魔法少女会議3
「そうだな、ならあんたたち妖精については?」
厄妖を察知し、普通の少女を魔法少女に変身させて戦う力を与え更には人の記憶を操作することもできるという彼らは一体なんなのか。そして厄妖との関係も気になるところだ。
「俺たちはこの世界からは少し違うとこから来たんだ」
「異世界ってやつか。でも少し違うってのは?」
「カオリさんが思う異世界のイメージとはちょっと違っててね。普通じゃ絶対に行けないけどこの世界とは繋がっているんだ」
今更異世界とか聞いても驚かないがこの世界と繋がっているのは驚きだ。当たり前だが世界には知らないことばかりだな。
「その俺たちの世界ではこっちの世界の負の感情で生まれる妖魔を管理する役割があったんだ」
「具体的には処分だがな」
「処分?」
「妖魔として形を成す前に俺たち妖精が処理していた。だがはるか昔。あるものによって妖精たちは殺され、妖魔をこっちの世界……分かりやすく人間界としておこう。そちらに現れるようにしたんだ。」
「あるもの?」
「それは自身を人造神と呼んでいたそうだが、そいつによって俺たちの世界……妖精界と人間界はめちゃくちゃになった」
人造神。たぶんその名の通り人が創ったってことだろう。こっちの世界だと俺の知る限りは生物を人造で創るのもまともにできてないのに、そんなことをしたのは人造の神だという。
妖精界とかあるんだ、オレたちの世界とは全然技術とか違う完全に繋がっていない異世界があってもおかしくない。
「そんな歴史があったなんて」
「知らなかった」
「……壮絶な歴史ね」
「あんたらも知らなかったんかい」
てっきりオレだけしか知らないものかと思っていたが妖精たちの詳しいことはあんまり彼女らも知らなかったらしい。
「いずれ奈菜たちにも話そうとは思っていたが、それを話したところで妖魔を倒すことには変わりない。そもそも奈菜達が魔法少女になったのも妖魔を倒すためだしな」
彼女たち魔法少女の戦いは命懸けだ。それなのに普通の少女がいくら強力な力を手にしたところでこんな過酷な戦いに身を置くには各々訳があるのだろう。
「それで人造神はどうなったの? 今も妖魔がこちらに現れるってことはまだ人造神はいるってことかしら」
「さっきの話には続きがある。人造神を倒したい別の人造神が現れたんだ。その新しく現れたのは人造神と強化された妖魔に対抗するために妖精側と、ある人間に力を与えた」
「その力は妖精には魔法少女にさせる能力やさっき話したテレパシーや記憶操作などだ。そして人間に与えた方の力は……詳しくはわからない」
「分からないのかよ」
「共に戦ったと伝えられているから何らかの能力か武器なのかもしれない」
人造神と妖精や魔法少女たちと共に戦った人間。まさかと思うがオレのご先祖様なのかもしれない。与えられた力はこの悪断で、魔法少女のように変身していたと。我が家に伝わる伝承でも厄妖を断つ刀だし。
けれど千代婆ちゃんに伝承を聞かないと確証は得られないし、第一得たとしてそんなことを話してみろ。絶対刀花薫だってばれる。
メリットはミフトの信用を今よりは得られるかもしれないが、男とばれるデメリットのほうがでかすぎる。だから今のところは黙っておこう。
「話を戻すが、戦いに勝利し人造神は倒された……と思われていた」
「思われていた?」
「ああ、人造神を倒してしばらくは妖魔も人間界に現れなくなり以前のように妖精が管理するようになった。しかし再び妖魔が現れるようになり、そしてそれが現在も続いている」
「私たちが戦っているのはそういうことだったのね」
「それならその人造神をまた倒せば解決するんじゃないのか?」
「それができるのならとっくにしている。だが、そもそもその人造神を見つけられていないんだ。だから世界中で妖精が探し回りつつ妖魔を倒すために魔法少女と戦っている」
「魔法少女はこの街だけではないのか」
「買い物に他の町へ行ったときに妖魔を見かけて追った時、その町の魔法少女と一緒に戦ったこともあったわね」
「わ、私も同じです」
「他の魔法少女と会っても普通に共闘するものなのか」
「……普通に共闘するわね」
静永さんに襲われたから聞いた質問だが、実際は妖魔を倒すのが目的でありちゃんと使命に基づいて行動をしているのだろう。
じとっと彼女を見ると彼女は目をそらした。全ての魔法少女が委員長みたいな皆を守るなんて気持ちではないのだろう。
普通の少女が突然大きな力を手に入れれば、多少自分の欲望のために使ってしまうのかもしれない。妖精だって頼む側だから少しは見逃しているのもあるのだろうな。
流石に犯罪は止めてほしいところではあるが。静永さんの最後の一撃だってオレの力が足りていなかったら危なかったし。
「まぁ妖精についてはそんなところかな」
「あんたらのことは多少わかったよ。嘘じゃなければな」
「嘘じゃなければって、なかなか酷いことを言うね」
「……まだ完全に信頼されてるわけじゃないってことね」
「あんたがそれを言うか」
そのあとも彼女たちが戦ってきた厄妖のことを話したり、カオリについて女子らしい質問をされたが全然オレは詳しくないので適当にはぐらかしたりして
「結構話してしまったみたいだ。今日のところはここまでにしようか」
スヴァに言われて気が付いたがもう外が大分暗くなっていた。どれもオレにとっては知らないことばかりで聞いていてよかった。
彼女たちとの共闘の約束もできたし少しは今後の厄妖との戦いも不安は減ったかな。
「じゃあまたねカオリ」
「さようなら」
「ああ、またな」
委員長と山城さんと別れてオレは帰路についた。途中人に見られないところで薫に戻る。戦闘モードと一般モードだと判別はつかないらしいが俺個人としてはやはり男でないと落ち着かないのだ。
そういえばテレパシー有効距離とか聞くのを忘れていたが携帯の代わりになるくらいだ、この街くらいは余裕でカバーできるだろうから大丈夫か。




