幕間 ルーチェルの想い
イスタイル城 ルーチェルの部屋
兄アルノイドと再会した後、ルーチェルはアルノイドが住んでいる村について調べていた。
様々な本を読んでいるが、あの村についての表記は無かった。
「これだけ読んでも表記が無い、となるとあの村には表沙汰に出来ない秘密があるのだろうか‥‥‥。」
ルーチェルは椅子の背もたれに寄りかかりながら一人呟いた。
「誰かに協力してもらえれば良いんだけど‥‥‥。兄上がせっかく手にいれた平穏な生活を崩すような事はしたくないからな。」
ルーチェルはアルノイドが周りから何故か相手にされていなかった事を間近で見ていた。
アルノイドが評価される為に頑張ってきた事を知っているし、その功績が評価に値する事も知っている。
しかし、何故か評価されなかった。
「父上は何を考えているんだろうか‥‥‥。」
モヤモヤした想いがルーチェルの頭を過る。
こんな気持ちでは王太子なんて務める訳が無い。
「どうしたら良いんだろうか‥‥‥。」
悩みを相談出来る人物がいればいいのに‥‥‥。
ルーチェルも実は孤独だった。
周りからは『天才』と褒め称えられているが実際の彼はそんな事はなく、アルノイドを目標として努力してきた結果が今である。
しかし、ルーチェル自身はアルノイドを越えた、と思った事は一度もない。
やはり、ルーチェルにとってアルノイドは『壁』の様な存在である。
「一度、父上に真剣な話し合いが必要だな‥‥‥。」
ルーチェルはアルノイドについて真剣に話し合う事を決めた。
その為には父親を逃げれない環境に追い込まなければならない。
「叔母様の力が必要だな‥‥‥。」
叔母様とは国王の姉で現在は他国に嫁いでいる『レイチェル・イスタイル』の事である。
レイチェルは王族の中で一番発言力を持ち国王も逆らえない人物である。
暫くは直接会ってはいないが手紙でのやり取りはしている。
「叔母様が兄上の事をどう思っているのか‥‥‥。」
ひょっとしたら周りと同じかもしれない。
しかし、書かないよりはマシだろう、と思いルーチェルはレイチェルに手紙を書く事にした。
手紙を出した数日後、国王宛に手紙が届き、国王は顔面蒼白になっていた。
『アルノイドの事で話があります。近日中に向かうので逃げるなよ。 レイチェルより』




