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《凶宴-CARD》  作者: shogo5


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『二枚目の裏側』【2】

シオン「そいつは――」


シオン「どっちへ行った?」


男「……あっちだ」



男が、


廃村の外を指差す。



男「何も言わずに……」


男「一人で歩いていった」


シオン「…………」



シオンは、


その方角へ目を向ける。



どこまでも続く、


荒れ果てた大地。



シオン「……分かった」



剣を握り直し――


歩き出す。





――――――――――





乾いた風が、


荒野を吹き抜ける。



シオン「…………」



足跡は、


ところどころ砂に消されている。



それでも――


進む方向は分かる。



そして、


しばらく歩いた頃。



シオン「…………!」



遠くに――


人影。



荒野に突き出した、


大きな岩。



その麓に、


一人の男が座っている。



シオン「…………」



ゆっくりと、


距離を詰める。



男は――


動かない。



こちらに気づいていないのか。



いや。



シオン「…………」



違う。



気づいている。



それでも、


こちらを見ようともしない。



男は、


静かに水を口へ運ぶ。



シオン「…………」



さらに近づく。



そして――



見えた。



男の頬。



そこに刻まれた――



“2”。



シオン「…………!」



間違いない。



シオンの手が、


剣の柄へ伸びる。



その瞬間――



No.2「……何だ」



シオン「……!」



No.2は、


振り返らない。



No.2「さっきから――」


No.2「殺気がうるさい」



シオン「…………」



静かな声。



怒気もない。



威圧感すら、


ほとんど感じない。



シオン「お前が……No.2か」


No.2「…………」



水筒の蓋を閉める。



No.2「そう呼ばれてる」


シオン「…………」



ゆっくりと――


No.2が立ち上がる。



そして、


初めてシオンを見る。



シオン「…………」



静かな目。



廃村の男が言っていた通りだった。



あの惨状を作った人間とは、


とても思えない。



シオン「……さっきの廃村」


No.2「…………」


シオン「あそこにいた盗賊は――」


シオン「お前がやったのか」


No.2「ああ」


シオン「十数人いた」


No.2「ああ」


シオン「……全員殺したのか」


No.2「ああ」



淡々と――


答える。



まるで、


大したことではないかのように。



シオン「…………」


シオン「なぜ殺した」


No.2「邪魔だった」


シオン「……何?」


No.2「あいつらは――」


No.2「この土地で好き勝手やってた」


シオン「…………」


No.2「人を攫って」


No.2「奪って」


No.2「殺して」


No.2「ここを自分たちの場所みたいに使ってた」


シオン「…………」


No.2「だから斬った」


シオン「…………」



シオンは、


No.2を見つめる。



シオン「……人質を助けるためか?」


No.2「違う」


シオン「……?」


No.2「盗賊を斬ったのは――」


No.2「邪魔だったからだ」


シオン「…………」


No.2「捕まってた奴らは」


No.2「俺には関係ない」


シオン「だったら、なぜ縄を切った」


No.2「…………」



No.2は、


僅かに首を傾ける。



No.2「殺す理由がなかった」


シオン「…………」


No.2「それだけだ」


シオン「…………」



盗賊は殺した。



だが――


捕らわれていた人々には、


傷一つつけなかった。



善人だから、


助けたわけではない。



悪人だから、


殺したわけでもない。



ただ――



自分の中にある何かだけで、


行動している。



シオン「…………」



やはり――


妙な男だ。



シオン「……お前」


No.2「?」


シオン「凶宴の一員なんだな」


No.2「ああ」



否定する様子すらない。



シオン「…………」


No.2「それがどうした」


シオン「俺は――」



シオンの目が、


鋭くなる。



シオン「凶宴を追ってる」


No.2「…………」



初めて――



No.2の表情が、


僅かに変わった。



シオン「お前たちを――」


シオン「一人ずつ追ってる」


No.2「…………」


シオン「そして――」


シオン「凶宴を終わらせる!」


No.2「…………」



沈黙。



風が、


二人の間を吹き抜ける。



だが――



No.2は、


剣に手を伸ばさない。



怒りもしない。



ただ――


少しだけ興味深そうに、


シオンを見ている。



No.2「……そうか」


シオン「…………」


No.2「面白いことをする奴もいるんだな」


シオン「……遊びじゃない」


No.2「…………」


シオン「俺には――」


シオン「お前たちを追う理由がある」


No.2「理由?」


シオン「ああ」



一瞬――



シオンの脳裏に、


炎が蘇る。



燃え上がる街。



崩れ落ちる王城。



倒れていく人々。



そして――



父。



シオン「……アルヴェリア」


No.2「…………」


シオン「覚えてるか」


No.2「…………」



僅かな沈黙。



そして――



No.2「ああ」


シオン「…………!」


No.2「覚えてる」



シオンの手が、


強く握られる。



シオン「だったら――」


シオン「聞かせてもらう」



No.2「…………」



シオンは、


真っ直ぐNo.2を見据える。



シオン「お前たちは――」



風が止む。



シオン「何のために――」


シオン「世界中で、あんなことを繰り返してる」



No.2「…………」



しばらくの沈黙。



やがて――



No.2が、


静かに口を開いた。



No.2「……種だ」


シオン「…………?」


No.2「俺たちは――」



静かな目が、


シオンを捉える。



No.2「世界中に、種を蒔いてる」



シオン「……種?」



No.2「ああ」



乾いた風が――


再び、


二人の間を吹き抜けた。

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