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《凶宴-CARD》  作者: shogo5


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113/128

『狂奏の八枚目』【13】




 ドドドドドドドドドドドドドドドド


 ドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!



シオン「ぐっ……!!」



 音が――


 埋め尽くす



 前



 後ろ



 右



 左――



 逃げ場がない



 ドンッ!!



 シオンが――


 横へ跳ぶ



 直後



 ジャァン!!



シオン「…………っ!!」



 高音が――


 肩を裂く



 血が――


 飛ぶ



 着地



 その瞬間――



 ドォン!!



シオン「がっ……!!」



 足元から――


 衝撃



 身体が――


 浮く



 そこへ



 ジャァン!!



 斬撃



 剣で――


 受ける



 ガァン!!



 そのまま――


 吹き飛ばされる



No.8「どうした!!」



 ドンッ!!



No.8「遅れてるぞ!!」



 ジャァン!!



No.8「もっと――」



 ドドドドドドドドッ!!!!



No.8「ついてこいよ!!」



シオン「…………っ」



 地面を――


 転がる



 剣を突き――


 止まる



 息が――


 荒い



 ドクン



 ドクン



 ドクン



 心臓も――


 速い



 No.8の――


 音



 No.8の――


 テンポ



 すべてに――


 身体が引っ張られている



シオン「…………」



 未来を見る



 ドラム



 右



 シンバル



 左



 次――



 低音



 その次――



 高音



 さらに――



 衝撃



シオン「…………っ!」



 避ける



 避ける



 また――


 避ける



 それでも



 少しずつ――


 ズレる



 ほんの僅かな――


 遅れ



 それだけで



 次の音が――


 身体を捉える



 ドォン!!



シオン「ぐっ!!」



 肩



 ジャァン!!



シオン「…………っ!!」



 脇腹



 ドンッ!!



シオン「がっ……!!」



 脚



 逃げれば――


 追われる



 避ければ――


 次が来る



 未来を見ても



 その未来を――


 変える前に



 次の音が――


 重なる



No.8「…………ハハッ」



 スティックが――


 走る



No.8「いい!!」



 ドンッ!!



No.8「これだよ!!」



 ジャァン!!



No.8「次はどうする!?」



 ドドドドドドドドッ!!!!



No.8「どこまで――」



 ジャァン!!



No.8「ついてこれる!!」



 ドォォン!!!!



シオン「…………っ!!」



 剣で――


 受ける



 足が――


 地面を削る



 押される



 腕が――


 軋む



 それでも――



 シオンは



 No.8を――


 見ていた



シオン「…………」



 違う



 未来を――


 見るだけじゃない



 音を――



 聞く



 ドン



 ジャァン



 ドン



 ジャァン



 速い



 だが――



 乱れていない



 どれだけ速くなっても



 どれだけ――


 激しくなっても



 No.8は――



 一度も



 音を外さない



シオン「…………」



 八つ



 最初から――


 そうだった



 八つの音



 八つの流れ



 それが――


 速くなっている



 《8BEAT》



 《16BEAT》



 そして――



 《32BEAT》



 どれだけ――


 音が増えても



 根にあるものは――



 変わらない



 完璧に――


 自分のリズムを刻み



 その中へ――


 すべてを取り込む



 だから――



 シオンの動きも



 読まれる



シオン「…………」



 その時――



 シオンは



 一つの光景を――


 思い出した



 つい先ほど――



 客席から見ていた



 Requiem:VIIIのLIVE



 最後の――


 一曲



 ボーカルが



 曲を告げた――



 その瞬間



 シオンは――


 見ていた



 ドラムの前で



 No.8が――



 ほんの僅かに



 目を見開いたのを



シオン「…………」



 あの時だけ――



 違った



 それまで



 何千人の歓声を浴びても



 ほとんど――


 表情を変えなかった男が



 あの一曲には――



 反応した



 そして――



 演奏が始まれば



 No.8は――



 他の三人と



 音を重ねていた



シオン「…………そうか」



 もう一度――



 No.8を見る



 ドンッ!!



 ジャァン!!



 ドンッ!!



 ジャァン!!



 完璧な――


 リズム



 No.8は――



 何が起こるか



 分からないことを求めている



 なら――



 壊す必要はない



 このリズムから――



 逃げる必要もない



 逆だ



 入ればいい



 こいつの――



 音の中へ



 そして――



 こいつ自身も



 予想していない音を――



 足す



 ドンッ!!



 シオンが――


 前へ出る



No.8「…………!」



 ジャァン!!



 身体を――


 捻る



 高音が――


 髪を掠める



 一歩



 また――



 一歩



No.8「…………フッ」



 スティックが――


 さらに速くなる



No.8「来いよ!!」



 ドンッ!!



 シオンは――


 進む



 音と――


 音の間



 そこへ――


 足を置く



 ジャァン!!



 剣で――


 逸らす



 ドンッ!!



 踏み込む



 ジャァン!!



 身体を――


 沈める



 逃げるんじゃない



 合わせる



 No.8の――


 リズムへ



 自分から――



 入る



No.8「…………!」



 ドンッ!!



 シオンの――


 足



 ジャァン!!



 剣



 ドンッ!!



 呼吸



 ジャァン!!



 鼓動



 すべてが――



 No.8の音と



 重なっていく



No.8「…………そう」



 口元が――


 吊り上がる



No.8「それでいい!!」



 ドドドドドドドドッ!!!!



 さらに――


 音が加速する



 だが



 シオンは――



 止まらない



 未来を見る



 次の音



 その次



 さらに――


 その次



 見えている



 そして――



 聞こえている



 ドン



 ジャァン



 ドン



 ジャァン



 繰り返される――



 完璧な



 流れ



 未来と――


 音



 二つを重ねる



 一つ



 二つ



 三つ



 四つ



 五つ



 六つ



 七つ――



 八つ



シオン「…………」



 そして――



 また



 一つ目へ戻る



 八つ



 また――



 八つ



 完璧に――


 繰り返される



 No.8の――



 音



 なら――



 その間に



 存在しない音を――



 一つ



 シオンは――


 剣を握り直す



 No.8が――


 スティックを振り下ろす



 一つ



 二つ



 三つ



 四つ



 五つ



 六つ



 七つ――



 八つ!!



 ドォン!!!!



 そして――



 次の一音が



 始まるより――



 先に



シオン「――ここだ」



 踏み込む



No.8「…………!?」



 剣が――


 振り抜かれる



 狙うのは――



 No.8ではない



 すぐ横へ――


 移動してきた



 一枚の――



 シンバル



 ガァァァン!!!!



No.8「――っ!?」



 鳴った



 No.8が――


 叩いた音ではない



 八つの流れにも――



 存在しない



 シオンが――


 叩き込んだ



 九つ目の――



 音



 ガァァァァァン――!!



 その音が――


 戦場へ響く



No.8「…………!」



 スティックが――


 振り下ろされる



 だが――



 ドンッ!!



 僅かに――


 ズレた



No.8「…………っ?」



 次



 ジャァン!!



 また――



 ズレる



 たった一つ



 入り込んだ――


 九つ目の音



 それだけで――



 完璧だった流れに



 狂いが――


 生まれた



 ドンッ!!



 ジャァン!!



 ドンッ!!



 音が――



 噛み合わない



No.8「…………」



 目が――


 見開かれる



 呼吸



 鼓動



 足



 剣



 すべてを――



 自分のリズムへ



 取り込んでいたはずだった



 だが――



 今は



 違う



 ドクン――



シオン「…………」



 自分の――


 鼓動



 スッ――



 自分の――


 呼吸



 ザッ――



 自分の――


 足



 戻っている



No.8「…………フッ」



 その瞬間――



 No.8が



 笑った



 あの時と――


 同じ



 つい先ほど



 最後の曲を――


 告げられた時



 ほんの一瞬だけ



 見せた――



 あの顔



 予想していなかった



 音



 予想していなかった



 流れ



 自分でも――


 知らなかった



 次



No.8「…………これ――」



 シオンが――



 踏み込む



No.8「いいな」



シオン「――遅い」



No.8「…………!」



 未来を見る



 次の――


 一歩



 もう――



 No.8のリズムではない



 シオン自身が――



 選んだ



 一歩



 剣が――


 走る



 ザンッ――!!



No.8「…………っ」



 血が――


 舞う



 No.8の身体が――



 崩れる



 膝が――


 落ちる



 浮かんでいた楽器が――



 一つ



 また――


 一つ



 床へ落ちていく



 ガラン――



 ガラン――



 最後に



 スティックが――



 手から落ちた



 カラン――



 静寂



シオン「…………」



 剣を――


 下ろす



No.8「…………フッ」



 俯いたまま――



 笑う



No.8「そっか……」



 顔を――


 上げる



 その目には



 もう――



 退屈はない



No.8「こういうのも――」



 一度



 息を――


 吐く



No.8「あるんだな」



 そのまま――



 仰向けに



 倒れる



 No.8の――



 《32BEAT》



 その狂奏は――



 九つ目の音によって



 終わった



 

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