第39話 悲報・本日の稼ぎ二千円(ただし夜の公園で修羅場付き)
蒲田まで行って――
二千円ゲットだぜぇ!
……じゃねぇよぉぉぉ!!(涙)
本来なら五時間勤務、
諭吉様とご対面のはずだった。
それがどうだ。
年金支給日とか、婆さんが待ってるとか、
孫が来るとか、特売とか――
お婆ちゃん、お爺ちゃん達
とっとと帰りやがって、
お陰で1時間勤務のみ。
手元には、敗北感と二千円。
「これじゃ……オタ研合宿、
ばっくれるしかないじゃん……」
床に転がり、天井を睨みながら私は呻いた。
『ぽんちゃん。ごはん食べて、お風呂に入ったら――
軍議を開きますわよ』
『えぇ~。今日はもうええやん……
どうせ、しばらくバイト行かへんのやろ?』
(守乃ちゃんのとこ行く時間や♡
そろそろ、お風呂の時間やで♡)
『問答無用!強制よ!!』
で、悠斗は――塾バイトで出勤中。
コツコツ、真面目に、地道に稼いでいる。
「……くそぉ。なんであんな健全なんだよ……」
嫉妬を胸に抱えつつ、
シャワーを浴びる。
*もちろん、シャンプーとリンスは悠斗のもの♡
なぜなら、いい匂いだから。
『さぁ、ぽんちゃん。軍議、開幕よ!』
『めんどくさぁ……』
【軍議議題】
① 出勤日をどうするか
『ねえ、ぽんちゃん。どう思う?』
『時給下がった言うても、二千円は破格や。
合宿前やし、出勤は増やすべきやな』
『……だよね。仕方ない、増やすか』
② オタ研合宿代の工面
『ばっくれたら……やばい?』
『まのん、部長やろ』
『……だよね』
③ フィギュア購入資金
『ねえ、ぽんちゃん――』
『いつでも買えるやろ』
『……だよね』
④ カネ婆打倒作戦
『ねえ、ぽんちゃん。どう思う?』
『今は耐えるのじゃ。
カネ婆は人心を掴んでおらん。
今は臣従した“フリ”をして、
時が来たら――寝首を掻く』
『承知!』
⑤ 次の賄いは唐揚げ定食……希望(本音:特盛)
『ねえ、ぽんちゃん――』
『却下!淑女化計画中やろが!!』
『なんでよぉ!』
『太ってええなら、許したる』
『もう太ってるよ!!』
『確かに……』
『じゃねぇ!
わしのランキングが最下位になったらどうする!
絶対、許さん!!』
『……わかったよ(涙)』
(ふん。ぽんちゃんの弱点は把握済み。
絶対いつか食ってやる)
【追加議題】
『このままやと、トミさん達はカネ婆に寝返る』
『だよねぇ……でも策がない……』
『案ずるな。
弱者は強者に靡くのが世の習い。
だが、心までは売らん。
状況が変われば、必ず戻ってくる』
『……ぽんちゃんを信じるよ』
『なんかさ……
もう軍師っていうか、リアルバディだよね。
ちゃんと私を幸せにしてよ?』
『ふん。お主に会わなければ、
こんな不幸になってへんわ』
『それ、願叶え神アンケート前で言っていいの?』
『イエッサァー!
わたくしは、まのん様を必ず幸せにします!!』
『よろしい』
(ぜってぇ、不幸にしたる)
『よっしゃー!軍議終わり!
ポテチ食って寝よ~♪』
『計画続行中や。ダメです♡』
『ア・ン・ケート♪』
『問題なし♪
計画遂行に関しては、師匠に怒られることはない。』
そう言うと、キタのぽんは私の意志を無視して、
勝手に体を動かし始めた。
『こら!私の体!ポテチはキッチンよ!!』
『無駄じゃ♡
夜のウォーキングに参るぞ♪
脂肪燃焼♡』
『行かねぇ!!』
『はぁ~い、まのんちゃん♡
お散歩でちゅよぉ~♪』
『くそぉ!私の体で遊びやがって!!
絶対、復讐してやる!!』
『復習?
ええやん♪じゃ、二十分追加な♡』
『鬼ぃぃぃ!!』
そして――
近くの公園、三周目。
てくてく
っと、その時!
キタのぽんがベンチに座る人影を見た瞬間、
嫌な予感が背筋を駆け上がった
(……悠斗君と彩夏ちゃん!?)
(なんでや?
香純ちゃんなら、まだ……)
(いや、どっちもアウトだろ!!)
『なぁ、まのん。
そろそろ帰ろか』
『え?いいの?さっきまで追加って――』
(よっしゃ。まのんは気づいてへん……)
――おいおい。
次回、修羅場確定ちゃうか!?




