第43話 ――守乃ちゃん、戦場(イベント)に立つ
くそぉぉぉ……!
まのんのやつ……!
師匠まで巻き込んで
ファイヤーさせるとは……(恨)!
――ぜってぇ、恨み晴らしたるからな!!!
……っと。
そんな因縁はさておき。
今回の主役は――
まのん、休みじゃい♪
『ゴラぁ!
なんで主役の私が休みなのよ!?』
『今回はなぁ~』
キタのぽんは胸を張る。
『わしの推し♡
愛しの守乃ちゃん回やでぇ~♡
モブまのんは黙って見とけぇ!』
『ふんっ。
守乃ちゃんのお手前拝見ってとこね♪
どっちが面白いか、見ものだわ』
『……おい。
どこで争っとんねん……』
よし。
では改めて――
愛しきヒロイン♡守乃ちゃん♡
『どぉ~ぞぉ~♡』
『よろしくてよ。キタのぽんさん』
凛とした声で、守乃ちゃんは微笑んだ。
物語は、
土曜の朝・守乃ちゃんの部屋から始まる。
今日は――
横浜・赤レンガ倉庫で行われる
コスプレイベント。
彩夏ちゃんと、
初めての“合わせ”なの。
……それだけなら良かった。
なのに。
――なぜか。
彩夏ちゃんが
厳蔵に声を掛けてしまい――
なぜか(※二回目)、
厳蔵が専属カメコとして同行することになった。
……何でよ!?(怒)
今回の衣装は、
『史上最強の聖女は二刀流の達人だった』より
主人公――ソヌティ。
露出は控えめ。
……だけど。
少し寄せて、
谷間を――ほんの少しだけ、出す予定。
つまり。
厳蔵の目的は、どう考えても――
私と彩夏ちゃんのセクシーショット。
間違いない。
そこで私は策を講じた。
――コスプレ用シリコンバスト。
ふふ。
あのエロ厳蔵に、本物と偽物の違いなんて
分かるはずがないわ♪
勝手に興奮してなさい。
エロ厳蔵!!
あ、彩夏ちゃんからLINE。
『守乃ちゃん、
今日は初めての合わせよろしくね♪
私はフィテナだから、
メイクとかサポートお願い!』
※今回の合わせ
守乃ちゃん:ソヌティ
彩夏ちゃん:フィテナ
――バディキャラだ。
……フィテナ。
露出は無いけど、
体型がはっきり出るタイプ。
大丈夫かしら……。
エロ厳蔵、鼻血で倒れるんじゃ……。
……いや。
それ、あいつの思うつぼよね!?
私は返信した。
『メイクは手伝うけど……
体型かなり出るけど、大丈夫?』
すぐに返事。
『え?
キャラ再現は芸術って
守乃ちゃんが言ったんじゃない?
フィテナに失礼のないよう、
全力で演じ切るよ♪
じゃあ現地で!』
……参ったわね。
『分かったわ。
念のため、イベント規則は現地で再確認するわ』
……少しの谷間。
ぴっちり体型。
『これは――
守乃ちゃん親衛隊(自称)として
護衛に出るしかあるまい。』
『モブまのんは放置で♪』
自称 親衛隊のキタのぽん
『ってことは……
今日はポテチ&コーラ三昧♡』
ラッキーポテチ まのん
『まのん、何か言ったか?』
『言ってへんで♪
ほら、はよ行かんと遅れるでぇ』
『せやった!
わしがおらんでも、
淑女化計画、進めるんやで!』
『イエッサァ!
(嘘ぴょん♡)』
『よっしゃ!
(……絶対、嘘や)』
『せやけど……
コスプレの守乃ちゃん、早く見たい……』
――桜木町駅。
時間厳守。
十分前行動は人としての基本。
守乃ちゃんは、
すでにそこにいた。
「あ、彩夏ちゃん。
五分前。まあ合格ね」
「守乃ちゃ~ん、待ったぁ?」
「いいえ。五分前ですわ」
……しかし。
厳蔵――
来ない。
「まもなく社会人になる大学生として失格ですわ」
「彩夏ちゃん、参りますわよ」
「え!?
厳ちゃん、まだだよ!?」
「時間を守れない者に、
神聖なコスプレイベントへ
参加する資格はありませんわ」
――と、その時。
「守乃ちゃん、LINE来てるよ
『先に会場で下見してます』だって」
「……行きましょ」
そして会場。
着替え完了――
……。
………。
あかん。
あかんて、これ。
二人とも――
可愛すぎる。
ソヌティ守乃。
フィテナ彩夏。
世界観、完成しすぎやろ……!
あかん……
神様としての尊厳が……。
『ぽんちゃんに尊厳なんてあった?』
『うるせぇ!!
主役は守乃ちゃんじゃ!
まのんは出てくんな!!』
……これ。
厳蔵、
惚れてまうで。
いや、ほんまに。
――やばいんちゃうか?




