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《凶宴-CARD》  作者: shogo5


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『九死の九枚目』【4】



     ◇



「…………」



 男は――


 手にしたカルテへ


 もう一度

 目を落とす。



 そこに書かれた――


 一人の患者の名前。



 シオン・アルヴェリア。



「…………」



 アルヴェリア。



 その名を――


 忘れるはずがない。



 そして――


 シオン。



 あの国の――


 王子。



「…………シオン・アルヴェリア」



 小さく――


 その名を呟く。



「ついに――」


「来ましたか」



 男は――


 静かにカルテを閉じた。



     ◇



 ――病室。



セイ「――ってことで!」



「No.10の居場所は分かった!」



「それで――」


「No.3は別で」


「仕事出してる四人を探る!」



No.3「ああ」



シオン「…………」



 シオンは――


 ベッドの上から


 三人を見る。



シオン「なるほどな」



「No.10については――」


「俺の傷がもう少し治ったら」


「すぐ向かおう」



セイ「おう!」



シオン「それで――」


「No.3は」


「キングを追うのか?」



No.3「ああ」



「そこから――」


「あの四人に繋がるかもしれねぇからな」



シオン「…………」



 そこで――


 シオンは


 ふと首を傾げる。



シオン「いや――」


「ちょっと待て」



セイ「ん?」



シオン「そのキングって――」



「お前らが」


「前に見たっていう男だよな?」



セイ「ああ」



シオン「…………」



 シオンの脳裏に――


 一人の男の姿が浮かぶ。



 ただ立っているだけで――


 周囲の空気すら


 変わったように感じた男。



シオン「…………いやいや」



 三人を見る。



シオン「あの――」


「只者じゃないとは思ってた男が」



「父上を殺した相手――」


「キングだったのか?」



セイ「そうだけど」



シオン「…………」



 一瞬――


 沈黙。



シオン「なんで言わねぇんだよ!」



セイ「いや――」



シオン「いやじゃねぇよ!」



「あの時――」


「普通に見てただろ!」



ヴァン「言ったところで――」


「どうするつもりだった」



シオン「は?」



ヴァン「あの場で――」


「キングに斬りかかるつもりだったか?」



シオン「…………」



セイ「だから――」


「言わなかったんだよ」



シオン「…………なんでだよ」



セイ「だって――」



「あんなとこで」


「キングが暴れたら――」



「国――」


「消し飛ぶもん」



シオン「…………」



 シオンの表情が――


 僅かに止まる。



シオン「…………そこまでか?」



セイ「ああ」



シオン「確かに――」


「只者じゃないとは思ってたけど」



「そんなにヤバいのか?」



ヴァン「…………」



 ヴァンは――


 僅かに目を細める。



ヴァン「正直――」



「俺でも」


「やり合う気にはならん」



シオン「…………!」



ヴァン「あれは――」



「桁が違う」



シオン「…………」



 思わず――


 ヴァンを見る。



 強者を求め――


 強い相手であればあるほど


 剣を交えたがる男。



 そのヴァンが――


 やり合う気にならない。



セイ「俺も――」


「あいつは無理」



シオン「…………」



 今度は――


 No.3を見る。



No.3「…………まあ」



「キングは――」


「別だな」



シオン「…………」



 三人を見る。



 ヴァン。


 セイ。


 No.3。



 戦い方も――


 考え方も違う。



 そんな三人が――


 揃って同じことを言っている。



シオン「…………お前らが」


「そこまで言うなんてな」



 シオンは――


 あの時の男を思い返す。



 何者なのかも分からないまま――


 ただ。



 只者ではない。



 そう感じた男。



 まさか――


 あの男こそが。



 父を殺した――


 キングだったとは。



シオン「…………」



 知らずに――


 すぐ近くまで来ていた。



 もしあの時――


 セイから正体を聞いていたら。



 自分は――


 どうしていただろう。



シオン「…………なるほどな」



「お前らが黙ってた理由も――」


「少しは分かったよ」



セイ「だろ?」



シオン「でも――」


「次からは言え」



セイ「えー」



シオン「言え」



セイ「…………はいはい」



シオン「ったく……」



 それでも――


 ヴァンですら


 やり合う気にならない相手。



 セイも。



 No.3も――


 同じ。



シオン「本当に――」


「とんでもない奴なんだな」



ヴァン「ああ」



シオン「…………」



 シオンは――


 小さく息を吐く。



 その時――



セイ「そういや――」



シオン「ん?」



セイ「病院いると――」


「No.9思い出すな」



シオン「…………なんで?」



セイ「No.9――」


「医者だからな」



シオン「…………医者?」



セイ「ああ」



No.3「普段は――」


「普通に医者やってる」



シオン「《凶宴》が……?」



セイ「まあ――」


「あいつはちょっと」


「他と違うんだよ」



シオン「…………」



 医者。



 その言葉に――


 シオンは


 先ほど自分を診察した男を思い出す。



 その時――



「失礼します」



 ガチャ――



 病室の扉が開く。



シオン「…………」



 入ってきたのは――


 先ほどの医者。



 男は――


 病室に集まった面々を見る



「…………」



 そして――



「まさか――」


「自分の職場に――」


「あなたたちが集まるとは」


「思いませんでしたよ」



シオン「…………え?」



セイ「…………は?」



ヴァン「…………?」



No.3「…………?」



 四人の視線が――


 一斉に


 男へ向けられた。

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