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第46話 壮大なる勘違いの夜明けと、首根っこを掴まれた師匠

『わしや、わし。

 願叶え神ランキング二位の――』


『キタのぽんや。』


『下から二番目の二位ね。』


前回、わしが過去に戻って確認した

まのんと三澄投太の出会いの事実には――


まだ続きがあったんや。


まず前提として言っとく。


明法大学野球部にとって、

まのんは――


『スタンドで大袋のポテチを食いながら、

 二リットルのコーラを飲んでる

 『この世にブスなんていない!!』

 の夢ちゃん似の女の子』


それ以上でも以下でもない。


そして――

まのんがスタンドにいる時に、

たまたま三澄君の調子がええだけ。


完全に偶然。

断じて女神ではない。


……なのにや。


ある日の神宮球場・試合終了後


その日も試合は三澄君の活躍で勝利。

明法大学の勝利の余韻が残る神宮球場


でな。


試合後の三澄君が――

ばったり、まのんと出くわしたんや。


……気の毒に。


ちなみにその時、

悠斗君はトイレに行っておった。

運命って、そういうもんや。


『ゴラぁ!ぽん!

 いちいち棘のある言い方やめんかい!』


『ふん!

 三澄君が可哀そうなんじゃ!

 今から、しかと事実を聞け!』


出会いの真実♪


帰りのバスに向かう明法野球部員が

偶然、まのんを見つけたのである。


「あ! あれ夢ちゃんじゃん!

 おい三澄! 勝利の女神に挨拶して来いよ!(笑)」


「先輩……

 無茶ぶりしないでくださいよ~」


「ゲン担ぎも大事だろ?

 お前の活躍次第で、

 この秋季リーグの優勝が決まるんだからさ。

 行ってこい行ってこい(笑)」


……完全に、先輩のノリや。


こうして三澄投太は、

半ば強制的にまのんの前に立たされた。


「あの……

 夢ちゃん、さん……ですか?」


※名前を知らない。


「は、はい」


※超イケメンを前に、

 きゅん♡としてしまい反射で返事した。


「あの、明法大学野球部の三澄と言います。

 突然、すみません。」


「あの.......

 ――今日も勝てたように、

 君が応援に来てくれた日は、

 僕、調子が良くて……」


「必ず、勝ててるんです」


「え~、そうなんですか?」


――当然や。

まのんは知らん。


なぜなら、まのんは


悠斗君が

「ポテチとコーラ買ってやるから、一緒に来い」

と言うので神宮に来ているだけ。


試合は見ない。

ポテチを食べる。

コーラを飲む。

スマホでアニメ。


三澄投太?

知らん。


……だが。


顔が良すぎた。


その瞬間、

まのんの心は――


きゅん♡

きゅん♡

きゅん♡


と、完全ノックアウト。


「夢ちゃんさん!

 お願いがあります!」


三澄君は、真剣な目で言った。


「あと二勝できれば、今季は優勝なんです。

 僕も連投で投げる予定で……

 だから、ぜひ、また応援に来てください」


「……え?」


「僕の勝利の女神様に、なってください!」


「ぼ、僕たちには――

 君が必要なんです!」


……罪な男や。


「は、はい♡

 わ、私でよければ♡」


(初めての彼氏がこんなイケメンなんて♡


♡最高♡

……仕方ないわねぇ。

三澄君がそこまで言うなら、

このわたくしが結婚して差し上げようかしら♡)


(……でも。

 悠斗は、どう思うかな……)


――こうして、

壮大な勘違いが完成した。


その後


以降、

三澄君とまのんが

直接会うことはなかった。


だが――


スタンドにいるまのんを、

三澄投太はマウンドから

大仏様を見るような目で見つめていた。


まのんは、

それだけで天にも昇る気分やった。


そしてその年の秋季リーグ。

三澄投太の活躍で――

明法大学、優勝。


だが。


翌年、春季リーグ。


まのんは

オタ研とバイトで忙しく、

神宮には来なかった。


それでも――

三澄投太も、明法大学も、

全戦全勝。


……な。


完全に、偶然や。


「あの強烈なインパクトの笑顔は印象に残っている。

 でも、この春は彼女が来なくても勝てた。

 ……やっぱり、偶然だったな」


――三澄投太 確信する。


つまり。


まのんは勘違いし、

タワマンニート花嫁計画の結婚相手に

三澄投太を指名した。


それだけの話や。


……せやけどな。


まのんの願いを

叶えると申請してしもうた以上、

わしのミッションは――


善人・三澄投太

デビル級勘違いヒロイン・まのん


を、結婚させること。


なんでやねん。


なんで、

あんなええ青年が

まのんの旦那にならなあかんねん。


……あぁ、やだやだ。


でも失敗したら

願叶え神ランキング最下位やし……。


くそぉぉぉ!!!


せや。

今度、神界に帰ったら

師匠に一応、申請取消しを――


その頃、神界では……


「はぁ……

 あのバカ亭主、

 またどっか行きやがった……」


――その声は、師匠の女将さん神!?


そして、キタのぽんの目の前には――


『おう! ぽん!

 遅かったやんけ♪』


『し……し……

 師匠ぉぉぉ!?

 なんでここに!?』


『なんでって?

 わしは、まのんちゃんのマブダチやからや♪』


『そうですよぉ~♪

 師匠と私はマブダチですからぁ♪』


……終わった。


しかも、師匠が言うには


『今日は。香純ちゃんの写真を

 もらいに来ただけや♪』


(願叶え神って……

 エロ神ばっかやな……)

――お前が言うな まのん


その時、恐怖の殺気を感じたキタのぽん

ビビりまくる。


『……あの。師匠……後ろ……』


『後ろってなんや?』


『……お・か・み・さ・ん。 です』


『え?』

怖くて見れない師匠


『ほぉ~?

 若い人間の女の子とお茶して、

 推しの写真をもらいに来たんだぁ~』


『大変申し訳ございません。

 逃げも隠れもいたしません。

 罰は、甘んじて受けます』


*言い訳しない方が、罪が軽い。

 師匠はそれを知っている。


*師匠一家の権力序列

 最高位:女将さん

 第二位:子神様

 第三位:わんこ神

 ――遥か下

 最下層:師匠


『帰るわよ』


『はい……』


女将さんは師匠の首根っこを掴んで

帰り際に言った。

『まのんちゃん、ごめんね。

 ぽんちゃん、頑張らないと

 こんなバカ神になっちゃうからね。』


『『……はい』』


『首根っこ掴まれて連行される神様、

 初めて見たかも』

――まのん


『わし……弟子入りする師匠、

 間違えたかもしれん。』


お後がよろしいようで......


「うぇ~ん(泣)」

師匠 自業自得である。

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