レイチェルとは?
「うわぁ‥‥‥、ルーチェルの奴、『禁じ手』に手を出したか。」
フィリアから渡されたルーチェルからの手紙を読んで俺は冷や汗が止まらなかった。
「あのアルノイド様、レイチェル様とは誰の事ですか?」
「レイチェル・イスタイル、今は結婚して『レイチェル・ガルモンド』か、親父の姉上でありイスタイル王族の族長にあたる方だ。」
「え? 結婚してるからイスタイル家とは外れているんじゃ無いですか?」
「いや、名目上はレイチェル叔母様が族長なんだよ。更に言えば本来は叔母様が王位を引き継ぐ筈だったんだが『女王なんて面倒臭いし、婚期が遅れる』ってあっさりと辞退してさっさと他国の貴族と結婚したんだ。」
「独自の考え方をしてる方なんですねぇ。そんな方が何で禁じ手なんですか?」
「‥‥‥強いんだよ。王族の中で一番。」
「強い?」
叔母様に関しては様々な噂がある。
曰く『たった一人で盗賊団を完膚無きまで叩き潰した』
曰く『騎士団歴代で最強の実力を持っている』
曰く『ドラゴンすらも圧倒する』等‥‥‥。
叔母様に関する噂は嘘か本当かわからないが、そんな伝説を持っている。
また親父に対しては厳しくいい歳したおっさんが名前を出しただけで冷や汗を流し体調を崩し高熱で暫く寝込む、という。
まぁ、それも叔母様が結婚し国を出ていってからは収まっているのだが、それも親父を増長させた結果ではないか、と思う。
俺も正直何回か顔を合わせただけで後は手紙でのやり取りだけだ。
国では無視されているが、俺の事を評価してくれる数少ない人物だ。
「アーニャは会った事無いよな?」
「お名前だけは聞いた事がありますけど‥‥‥。」
と、突然俺達の頭上を陰が覆った。
見上げてみて固まった。
この村を巨大なドラゴンが旋回していたからだ。
バッサバサと翼を羽ばたかせてドラゴンがゆっくりと降りてくる。
その風圧で体が吹き飛ばされそうになるが踏みとどまる。
「アルノイド、久しぶりね。」
ドラゴンの背中から女性が降りてきた。
「お、叔母様ですか?」
「そうよ~、ルーチェルから手紙を貰って来ちゃったわ♪」
紫色のウェーブのかかった長髪に、シンプルなドレス
見た目20代と言っても過言ではないぐらいの美貌。
レイチェル・ガルモンドはニッコリ笑って俺達の前に現れた。




