々と続ける。



No.2「疫病で滅びかけた国を――」


No.2「俺たちが救ったこともある」


シオン「……!」


No.2「薬を与え」


No.2「病人を救い」


No.2「国一つを、死の淵から引き戻した」


シオン「…………」


No.2「そうすれば――」


No.2「俺たちを神と崇める奴が現れるかもしれない」


シオン「……神?」


No.2「ああ」


No.2「そいつらが凶宴の名を広める」


No.2「やがて信じる者が増え――」


No.2「一つの思想になるかもしれない」


No.2「国を動かすほどの力になるかもしれない」


シオン「…………」


No.2「滅ぼすのも」


No.2「救うのも――」



静かな目が、


シオンへ戻る。



No.2「俺たちにとっては同じだ」


シオン「……同じ?」


No.2「ああ」


No.2「一つ、世界に何かを落とす」


No.2「それで誰かが変わる」


No.2「変わったそいつが――」


No.2「また、別の何かを変える」


シオン「…………」


No.2「その先で何が起こるのか」


No.2「俺たちにも分からない」


シオン「…………」


No.2「だから――」


No.2「面白い」


シオン「…………ッ」



No.2の声には、


悪意すらなかった。



まるで――


本当に、


遊びの話でもしているかのように。



No.2「退屈なんだよ」


シオン「……何?」


No.2「何も起こらない」


No.2「昨日と同じ今日が来て」


No.2「今日と同じ明日が来る」


No.2「そんな世界は――」


No.2「つまらない」


シオン「…………」


No.2「だから種を蒔く」


No.2「善でも」


No.2「悪でも」


No.2「何でもいい」


No.2「何かが起これば――」


No.2「それでいい」


シオン「…………」



シオンの拳が、


強く握られる。



シオン「……それだけか」


No.2「?」


シオン「そんな理由で――」


シオン「世界中で、あんなことをしてるのか」


No.2「ああ」


シオン「…………ッ」


No.2「そして――」



No.2は、


改めてシオンを見る。



頭から、


足元まで。



まるで――


何かを確かめるように。



No.2「まさか――」



僅かに、


口元が緩む。



No.2「本当に芽を出す奴が現れるとはな」


シオン「…………!」


No.2「アルヴェリアを滅ぼした」


No.2「お前は生き残った」


No.2「そして俺たちを追い――」


No.2「ここまで来た」


シオン「…………」


No.2「お前も――」



No.2は、


静かに言い放つ。



No.2「俺たちが蒔いた種から生まれたものの一つだ」


シオン「…………ッ!!」



燃える街。



泣き叫ぶ人々。



崩れ落ちる王城。



父の亡骸。



そのすべてを――



“種”。



その一言で、


片付けられた。



シオン「…………ふざけるな」


No.2「…………」


シオン「俺の国も……」


シオン「そこで生きてた人たちも……」


シオン「お前らの退屈を紛らわせるための――」


シオン「遊び道具じゃない!!」


No.2「…………」


シオン「俺が――」


シオン「お前らの蒔いた種から生まれたって?」


No.2「ああ」


シオン「…………」



ガチャ――



シオンの親指が、


剣の鍔を押し上げる。



No.2「…………」



ゆっくりと――


剣を抜く。



シオン「だったら……」


シオン「その芽が――」


No.2「…………」



切っ先が、


真っ直ぐNo.2へ向けられる。



シオン「お前らの遊びを終わらせる」


No.2「…………」



風が吹く。



No.2の髪が、


静かに揺れる。



そして――



No.2「……いいな」


シオン「……?」


No.2「それでいい」



No.2もまた、


ゆっくりと剣へ手を伸ばす。



No.2「種を蒔いた」


No.2「芽が出た」


No.2「その芽が――」


No.2「今度は俺たちを終わらせに来た」


シオン「…………」


No.2「その先で何が起こるのか――」



スラァ――



静かに、


剣が抜かれる。



No.2「見てみたい」


シオン「…………ッ」



二人が、


剣を構える。



荒れ果てた大地。



観客はいない。



歓声もない。



ただ――



凶宴が蒔いた種と、


その種を蒔いた者。



二人だけが、


向かい合う。



No.2「来い」


シオン「――行くぞ」



ドンッ!!



シオンが、


地面を蹴った。



二枚目――



No.2。



その“裏側”を、


シオンはまだ知らない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。