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魔法少女集会2

「何から、か」


 オレは突然厄妖、彼らからすると妖魔と使い魔だったか……に襲われて流されるままにみんなを守るためと戦ってきた。だから最初に聞くとしたら化け物のことだろうか。


「じゃあオレたちが倒してるあの化け物のことからでいいか?」

「……妖魔と使い魔ね」

「俺たちがそう呼んでいる化け物の存在が俺たちがこの世界に来て少女たちとともに戦っている理由だ」


 魔法少女は厄妖を狩るための存在ってわけか。


 唐突だが彼女たちは妖魔と使い魔と呼んでいるが、やっぱりオレは心の中で家の伝承通り厄妖と呼ぶことにしよう。同じ呼び方でもいいんだが、せっかくご先祖様が名付けたものだからな。


「というかどうして妖精が選ぶのは少女なんだ? 大人とか、男はだめなのか」

「大人や男だと変身できないんだ。どうしてなのかは詳しくはわからないんだが」


 別にかわいい女の子だからとかではなく、そうじゃないといけないという理由だったか。どんな理由にしろ、少女だけというのはオレの場合例外みたいだが。


「それで妖魔についてだが、あいつらは人の負の感情を食うんだ」

「負の感情」

「そうだ。それを出すためにやつらは結界で獲物を囲い、じわじわとなぶり殺しにする。そのほうがただ殺すよりも食い物が出るから」


 だからオレや武はすぐに殺されなかったのか。たぶん負の感情とやらは色々あるが、オレが見た厄妖の中に人に悪いことを囁いて負の感情にするようなタイプはいなかった。だから簡単に出せる恐怖、これから殺される絶望を食らっていたのだろう。

 だからオレを襲った時、勝利を確信して余裕ぶっこいてたのは食い物にたくさんありつけるということだったからのようだ。


「本当質が悪いな」

「でもその食事のおかげで魔法少女が駆けつけ、助ける隙がある」

「だけど、人によってはトラウマになったって場合もあるんじゃないのか? そのときはただ助けるだけじゃ意味がないとは言えないけど後味悪くなるだろ」

「その辺りは問題ないんだ。心に傷を負ってしまった人は俺たち妖精が記憶を消している」


 妖精がパートナーってそんな意味もあったのか。あれ、オレって記憶を消すことができないからそんな人に出会った場合まずくないか。


「オレもそうだけど、静永さんだってあんたを連れてないみたいだったけど大丈夫なのか」

「ラナには俺が付いてあげられてない分、妖精の力を与えているから大丈夫だ」

「……私は一人で変身もできるし記憶も消せる。力をもらっている分妖精ほどじゃないけど妖魔の気配を察知できる」


 だから俺についていた厄妖の気配を感じられたってわけか。妖精がパートナーになるとレーダーの役割も果たしてくれる。厄妖狩りをしていくんだったら妖精って必須じゃねえか。とはいえレーダーはある程度オレだけでもわかるから必要はないが、やっぱり襲われた人のケアがなぁ。


「カオリ。これはあなたの強さを見た私からの提案なんだけど、私たちと一緒に妖魔と戦ってくれないかな」

「お前のことを信用したわけではない。むしろお前を監視できるからな」

「ミフト、それはいっちゃいけないでしょ」

「……私もカオリの強さは身に染みるほどわかっているからいいわ」

「わ、私もカオリさんと戦ったから」


 彼女たちの提案は嬉しい。しかし変身を解いていると思わているこの姿も実は変身している姿で、さらに正体が男だ。彼女たちを騙しているようで悪いがそれはお互いのためにも隠し通しておきたいものだ。


「一緒に戦うってことは行動を共にしないといけない感じか?」

「ええ。できればそうしておきたいけど、あなたとは違う学校みたいだし……せめて連絡先を教えてくれれば妖魔や使い魔を見つけたときに呼べるんだけど」


 連絡先か。携帯も持っているからメールアドレスや電話番号とかを教えることも可能だが、それだと絶対オレが薫だってばれてしまう。

 なにか他の連絡手段はないものか。


「魔法少女とか妖精とかいるんだからテレパシーみたいなものはないのか」

「私たちはパートナーの妖精を介して会話できるけど、カオリはパートナーがいないから」

「……私はその力もあるから一人でも会話できる」


 妖精を介せばテレパシーできるのか。どんな感じなのか気になるな。


「そのテレパシーってやつはオレには絶対無理なのか?」

「ラナは俺の力を貸しているから例外としてパートナーなしだとできないな」

「お前が妖精の力を伝えられる道具を持っているなら別だけどな。そんなものを持っているわけないだろう」


 妖精の力を伝えられる物。そんな都合のいい道具なんて……いや、悪断ならやってくれるに違いない。化け物や魔法少女に出会い始めてから手に入った特別な物なんてこれしかないのだから。

 悪断がダメだったら連絡手段をちゃんと考えないとオレの正体がばれる。


「なら、これならどうだ?」


 オレは悪断を通常状態に戻して皆に見せる。


「お前の武器か……一応やってはみるが、これがだめなら素直に連絡先を奈菜に教えるんだぞ」

「わかってるさ」


 ミフトは悪断を見つめた。


 すぐには聞こえないようで、なかなか伝わらない。


「カオリ、どう?」

「うーん。とくに……いや」

『おい、どうだ。聞こえたなら声に出さず話したいことを思えばいい』

『こんな感じか』

『まさか通じるとはな。お前といいその武器といい本当になんなんだ』


 こっちが知りたい。でもこれで下手に連絡先を教えてオレが俺だとばれる心配は無くなった……あれ、この心の声ってカオリと薫で変わるものなのか?


「なぁこの声ってどう聞こえてるんだ?」

「どういう意味だ」


 こいつなにを言っているんだという目で見られるが仕組みを聞いておかないと男の声で出てしまうかもしれないから大事なことなのだ。


「いや、直接喋ってないのに声が聞こえるってなんか変じゃねぇか」

「このテレパシーで相手に伝わる声は自分が聞こえている声だ」

「聞こえている声?」

「カオリは聞いたことない? 相手に伝わっている声と自分が聞いている声が違うって言うの。あれは自分の口とか骨を通しているから違うみたいでね、テレパシーは自分が聞いている声を相手に伝えるってことよ」

「……だからみんな初めてだと少し変わって聞こえる」

「私も初めてだと驚いたよ」

「それがどうしても嫌なら、録音した音をたくさん聞いて自分はその声で相手に話しているって思いこませればいいけどね。でも普通そこまでする必要はないから誰もやっていないわ」


 なるほど。つまり思い込めば薫とカオリをテレパシーで使い分けれるのか。でもそれは失敗したら一発でばれてしまう。オレのことをわかって協力してくれる人がいてくれればいいが、そしたら何のために隠そうとしているかわからなくて本末転倒だ。だから結局テレパシーで話すときはカオリになったほうがよさそうだ。


「声を変えて話すのは大変そうなんだな。ん……てことは頑張れば他人の声になりすませるのか?」

「不可能ではない……が相当難しいと思うぞ」

「たぶん自分を完全に別の人になるって思わないとできないと思うわ。それにそこまでしてもテレパシーを使える人が限られている分あんまり意味がないと思うし」


 よくわからないがたぶん無意識の中からその人にならないとできないようで、まぁ普通じゃ無理だし意味が薄いか。だがオレは違う。完全に薫とカオリ、二人になっている。まだ薫のほうが長いが、今こうして普通にカオリとして過ごせるとわかって魔法少女たちと話すときはこの姿のままだろう。そしたら薫としてよりカオリのほうが長くなってしまうかもしれない。そしたらオレは、俺はどっちで誰になってしまうのだろうか。


「おいカオリ、変な質問をしてきたくせに急に難しい顔をするんじゃない」

「ああ悪い悪い。変なことを聞いてすまんな」

「あなたって会った時から思ってたけど男の子っぽい話し方するよね」

「変か?」

「……最近だとそういう話し方の女子もいるから別にそこまで気にすることはないわ」

「そうだね。僕っ娘っていう人もいるから俺っ娘もいても変じゃないよ」

「変とかじゃなくて単に気になっただけで、男の子の兄弟に挟まれて育ったのかなって」

「そういうわけじゃないけど」


 ちょっと焦ったが、確かにこの見た目にこの話し方は変わっているか。でもこれだけは譲れない。オレが俺であるという唯一の証拠みたいなものだから。このまま女の子みたいな話し方もしたら完全にオレが男だったというものも無くなって別の人になってしまうかもしれないから。


「そんなオレの話はいいんだ。次だ次」

「変なこと聞いちゃってごめんなさい」

「ああ、怒っているわけじゃないから気にしなくていい。ただ早く気になっていることを聞きたいだけだから」

「カオリさんもそう言っているわけだし次に行こうか。次は何を聞きたい?」

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