流されてきた理由
1時間後、アーニャは落ち着きを取り戻した。
「まず、どうして舟に乗って流されていたんだ?」
「はい‥‥‥、事の起こりはお母様が亡くなり、お父様が再婚して新しいお母様とその娘が来た事からです。」
「叔母上は亡くなったのか‥‥‥。 そういえば体が悪くていつもベッドの上で寝ていたよな。それで、叔父上は再婚されたのか。もしかして、折り合いが悪かったのか?」
アーニャはコクりと頷いた。
「再婚してお父様は変わってしまいました。質素倹約を大事にしてきたのに、新しいお母様や娘には宝石や豪華なドレスを買ってあげる様になり、あっという間に我が家は借金まみれになり私は奴隷として売られる事になりました。」
「という事は、その傷は‥‥‥。」
「新しいお母様と娘、それについてきた使用人、奴隷商人につけられました。何度か逃げようとしましたが捕まって暴力を振るわれ最終的には奴隷商人にも捨てられあの舟に乗せられていたんです。」
絵に書いたような転落劇だ。
聞いていても腹が立つ。
フィリアは明らかに不愉快な顔をしている。
「大変だったな、俺も似たような境遇だから気持ちはわかるよ。」
「アルお兄様もですか?」
「あぁ、俺の場合は自分から捨てたんだけどな。まぁ、こうして生きて会えたんだ。今までの事は忘れろ、とは言えないけどこれからやり直してみないか? この土地で。」
「えっ、そういえば此処は何処ですか?」
「此処は森の中にある廃村だ。まぁ、世の中に捨てられた俺達にはピッタリな場所だよ。」
「そうなんですか、確かに私達にピッタリかもしれませんね。」
「まずは傷ついた心と体を癒しましょう。」
「あの、この方は‥‥‥。」
「天使のフィリア、女神様の部下だよ。」
「フィリアです。女神様にこの件はご報告致します。ひょっとしたら然るべき処分が起きるでしょう。まぁ、家の事は忘れても良いですよ。」
こうして、アーニャはこの村に住む事になった。
俺もやるべき事はやっておこうかな?




