第11話 強欲夢ちゃん、炎上す。そして、神様が現れたのはお風呂♪
憂鬱だったはずのコスプレイベントは、
気づけば――
私にとっての楽園と化していた。
そして、今夜は――
願叶え神が私の願いの詳細を聞きに来る。
うひっひっひっひ……♡
イベントからマンションに凱旋したまのん。
見てよ、この山。
ポテチ。
コーラ。
552に六座候、謎のお菓子まで。
これ、全部タダ(ここ重要)。
夢ちゃんを演じているだけで、私の食生活はバラ色、
いやポテチ色に輝き始めたのだ。
――全部、夢ちゃん推しからの貢物♡
私は悟ったのよ。
夢ちゃんを演じている限り、
オタ活のお供に一生困らないってことを。
思わず叫んでしまった。
「さぁ、夢ちゃん推しの皆の者!
貢物を持って参れぇ~♡」
その時だった。
スマホを眺めていた悠斗が、
やたらと嫌な顔でこちらを見る。
「なあ、まのん……
これ、どう考えてもお前のことじゃないか?」
「なんだよぉ~。人が最高に気分いい時に~」
「ほら。Wの書き込み」
――その瞬間。
『夢ちゃんは、こんなに強欲じゃないぞ!!』
右ストレートがまのんに入ったぁぁぁ!
痛い、痛い! 文字なのに拳の風圧を感じる!
『なんだ?このなんちゃって夢ちゃんは!』
左アッパー!
『夢ちゃんはダイエット中だぞ!ポテチなんてありえん!』
右フック!
だめだ、意識が薄れていく……
『夢ちゃんほど、可愛くない!』
右ボディ!
『夢ちゃんを愚弄するな!!』
左フック!
『おらのポテチ返せ!!』
――ダウン!!
『私のコーラ返してぇ~!!』
カン・カァーン・カァーン!!
まのん、TKO負け。
「おい!まのん!大丈夫か!?」
気が付けば、
私はどこからか現れた丸椅子に座っていた。
「……へへ。燃え尽きましたわ。真っ白にね……」
そうよ、わかってる。
私の人生、たまに良いことがあっても、
その後に倍返しの不幸がセットで付いてくる
「リボ払い形式」なのよ。
「真っ白って、まのんは腹黒だろうが!」
「悠斗……おめぇ……(怒)」
「ほぉ?反論できるなら、
四百字詰め原稿用紙三枚以内で
反論文を書いてみろよ。」
「書いた!」
「早っ!」
「……なになに?『反論ございません』……
素直すぎるだろ!?」
「だってさぁ……私の人生で、
こんなラッキーポテチ&コーラ、
あるわけないのよ。」
「今までの経験則だと、調子に乗った分の
十倍以上の天罰が来るの」
「……全部返品したい……」
自分をよく分かっているまのん。
「大丈夫だって!ほら、こんな人もいるぞ!」
『みんな何言ってるんだ!この夢ちゃんは、
見た目だけじゃなくて、
キャラまで寄せてくれた神だぞ!』
『そうだよ!ポテチやコーラくらい、
いいじゃねぇか!』
まのん復活!
「だろぉ~?さぁ~てと、
カルバゲームでもやるかぁ~」
「悠斗~。ポテチとコーラ持ってきてぇ~♪
勝手に食うなよ?」
(待ってろよ……腹黒まのん……
天罰は、必ず来るんじゃ……)
――姿を隠しているキタのぽんは、
静かに誓った。
「食わねぇよ。早く風呂入って寝ろよ。
明日は一限から、マーケティング理論だぞ」
「それに、明日から部室が貰えるからな」
「あいよ~。これ終わったらお風呂入って寝る~」
(にしても神様、遅いな。。。
守乃ちゃん目当てでコスイベントには
ちゃっかり来たくせに――
早く来なさいよ。)
ゲームも終わって、11時をまわった。
「さてと、ゲームも終わったし、
お風呂に入って寝よ。」
お風呂に浸かりながら、
「今日はポテチやお菓子食べ過ぎたなぁ~
結局、神様は来ないし、嘘つき!」
その時、空気がふっと揺れ
お風呂の空気がひんやりした。
これは――!
『おい!ぽんこつ、普通に出てこい!』
そして――。
『あのなぁ~
わしはお主の願いを聞きに来たんやで――
なんや、その態度は!キャンセルするでぇ』
『へぇ~師匠の承認が下りてるのに?
出来るかな?
それに、守乃ちゃん推しのこと、師匠に』
被せるようにキタのぽんが言った。
『さあ、まのんちゃん。
願いの詳細と結婚の希望相手を
教えてくださるかなぁ~(おのれ!まのん)』
キタのぽんが現れたのは風呂。
まのんが追及する。
『ところで、ぽんちゃん――
なんでお風呂に出て来るかね?』
『ええやん♪ 裸の付き合いってやつや♪』
『で……今日の姿は、なんで正露丸なの?』
お風呂に現れた神様は、
「正露丸」の姿をしていた。
『ゆうてなかったっけ?
わしの姿はな、お主が“今欲しいモノ、好きなモノ”
になるんじゃ。』
……いや、確かに「食べ過ぎで胃薬ほしい」
とは思ったけど――
『今、飲んでいい?』
『わしは3D映像や!飲めるかぁ!』
さて、まのんの結婚希望相手は?
……悠斗って思ってるでしょ。
やっぱり人を見る目が無い神様ね。




