第36話 他言厳禁のシークレット合宿(※一瞬で全員にバレました)
あぁ……お尻……治ったの♡
悠斗の両親が紹介してくれた病院に行ったら、
びっくりするくらい――即・完治♪
……ただし。
理由を聞かれて、
お医者様には盛大に怒られ、
診察室の看護師さんたちには失笑され――
私はベッドの上で、静かに魂を失った。
それに……
19歳の乙女がお尻を人前で――
全開!!!
くしゅん、くしゅん……。
「しばらくは、イタズラ禁止ですね。」
と、微笑みながら釘を刺された――
当面、イタズラは封印だわ……。
……。
…………。
――嘘だよん!!!
それは無理ゲー!!
でもさ。
あんな大病院を、さらっと紹介できるなんて。
悠斗のご両親……何者?
聞いても、悠斗ははぐらかすし。
ま、いっか♪
お尻も復活したし♪
『もう、これに懲りてイタズラは止めるんじゃな♪』
『何言ってんの♪ぽんちゃん
私がそんなやわな女の子だと思う?』
『……確かに、思えんな。』
『コラぁ!その間はなんだ!
私だって女の子だぞ!!』
『どっちやねん!?』
『ある時は強き女性。
ある時はかよわい乙女。」
『我が名は――まのん!
その名を胸に刻むがよい!』
その時
「早く大学に行くぞ!」
冷静な悠斗に、
私の名乗りは一蹴された。
お昼に大学に着き、学食へ直行。
「なあ、まのん。
昨日言ったオタ研合宿のことは、
まだ誰には言うなよ。」
「あいよ♪ でも行先はどこ?」
「いせかいのあたりだよ。
まのん。絶対、誰にも言うなよ。」
しつこい悠斗はそう言い放ってトイレに立った――
昨夜、いろいろあったが、
悠斗が密かに合宿の計画を進めていたのだ。
次の瞬間! 守乃ちゃんを見つけた私は、
速攻で駆け寄った。
『……あかん。まのんのこの顔は……やばい!
まのん、やめとけ!』
キタのぽんが盛大に焦り出しているけれど、
知ったこっちゃない。
「守乃ちゃん! ちょっと、ちょっと!」
「まのん先輩♪どうしたんですか?」
最高のドヤ顔で囁いた。
「実はね。悠斗がオタ研のシークレット合宿を計画しててね……
行先は、異世界のあたりなんだって!」
「異世界……!
それ、絶対テスニーレイクですよね!?
私、コスプレで行っていいですか!」
『ゴラァ!それ他言厳禁やんけ!』
呆れる キタのぽん
『いいのいいの♪守乃ちゃんだけ♡』
嘘つき まのん
『……守乃ちゃんなら、まぁええか』
守乃推しの キタのぽん
――そして、地獄は加速する。
「あ!香純ちゃん!」
「あ!彩夏ちゃん!」
「あ!厳ちゃん!」
「異世界って、テスニーですよね♡」
「USOですよね!」
「イマシフ・ファト羽田っすよね!」
(あかん……短時間で全員に……)
ぽかぁ~ん キタのぽん
放課後。オタ研部室。
「悠斗先輩♡ 合宿って異世界なんですよね!」
香純ちゃんが目を輝かせて詰め寄ると、
悠斗の額がピクピク。
「……なんで合宿のこと知ってるの!?」
私に向けられた悠斗の視線が痛い。
完全に「やりやがったな、まのん……!」って顔だ。
その一方で、異世界はどこ?論争が始まった。
「異世界なら、絶対テスニーでしょ!」
「いやUSOだろ、あそこの世界観はガチだ!」
「お前ら情弱っすね、イマシフ一択っつーの!」
一瞬で部室が喧々囂々の修羅場と化す。
(やべぇ、ドロンしよ……)
そっとドアノブに手をかけた私を、冷徹な声が呼び止めた。
「こらぁ! 主役! どこ行く気だ!!」
「……だよね。悠斗君。あははは」
逃げ場、ナシ!
――その瞬間。
全員の視線が、
ゆっくりと私に集まった。
「まのん先輩、部長という立場で秘密漏示。
刑法134条レベルです」
「おしゃべりはいけませんよぉ~」
乗っかる 香純
「反省すべきだ!」
さらに 彩夏
「許してほしいっすか?
全員にポテチとコーラレベルっすよ♪」
トドメ 厳蔵
「まのん。ちょっと来い」
助け舟を出す 悠斗
「……うん(涙)」
「買ってくるしかないな。」
「えぇ……私、金欠だよ……」
「「「自業自得!!!」」」
『詰んだな。まのん』
満面の笑みのキタのぽん
「うぇぇぇん……」
――
まのん、惨敗。




