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第24話 ――神様だけが知っている、残酷で平和な真実

今から話すことは――

神様であるわしだけが知る事実じゃ。


悠斗君も、

そして――まのんも知らぬ話。


『なに?なに?

 私だけに教えてよ、ぽんちゃん♪』


『だめぇ~』


『けち!』


……やれやれ。


実はの。

悠斗君の両親は、日本の経済界で名の通った重鎮じゃ。


肩書きは伏せるが、

要するに――

超がつくエリート経営者で、ガチのお金持ちじゃな。


子供は自然の中で伸び伸び育てたい、

という謎に意識の高い教育方針により、

幼い悠斗君は、村にある母方の実家へ預けられた。


つまり、

あの穏やかな村暮らしは、

英才教育の一環だったというわけじゃ。


人生とは分からんものじゃ。


さて。


悠斗くんの両親は、

まのんにほとんど会ったことがない。


一回、

多くても二回。


それなのに、である。


「悠斗のお嫁さんは、必ず――

 まのんちゃんにしなさい」


……これを、悠斗くんに会うたびに言うておる。


一方で、

その話を持ちかけられたまのんの両親。


一攫千金の匂いを嗅ぎ取り――

即・承・諾。


(……まのん。遺伝じゃったか)


こうして、

あとは本人同士に任せるという、

一番面倒な形に落ち着いたわけじゃ。


『やっぱり金持ちなんだぁ~!

 だから悠斗はフィギュアいっぱい買えるんだ!』


『こら!まのん!

 聞き耳立てるな!!』


問題はここからじゃ。


まのんが中学三年の頃。

悠斗くんの両親が、久しぶりに村へやってきた。


祖父母から

「近所に、ええ娘がおる」

と聞かされ――


調査開始。


まのんの尾行である。


「カエ婆!

 お小遣いのことは秘密だよ~♪」


「ヒロ爺、コーラありがとう♡」


「ユキ婆、ポテチありがとう♡」


「サク爺、ずっとゲームしてたことは内緒ね♡」


……と。


一人暮らしのお年寄りの家を、

次々と回っては話し相手になっている少女を、

車の中から遠目に目撃して追跡していたのじゃ。


「ママ、見た!?

 なんて慈愛に満ちた少女なんだ!」


「うん!中学生なのに自らお年寄りを見守り、

 話し相手になるなんて……

 なんて素敵な娘さんなの!」


違う!!

違うぞ!!


あやつは――

お菓子とジュースとお小遣い目当てで回っとるだけじゃ!!


騙されるなぁぁぁ!!

――キタのぽん

(※まのんに一番騙されてる神様)


さらに。


「ねえ、ママ。

 今度はお地蔵様に手を合わせてるよ!」


「まあ……

 神仏を大切にするなんて……

 麗しき大和撫子だわ」


『お地蔵様。

 千円が落ちていますように(祈)』


※よい子のみんな!

 落とし物は交番に届けようね♪


「また祈ってるよ!」


「なんて心の清らかな娘さんなの……」


『次に行く、ヒデ爺の家で

 お小遣いがもらえますように(祈)』


……もう、

ツッコミは無理ゲーじゃ。

――キタのぽん


そして――

決定打。


悠斗くんの家で、

悠斗パパが“それ”を見つけた。


「ママ、見て!

 このテストの答案用紙!!

 悠斗が81点なのに、

 まのんちゃんは――100点だよ!!」


「すごいわね!

 これ……私でも解けないわ!

 悠斗の81点でも凄いわよ。」


「心優しくて、

 勉強も悠斗以上……

 なんて完璧な娘さんなんだ……」


「ねえ、パパ。

 まのんちゃんに直接会ってみない?」


「そうだね。相手がまのんちゃんなら、悠斗が幸せになれる。

 明日にでも、ご挨拶に行こう」


――その後。


「ん?

 あれ?この答案用紙……」


「まのんのじゃん。

 また結果を書き換えて、

 俺ん家に忘れてったのか」


「10点のくせに。

 何が100点だよ」


……もう、

言葉が見つからん!!

――キタのぽん


こうして。


悠斗パパママの

壮大で幸せな勘違いは、

今もなお、更新され続けている。


……そしてこの勘違いが、

いずれ“修羅場”を生むことを、

この時のわしは、まだ知らなかった。

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