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《凶宴-CARD》  作者: shogo5


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『喝采の十枚目』【4】



No.10「ショーの始まりだ」


 水槽へ――


 水が流れ続ける。


シオン「…………!」


 セイとヴァンの足元。


 既に――

 水が溜まり始めていた。


シオン「ゲームって――」

シオン「何をすればいい」


No.10「そう急がなくても――」


シオン「急ぐだろ!」


No.10「…………」


 No.10は――

 愉しげに笑う。


No.10「いいね」


No.10「では――」

No.10「説明しよう」


 右手を上げる。


 その指の間には――


 一枚のカード。


シオン「…………?」


 描かれているのは――


 道化師。


 そして――


 その下に記された文字。


 《JOKER》。


シオン「ジョーカー……?」


No.10「ああ」


 No.10が――

 カードを指先で回す。


No.10「この一枚を――」

No.10「覚えておいてくれ」


 そして――


 指先で弾く。



 パッ――!



 その瞬間。


 舞台上へ――


 大量のカードが

 舞い上がった。


シオン「!」


 赤。


 黒。


 数字。


 絵札。


 無数のカードが――

 舞台を埋め尽くす。


 その中へ――


 《JOKER》も

 紛れ込んでいく。


No.10「この中から――」


 No.10が

 愉しげに笑う。


No.10「今見せた《JOKER》を」

No.10「見つけ出す」


No.10「それだけだよ」


シオン「…………」


No.10「正しいカードを」

No.10「僕に渡せば――」


 左右の水槽へ

 視線を向ける。


No.10「二人を解放する」


シオン「…………」


 シオンが――

 剣へ手をかける。


No.10「おっと」


シオン「!」


No.10「先に言っておくけど――」


 No.10が――

 水槽を指差す。


No.10「僕を倒そうとしても」

No.10「無駄だよ?」


シオン「…………」


No.10「君は――」

No.10「この水の止め方を知らないだろう?」


シオン「…………!」


No.10「僕を斬ったところで――」

No.10「水は止まらない」


 No.10が――

 静かに笑う。


No.10「二人を助けたいなら」

No.10「ゲームに勝つしかない」


シオン「…………」


 剣から――

 手を離す。


No.10「賢明だね」


シオン「…………」


No.10「では――」


 右手を上げる。


No.10「始めようか」



 パチン。



 指が鳴る。


 シオンは――

 すぐに床へ目を向けた。


 舞台一面。


 重なるように散らばった――

 大量のカード。


シオン「…………」


 その中から――


 一枚を選ぶ。


 手を伸ばす。



 ――少し先。



 自分の指が――

 そのカードを裏返す。



 《7》。



シオン「違う……」


 手を止める。


 次の一枚。


 手を伸ばす。



 ――《Q》。



シオン「これも違う」


 次。



 ――《4》。



 違う。



 ――《A》。



 これも違う。


No.10「…………」


 No.10は――


 何もせず

 その様子を眺めている。


 シオンが――

 次の一枚へ手を伸ばす。



 ――少し先。



 裏返したカード。



 《JOKER》。



シオン「…………!」


 見つけた。


 未来が途切れる。


 シオンは――


 迷わず

 そのカードを掴んだ。


 そして――



 シュッ――!



 No.10へ向けて

 投げる。


シオン「これだろ!」


 飛んできたカードを――


 No.10が

 二本の指で挟む。


シオン「…………」


No.10「…………」


 No.10は――


 静かに笑った。


No.10「そんな簡単なわけが」

No.10「ないだろう?」


シオン「…………?」


 No.10が――

 指先のカードを裏返す。



 《10》。



シオン「…………!?」


シオン「なっ――」


 違う。


 自分が選んだのは――


 間違いなく

 《JOKER》だった。


No.10「残念」


シオン「…………!」


 No.10は――


 《10》のカードを

 指先で回す。


No.10「それにしても――」


 シオンを見る。


No.10「便利な目だね」


シオン「…………!」


No.10「カードを裏返す前に――」

No.10「外れかどうかが分かる」


シオン「お前――」


 シオンの目が

 鋭くなる。


シオン「俺の力を知ってるのか?」


No.10「もちろん」


シオン「…………!」


No.10「君が――」

No.10「少し先の未来を見ることもね」


シオン「…………」


 なぜ――


 No.10が

 それを知っている。


 《凶宴》の者たちへ――

 仕事を出している四人。


 そいつらから――

 聞いているのか。


No.10「さて――」


 No.10が

 水槽へ視線を向ける。


No.10「考え事をしている時間は」

No.10「あるのかな?」


シオン「!」


 水槽。


 水は――


 既に

 セイの腰まで達していた。


セイ「シオン!」


シオン「分かってる!」


 シオンが――

 再び床を見る。


 大量のカード。


シオン「…………」


 未来で――

 確かに見た。


 自分が選んだカードは

 《JOKER》だった。


 だが――


 No.10の手に渡った時には

 《10》へ変わっていた。


シオン「…………どうやった」


No.10「それを見破るのも――」


 No.10が――

 両手を広げる。


No.10「ショーの楽しみだろう?」


シオン「…………!」


 もう一枚。


 手を伸ばす。



 ――《3》。



 違う。


 次。



 ――《K》。



 違う。



 ――《8》。



 違う。


 時間だけが――

 過ぎていく。


 その間にも――


 水は

 止まらない。


ヴァン「シオン」


シオン「!」


ヴァン「焦るな」


シオン「…………」


 ヴァンの胸元まで――

 水が迫っている。


 セイも――

 同じ。


セイ「シオン――!」


セイ「もう時間ねぇぞ!」


シオン「…………!」


 舞台を埋め尽くす――

 カード。


 流れ続ける――

 水。


 そして――


 その中央で。


 No.10だけが――

 変わらぬ笑みを浮かべている。


No.10「さあ――」


 No.10が

 静かに告げる。


No.10「終演の時間が――」


No.10「近づいてきたよ」


シオン「…………!」


 残された時間は――


 もう――

 ほとんどない。

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